cairoプロジェクトは10日、2Dグラフィックライブラリの最新版「cairo 1.6.0」をリリースした。14日時点では、リリース直後に発見された不具合を修正した最新バージョン「cairo 1.6.4」が公開されている。

今回のリリースでは、PDFとPostScript、およびSVGに出力するための描画バックエンドが強化。不必要なラスタライズ処理がほぼ回避可能になるなどの改良により、品質アップとファイルサイズの最適化が進み、描画速度も向上した。

Mac OS Xの描画機構Quartzに対応する描画バックエンド「cairo-quartz」は、これまで実験的な扱いとされていたが、今回のバージョンより正式サポート。文字のレンダリング処理が大幅に高速化されるなど、他の描画バックエンドと同等の安定性と品質が達成された。Windows用には新たに「win32-printing」バックエンドが追加、高品質な印刷処理が可能となった。

cairoは、クロスプラットフォーム指向の2Dグラフィックライブラリ。ベクトルベースの描画モデルを採用、アンチエイリアスやグラデーション処理に対応するほか、PDFやPNGなどの画像として出力するだけでなくウイジェットにも描画する複数出力、サイズの異なる画像を複数個用意するときに好都合な描画コンテキストなど、高レベルな描画機能を搭載。GNU LGPL v2.1 / MPL 1.1準拠のオープンソースソフトウェアとして開発が進められていることから、その機能はFirefoxやGTK+、Windows版Adobe AIRなど、画像の出力を必要とする多くのアプリケーションに利用されている。