米Yahoo!は6月4日 (現地時間)、「Yahoo! Address Book API」の公開を発表した。これは4月に開催されたWeb 2.0 Expoで同社が明らかにしたインターネットプラットフォーム戦略「Y! OS (Yahoo! Open Strategy)」に基づいたもの。サードパーティによるYahoo!検索のカスタマイズを可能にする「SearchMonkey」プロジェクトに続くオープン化の第2弾だ。
Address Book APIは、Yahoo!ユーザーがYahoo! Mail、Yahoo! Messenger、Yahoo! Goなどで管理しているアドレスブックへのサードパーティのアクセスを可能にする。これまでYahoo!はPlaxoとLinkedInのみに共有を認めていた。
同APIは拡張性の高い検索機能を提供する。例えば新しくなったコンタクトだけを抜き出し、さらに前回アクセスしてからの変更点だけを調べるなど、サードパーティが必要に応じてアドレスデータを整えられる。電子メールアドレスなど個々を識別できるデータは、ソーシャルグラフ情報として活用可能。例えばコンテンツ共有アプリケーションにおいて、電子メールアドレスを参照することで「友だちと共有」というような機能を実現できる。モバイルやSMSアプリケーションが電話番号データを利用することも可能だ。
同APIを通じたアドレスブックへのアクセスの認証にはBBAuthが用いられている。ユーザーはYahoo!のログインプロセスを通じて、サードパーティのアプリケーションを承認する。また将来的にOAuthをサポートする計画だという。
Yahoo!ユーザーのアドレスブックは5億を超えるという。Yahoo! Address Book platform担当の製品マネージャーであるCharles Wu氏は「インターネット上で最大規模のアドレスブックのコレクション」とアピールする。一度ユーザーがオンラインサービスでコンタクトリストを作成すると、そのデータを利用するためにユーザーはサービスから離れられなくなる。これまでコンタクトやソーシャルグラフ情報は、ユーザーをサービスにとどめるための資産として、他のサービスとの共有が避けられてきた。Address Book API公開で、サードパーティがYahoo!の貴重な情報資産を利用できるようになる。リスクもあるが、長い目で見ればデータを抽出されるだけではなく、他のサービスからの新しいデータがYahoo!のサービスに反映されるようになる。インターネット全体の規模でソーシャルグラフ情報のやり取りの中心に存在できれば、大きな見返りを期待できる。