中国の大手ポータルサイトやオンラインゲーム企業が、2月と3月に相次いで2007年度(2007年1月1日から2007年12月31日まで)の年度財務報告書を公表した。これにより、オンラインゲーム企業の高成長ぶりと圧倒的な利益率が改めて浮き彫りになった。一方、オンラインゲームが社会に与える「悪影響」を指摘する声も強くなってきている。本レポートでは、オンラインゲーム企業の高成長の実態を明らかにしながら、悪者にされる背景に迫ってみたい。

網易の2007年度のオンラインゲーム収入は278億円

オンラインゲーム大手で、総合大手ポータルサイト運営の網易(Net Ease)の年度財務報告書によると、2007年度の総収入 は3億1,600万ドル(約331億8,000万円、1ドル=105円で計算)。うち、オンラインゲーム事業による収入が2億6,500万ドル(約278億2,500万円)、オンライン広告による収入が4,180万ドル(約43億8,900万円)で、ワイヤレス付加価値サービスなどによる収入が930万ドル(約9億7,650万円)となっている。

オンラインゲームによる収入が全体の83.9%を占め、網易にとって最大の収入源となっていることが分かる。さらに、同社の2007年度の総収益は2億4,700万ドル(約259億3,500万円)だったが、主力ゲーム「夢幻西遊Online」による収益増が全体の収益増に貢献したとして、年度報告書はオンラインゲーム事業をきわめて高く評価している。

網易CEOの丁磊氏は、同報告書の公表に当たって、「網易は道具や武器を販売する有料ゲームへの事業集中、戦略性のあるゲームの代理事業などを通じ、ゲームのバラエティを増やし、より多くのゲーマーの参加を促していく計画だ。これにより、2008年以降も、中国のMMORPG市場における当社のリーディングポジションを強化していく」として、「ドル箱」であるオンラインゲーム事業を重視する姿勢を示した。

オンライン広告の10倍以上となる成長率を記録

中国で最大手のポータルサイトを運営する捜狐(Sohu)の2007年度財務報告書をみると、オンラインゲームの高成長性がより鮮明に分かる。捜狐の2007年度の総収入は1億8,890万ドル(約198億3,450万円)で、前年度比41%増だったが、このうち、オンライン広告による収入が1億1,920万ドル(約125億1,600万円、前年度比30%増)、オンラインゲームによる収入が4,210万ドル(約17億8,800万円、同394%増)、その他の業務による収入が2,760万ドル(約28億9,800万円)となっている。

オンラインゲームは、収入の大黒柱であるオンライン広告より10倍以上も高い年間成長率となり、いまや捜狐の新たなメイン事業へと急成長しているのだ。

中国で最大手のオンラインゲーム企業である上海巨人網絡科技(Giant Interactive Group、以下「巨人網絡」)が公表した2007年度の年度財務報告書によれば、同社の2007年度の純収入と 純収益はそれぞれ2億940万ドル(219億8,700万円)、1億5,580万ドル(約163億5,900万円)で、2006年度よりそれぞれ273.9%、364.5%も増加した。

同社董事長(会長)兼CEOの史玉柱氏は、「2007年度は巨人網絡にとっては成功した年、といえる。ニューヨーク証券取引所で上場を果たしたほか、総売上と純利益ともに堅調で、業界内でも最も高い収益率を誇っている。オンラインゲーム『征途』での持続的なアップデートや改善を通じ、売上増と利益増を確保できた。2008年度は、クローズドβ版で人気を博した『巨人』のほか、MMORPG『万王之王III』とスポーツ競技型ゲームの『体育帝国』をリリースする」と語り、征途による成果と、巨人網絡などによる新たな試みを野心的に明かした。