米HP エンタープライズストレージサーバ ストレージワークスディビジョン アジアパシフィック バイスプレジデント |
日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は14日、中堅/中小企業に向けたSANストレージ製品「HP StorageWorks Modular Smart Array 2000」「HP StorageWorks 4400 Enterprise Virtual Array」を発表した。いずれも低コストで簡単に導入できるよう設計されたディスクアレイ製品。また同社は、同時にSANインフラ製品の値下げ、パートナー企業へのEVA販売支援策などを発表、「他社を圧倒するプライスパフォーマンス」(米HP エンタープライズストレージサーバ ストレージワークスディビジョン アジアパシフィック バイスプレジデント ジム・ワグスタッフ氏)でもって、急速に拡大するSMBストレージ市場で優位に立つことを狙う。
"戦略的"新SAN製品
HP StorageWorks Modular Smart Array 2000(以下、MSA2000)は、SAS/SATAディスクをサポートしたエントリレベルディスクアレイの新ファミリ。ファイバチャネル接続に対応した「HP StorageWorks Modular Smart Array 2000 2012fc」と、iSCSI接続に対応した「HP StorageWorks Modular Smart Array 2000 2012i」の2製品がある。2Uに12台のHDDを搭載でき、最大48台(14.4TB SAS / 36TB SATA)まで拡張可能。RAIDレベルは0/1/3/5/6/10/50に対応しており、規模に応じて運用できる。また、専用管理サーバが不要で導入/設定が簡単なため、小規模システムの共有ストレージとして最適な設計となっている。最小構成価格は2012fcが92万4,000円、2012iが74万5,500円で、従来製品(MSA1000)に比べ、大幅な機能向上/低価格を実現している。
HP StorageWorks 4400 Enterprise Virtual Array(以下、EVA4400)は、すでにワールドワイドで豊富な導入実績をもつミッドレンジレベルのEVAファミリの新製品。従来のEVA製品がもつ仮想化機能によるストレージ管理がそのまま利用できるほか、グラフィカルで簡単な設定ツール「EVA SmartStart」や、最大96台のHDDを搭載できる拡張性などが特徴。最小構成価格341万7,750円というエントリクラスの価格でもって、SMBのSAN導入を図る。
ストレージ導入のトータルコストを下げることでSMBに訴求
つい最近まで、大企業向けというイメージが強かったストレージだが、ここ1、2年、中堅/中小企業(SMB)による需要が大きく伸びている。理由として、全世界レベルでビジネスで扱うデータ量が爆発的に増大していることが挙げられる。たとえば、現在、1日に60億通ものEメールが飛び交っていると言われており、それも「単なるテキストデータではなく、リッチなコンテンツが含まれている場合が多い」(ワグスタッフ氏)状態であり、その他のデータに関してもその量は増える一方だという。当然、SMBにおいても扱うデータ量の増大は避けられない事態であり、必然的にストレージへの投資が増える状況になりつつある。同社においては「外付け型ディスクストレージは、999名以下の国内SMB市場において、昨年、2ケタ成長を遂げている」(日本HP 執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏)という。
ただし、SMBにおいては大企業よりもストレージ導入の障壁が多いのもまた事実だ。その最たるものとして導入価格、運用管理費、そして専門知識をもったIT人材の不足が挙げられる。
今回、日本HPが発表した2製品は、SMBストレージ市場に対する戦略的製品として投入される。だが、ストレージ単体を低価格で提供しても、意味がない。IT投資の予算も人員も限られているSMBにてストレージ導入を図るには、ストレージを取り巻くすべてのインフラを、コストと手間の両面から支援する必要がある。そこで同社は、SANスイッチ、HBA(ホストバスアダプタ)、4Gb SFPトランシーバなど、SAN関連製品の値下げにも同時に踏み切った。また、パートナー/販売代理店に対しては、「HP StorageWorks EVA パートナープログラム」の提供を開始し、EVAシリーズの拡販を推進する。IT人材が不足しがちなSMBにとって、ストレージ導入から運営/管理までのサービスを提供してくれる同社パートナーは重要な存在。パートナーの能力を向上させることによって、SMB市場への足がかりを確かなものにしたい構えだ。
国内ストレージ市場、とくにSMB市場が拡大傾向にあるのは事実であり、競合もまた多い。「単なる低価格競争にはしない。トータルコストを下げ、(SMBにとって)ストレージを導入しやすい状況を作ることが今の目標」と松本氏は語るが、誰の目にも明かなリーディングカンパニーが存在しない現在、今後の競争はより熾烈になることが予想される。「低価格」以外に、他のベンダの製品に比してどういった差別化要素をSMB顧客に印象づけることができるかが重要になってくるだろう。