コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などの著作権団体とテレコムサービス協会などの電気通信事業者は12日、「Winny」や「Share」などのファイル共有ソフトによる著作権侵害対策を検討する協議会を設立した。同ソフトを悪用した事件が相次いでいるためで、関連団体で侵害実態と課題などの情報を共有し、連携を強化する。

今回発足した協議会の名称は、「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会」。テレコムサービス協会サービス倫理委員会委員長の桑子博行氏が会長、ACCS専務理事・事務局長の久保田裕氏が副会長となり、日本レコード協会(RIAJ)や日本国際映画著作権協会(JIMCA)などから、会長、副会長を含め9人が構成員として参加している。

ACCSが実施した利用実態調査では、2007年9月時点で、Winnyの利用者が26万4,000人、Shareの利用者が20万人存在する。また、ACCS、RIAJ、JIMCAが共同で実施した「ファイル交換ソフト利用実態調査」によれば、ファイル共有ソフトの利用者は、2006年6月にはインターネット利用者の3.5%を占めていたにすぎなかったが、2007年9月には9.6%と約1割近くにも達し、絶対数だけでなく、ネットユーザーに占める割合も急増している。

ACCS及び社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)が2006年10月に共同で実施した調査によれば、これら利用者の一部による無許諾送信による著作権侵害により、6時間で100億円に相当する被害があると推計。さらに、今月9日は、「share」を悪用してテレビアニメを無断公開した会社員ら3人が京都府警に逮捕される事件も起こるなど、刑事事件として顕在化する例も多くみられる。

今回新しく設立された協議会では、著作権侵害に対する対策について、「メールによる注意喚起やアカウントの停止、損害賠償請求などの実施にあたって、具体的な問題や課題などについて情報を共有し、検討を進めていく」としている。