日立製作所 中央研究所主管研究長 矢野和男氏

日立製作所 中央研究所主管研究長の矢野和男氏は、同研究所が手掛ける「組織が見えるビジネス顕微鏡」を紹介。これは、組織ネットワークにおける"エネルギーの流れ"を分析するというユニークなメソッドで、組織内における意思伝達の流れが「ピッチャー型(発信タイプ)」「キャッチャー型(受け身タイプ)」のいずれに当てはまるかをマッピングして組織構造の分析を行う。矢野氏は「組織構造において、2ステップまでが影響のおよぶ範囲。組織内のコミュニケーション構造がどうなっているかを可視化することにより、組織のボトルネックがわかる」と解説した。また、矢野氏のプレゼンテーションを受け、モデレータの竹田氏は「上司と部下の関係が可視化されるのはちょっとおそろしい。しかし、見えなかったものを可視化し、これからの経済は共有することで対応していくことが重要」とコメント。

21LADY 代表取締役社長 広野道子氏

女性の視点を活かした投資育成事業、およびライフスタイル提案型の総合支援事業を行っている、21LADY代表取締役社長の広野道子氏は、同社が手掛けた洋菓子店チェーンのヒロタのブランド再生戦略の事例を紹介。21LADYではリストラは行わない方針で再生プランを提案したと明かした広野氏。「まずは社員全員にアンケートを実施した。民事再生になったのはなぜか、自分なら何ができるかを質問した。その中からやる気のある人を役員に採用し、チームごとにどうお店を改善していくかを考えてもらった。組織や体制の再構築を行うことで、風通しがよくなった上、横のつながりと人それぞれが持っている情報が掬いあげられるようになった。ITを使えばもっと早く実現できたかもしれない」と、企業経営の現場においての知識と人材の体系化の重要性が語られた。

最後に、モデレータの竹田氏は「今日紹介された事例は、最終的には企業のいろんな現場で活用できるだろうと感じた。知の共有化と可視化は、これからは企業経営にとってマストの要件になるのではないかと思う」と、今回のパネルディスカッションをまとめた。