日本HPは24日、同社の第3世代ブレード「HP BladeSystem c-Class」に対応したブレード型サーバのエントリモデル「HP ProLiant BL260c Generation 5(以下、HP ProLiant BL260c G5)」を発表した。5月中旬から出荷開始予定。新製品の最大の特徴は、c-Classの管理機能はすべて利用可能でありながら、8万円台からという低価格を実現したところにある。同社のサーバ/ストレージ部門はここ最近、中堅・中小(SMB)市場の顧客層拡大を狙った新製品投入が目立つが、HP ProLiant BL260c G5でもって新たな分野でのブレードサーバ拡販を図る。

低価格ブレード実現のカギはHDDにあり

HP ProLiant BL260c G5は、ブレードサーバ用に低消費電力を実現するべく開発されたIntel 5100チップセットを採用している。このため、プロセッサにCeleron、Core 2 Duo、Xeon 5400番台などが搭載可能だ。ブレードの価格は搭載プロセッサにより違ってくる。

HP ProLiant BL260c G5価格一覧

搭載プロセッサ 標準搭載可能CPU 最大搭載可能CPU 価格(税抜)
インテル Celeron 445 1.86GHz 1P/1C 1P/1C 8万5,000円
インテル Core 2 Duo E6405 2.13GHz 1P/2C 1P/2C 13万円
クアッドコア インテル Xeon L5420 2.50GHz 1P/4C 2P/8C 21万3,000円
クアッドコア インテル Xeon E5430 2.66GHz 1P/4C 2P/8C 23万3,000円
クアッドコア インテル Xeon E5450 3GHz 1P/4C 2P/8C 31万3,000円

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャ 山中伸吾氏

いずれもエンクロージャのc-Class 3000および7000に搭載でき、電源や冷却ファンの完全冗長化、GUI遠隔操作機能「iLO2 Standard Blade Edition」標準装備など、ストレージブレードやテープブレードの利用も可能、など上位クラスのブレードサーバと遜色ない機能を有している。

ブレードサーバとして、HP ProLiant BL260c G5がここまで戦略的な低価格を実現できた理由は、搭載HDD(別売)にノンホットプラグのSATAを採用したことによる。同社の460cなどの上位モデルではホットプラグのSASディスクを採用しているが、「逆に言えば、上位モデルとの違いはSASかSATAかという点だけ。それ以外はブレードのメリットをすべて享受できる画期的な製品」(日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャ 山中伸吾氏)。ストレージ容量としては最大120GBのHDD(2.5インチ)を2基まで搭載できる。

エンクロージャやネットワークスイッチモジュール、HDDなどを含めた最小構成価格は81万3,750円、同社が推奨する最小構成(Celeron搭載ブレード×4台、パワーサプライキット含む)の価格は121万3,800円から。

HP ProLiant BL260c G5の内部構造。メモリスロットはDDR2(667MHz)×6で最大24GBまで搭載可能。オンボードNICは標準で2ポートだが、最大で6ポートまで増設可能

タワー型のブレードエンクロージャc3000(6U)に収納したところ。すっきりとした外観が特徴。サーバの設置場所に悩むSMBにはうってつけのデザイン

低価格ブレード投入の背景 - SMB市場への本格参入

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部 宮本義敬氏

日本HPのブレードサーバ事業は順調に推移しており、エンクロージャの2008年1 - 3月の出荷台数を見た場合、c-Class 3000は2007年の同時期に比べ282%の成長を見せている。同社エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部 宮本義敬氏は「100v対応のc-Class 3000は中堅・中小規模向けの製品で、これが順調ということはSMBでもブレードを利用したいというニーズが存在することを示している。我々は大企業向けブレードサーバ市場では高いシェアをもつが、それらのゾーンは"ブレードバリュー領域"、そしてSMBのゾーンを"ブレードボリューム領域"と呼んでおり、コストパフォーマンスを重視する顧客向けに、今後も(HP ProLiant BL260c G5のような)製品を投入していきたい」と、意気込みを語る。同社はラックサーバやストレージにおいてもSMB市場への参入に積極的だが、今回の新製品ブレードサーバも「その一環としての戦略的価格での提供」(宮本氏)としており、事業部をあげてSMBへの進出を図っていると見ていいだろう。

同製品のターゲットはシステムにコストをかけられない中小企業や、低価格サーバを大量に必要とするホスティング業者などだ。また、プロセッサにXeonを選択すれば、CPUパワーを必要とするCG業界などでの使用にも十分耐えられるシステムとなる。「ブレードは置き場所も取らないし、ケーブルもずっと少なくて済む。消費電力も少なく、管理もしやすい。そういったブレードの良さは理解しているが、価格がネックで導入に二の足を踏んでいたユーザが非常に多かった」と山中氏は指摘し、そういったブレードボリュームゾーンの顧客に対して「"はじめてのブレード"の垣根を低くする」(山中氏)ことが目標だ。