日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月7日、同社のx86サーバ「HP ProLiant」とVMwareの仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」との組み合わせによる仮想化ソリューション3種を発表した。

「HP ProLiant iVirtualization」はサーバ組み込み型の仮想化ソリューション。今回は、USBメモリに仮想化ソフトウェア「VMware ESXi」をインストールし、ライセンスファイルなどをあらかじめ設定した上で出荷時にサーバ内部にセットして提供する「HP ProLiant iVirtualization powered by VMware ESXi」が発売される。

2番目に、日本HPがOEM販売する「VMware Infrastructure 3」ライセンスのラインナップが強化され、低価格化と運用支援ソフトウェアの充実が図られる。

最後に、仮想クライアントソリューションとして「VMware Virtual Desktop Infrastructure(VDI)」専用ライセンスの販売および環境構築サービスが開始される。

まず市場動向に関して説明を行なった同社のエンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト&HPCマーケティング部 部長の赤井誠氏は、仮想化の市場への浸透について「2005年は仮想化興味期」「2006~2007年は仮想化導入期」「2008年からは仮想化活用期」と位置づけ、中でも2008年を「仮想化活用元年」だとした。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト&HPCマーケティング部 部長 赤井誠氏

また、"活用期の特徴"として、「全社単位での導入が進む一方で、仮想化の活用方法に注目が集まる」とし、特に「導入のしやすさ」「管理、運用面の効率化」「適用範囲の拡大」が市場から求められることになるとの認識を示した。今回発表された3種のソリューションは、HP ProLiant iVirtualizationが"導入のしやすさ"に、ライセンスラインナップの強化と運用支援ソフトウェアの充実が"管理、運用面の効率化"に、VDIの提供が"適用範囲の拡大"に、それぞれ対応する施策と位置づけられる。

2008年、仮想化は活用の段階に突入

続いて、同ISSビジネス本部 サーバ・プロダクトマーケティング部の木村剛氏が、今回発表の新ソリューションに関する詳細説明を行なった。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバ・プロダクト・マーケティング部 木村剛氏

iVirtualizationの狙いは、仮想化ソフトのインストールや初期設定、ライセンスファイルの適用、仮想サーバ作成といった仮想化環境に特有の作業の負担を軽減し、あらかじめハードウェアに仮想化環境がインストールされた状態で出荷される。今回発表されたHP ProLiant iVirtualization powered by VMware ESXiでは、ブータブルのUSBメモリに仮想化ソフトウェア(VMware ESXi)やライセンスファイルが格納されており、USBメモリからブートすることでサーバが即座に仮想環境利用可能な状態で起動するというもの。ハードウェアとしては既存のProLiantサーバと全く同一で、筐体内部に用意されたUSBポートにUSBメモリを装着するだけだ。

ブレードサーバとUSBメモリを示す木村氏

ブレードサーバ内部に用意されたUSBポート(左:全景、右:USBポート部のアップ)

価格は、基本機能のみを提供する「VMware ESXi 3.5 for HP ProLiant Standalone」が3万9,900円から。付加価値機能を含む「VMware ESXi 3.5 for HP ProLiant Enterprise」が79万8,000円から。いずれも出荷開始は5月下旬の予定。なお、今後の予定として、VMware ESXiに加えてCitrix XenServerおよびMicrosoft Hyper-Vも同様に提供する計画があるという。

USBメモリを内部USBポートにセットした様子