できるだけ既存資産を活用
ソフトウェアAG 福島徹社長 |
ソフトウェア・エー・ジー(以下、ソフトウェアAG)は、BI(Business Intelligence)、BPM(Business Process Management)、BAM(Business Activity Moonitoring)、プロセス統合などのプラットフォーム製品スイートである「webMethods 7.1スイート(以下、webMethods7.1)日本語版」を発表した。アプリケーションのサービス化、プロセス構築、自動化、複合アプリケーション開発などの機能を備えており、企業のITシステムのSOA化とともに、非オープンの在来システムまでをも含めた、既存資産の再利用にも重点を置いている。
「webMethods7.1」は、「webMethods ESB(Enterprize Service Bus)」がアプリケーション連携の基盤となる。さらに、その中核と位置付けられるのが「Integration Server」だ。Webサービスの標準に対応しており、サービスを実行する。同社によれば、今回の版では、Webサービス実装の信頼性が向上化されているほか、操作性の改善などによりWebサービス開発の生産性が高められているという。
ソフトウェア・エー・ジー コンサルティング部 ディレクター ウェブメソッド 森川衡氏 |
いわゆるレガシーの資産を活用するための「Legacy Modernization」機能の領域では、特に大型汎用機の資産を扱うツール群が用意されている。「ApplinX」は、Web画面構築を担い、「EntireX」は、古い言語で記述されているプログラムをWebサービス化する。また、「ConnX」は、大型汎用機のデータベースへのアクセスを実現する。同社コンサルティング部 ディレクター ウェブメソッド 森川衡氏は「再利用すべき既存の機能は、メインフレームコンピュータに最も多く眠っている。これらを抜きにしてSOAを語るのは意味がないのでは」と話す。
またBPM領域に属する「Designer」はEclipseベースの設計ツールで、プロセス・モデルの定義、ユーザーインタフェースの作成、KPI(Key Performance Indicator:重要業績達成指標)の定義などができる。さらに重要なのは、各資産の依存関係を可視化できることであるという。森川氏は「あるサービスの再利用が進展すると、依存関係が複雑になる。これを十分に管理しないと、いわゆるスパゲッティの状態になる」と指摘する。そのほか、この領域では、シミュレーション、タスク分析の強化、ヒューマン・ワークフローの自動化の拡張といった点に注力されている。
BAMの分野では、「Optimize for B2B」が重要なビジネスデータを監視、B2Bのパートナーを含むバリューチェーンでのリアルタイム監視と分析ソリューションを提供する。これにより、パートナーとの取引までを含めた視点で、問題点を発見し、対処できるようになる。また「Optimize for Infrastructure」は、「webMethods7.1」全体にわたる管理ができる。統合基盤のコンポーネントや、サービスを監視し、ハード/ソフトの正常な稼動状況を自動的に学習、異常な動作を検出して警告する。
「つくる」「買う」から「組み立てる」へ
ソフトウェアAGの親会社、独Software AGは2007年6月、ビジネス統合ソフト/最適化ソフトの分野で事業を展開していた米webMethodsと合併しており、「webMethods」はかつては「webMethods Fabric」と呼ばれる製品だった。ソフトウェアAGの福島徹社長は「今回の『webMethods 7.1』は、Software AGとwebMethodsのいいとこ取りをしている製品といえる。企業が現在もっているものを再利用し、オープン化して、データベースも含めて、顧客の資産をなるべく手をつけずに統合することができる」と語る。
独Software AG シニアバイスプレジデント グローバルプロフェッショナルサービス&イースト オズ・ローミック氏 |
独Software AG シニアバイスプレジデント グローバルプロフェッショナルサービス&イースト オズ・ローミック氏は、「ソリューションの価値を迅速に引き出すには、最適な構築の手法を考えなければならない。ユーザーが何を重視しているかを考慮し、優先順位をつけ、方法論を提供していく。webMethodsスイートは世界各地で豊富な導入事例がある。それらから得られた知見は、当社の組織内に蓄積されており、さらに方法論に活かしていきたい」と述べた。
「webMethods7.1」の主眼は、SOA化に当たって、既存の資産をできる限り活かすことにある。その背景には「以前は、ITシステムはほとんどが『つくる』ものだったが、オープン化が進み、アプリケーションやパッケージを『買う』時代へと移行した。企業内には、これら既存の『つくったもの』や『買ったもの』のもつ機能がかなりある。今後は、これらを『組み立てる』ことが重要になり、ここで価値をつけていくことが主流になるのでは」(森川氏)との状況がある。森川氏は「既存の技術、資産を再利用して、新しいビジネスモデルの創出や、ビジネスプロセスを改善することにうまく利用するためのしくみが必要になる」と強調している。