携帯サイトを審査する第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)は6月30日、サイトの管理体制を審査するための認定基準を発表した。同基準に基づき、基準を満たしたと認定されたサイトは、青少年ネット規制法に基づくフィルタリングの対象から外される。認定のための審査申請受付は7月中旬に開始。早ければ8月中旬にも「認定第1号」が出る見通し。
同法の内容は、ISPや携帯電話事業者に対し、親が解除を申し出た場合を除き、18歳未満の青少年が有害サイトを閲覧できないようにするフィルタリングサービスを義務付け。
だが、現在の携帯フィルタリングサービスには、ブログやSNSなどのコミュニティサイトをはじめ、有害でないサイトも閲覧できなくなるなどの問題も存在する。そのため、こうしたサイトの管理体制を審査する基準を作成し、同基準に基づいて認定するための第三者機関として4月8日にEMAが発足。「世界初」の試みとして、認定基準の早期策定が待たれていた。
30日に発表された認定基準の正式名称は「コミュニティサイト運用管理体制認定基準」。4カテゴリ、22件の要求項目から構成されており、全項目を満たせば、認定を受けることができる。
4つのカテゴリは、(1)基本方針、(2)監視体制、(3)ユーザー対応、(4)啓発・教育。「基本方針」のカテゴリでは、評価対象となる携帯サイトが、青少年の利用に配慮した基本的な管理方針をとっているかどうかを評価する。同カテゴリの具体的な要求項目として、利用規約の存在、青少年利用を前提とした利用環境の整備などが挙げられている。
「監視体制」のカテゴリでは、規約に違反した投稿などのトラブル防止のための対策や監視を行っているかどうかを評価。具体的な要求項目としては、投稿ログの保存、目視・システム抽出などによるサイトパトロールの実施、「ネット犯行予告」など緊急を要する投稿への対応などが挙げられている。
また、「ユーザー対応」のカテゴリでは、サイト内のやりとりに起因するトラブルや外部機関からの照会などに対応した受付窓口を設けているかどうかを評価。「啓発・教育」では、適切な利用方法やトラブル予防策について、ユーザーを十分に啓発しているかどうかを評価する。
EMAではさらに、一旦認定されたサイトに関しても、同基準に基づいて携帯サイトの運用監視を行い、運用が不適切な場合は注意や警告を発し、最悪の場合は認定取り消しも行うとしている。
認定を求めるサイト側からの具体的な申請方法については、現在詳細なルールを策定中。認定されたサイトが実際にフィルタリング対象から外れるのは、「今年末から来年初めにかけて」(EMA)としている。
EMAでは、認定されるサイト数について、「今年度中に100~120を想定している」と話している。
青少年ネット規制法にも明記された、「有害性判定への国の関与の排除」を実現するためにも、EMAによる審査・認定から運用監視に至るまでのルールが適切に運用され、実効性を持ち得るかが注目される。