韓国最大手の通信会社であるKTとソフトバンクグループが、IPTV用コンテンツを発掘するため、共同投資を行うと発表した。両社はコンテンツ市場の活性化や、メディア分野における競争力強化、そして差別化されたコンテンツの確保を目的とし「KTグローバルニューメディア投資組合」を結成したという。

ここでは両社が各200億ウォン(約20億9,800万円)ずつ出資して、計400億ウォン(約41億9,700万円)の投資組合を結成。実際の運用は、ソフトバンクベンチャースが行っていく予定だ。これによりアニメーションや教育、映画、ドラマなどといったコンテンツに関し、企画や制作段階から投資に参加し版権を確保するなど、コンテンツ事業における主導的な役割を担うことを目的としている。

両社ではここで確保したコンテンツを、それぞれのIPTV事業に活かしたい意向だ。

「通信会社からメディア・エンタテインメント企業へ」(KT)変貌を遂げようとしているKT。自社のIPTVサービス「Mega TV」開始以来、コンテンツへの活発な投資活動を行ってきた。KTではこれまでにも、直接投資となる今回の組合とは別途に、間接投資となる230億ウォン(約24億1,300万円)規模の投資財源プールも助成している。今回の組合とこの投資財源プールを合わせれば、KTでは630億ウォン(約66億1,100万円)にのぼる大規模なコンテンツ投資財源を運用することとなる。

さらにKT自身ではコンテンツの作成などが不可能なため、コンテンツを保有もしくは制作能力を有する他社との提携なども活発だ。映画制作会社のCidus FNHと、総合エンタテインメント企業のオリーブナインを買収しているほか、おもな提携企業だけを挙げても教育専用放送局のEBS、ワーナーブラザーズ、FOX、SONY、ポータルサイトのNaverなど多岐にわたる。

KTではこうした提携によって豊富に確保したコンテンツと、「通信の両方向性とを融合させたIPTVサービスを通じ、顧客に新しい価値を提供したい」と述べている。つまり自社の通信網を活かした、両方向のコンテンツサービスをいずれ主要なプログラムとして提供していきたいと考えているようだ。

ただしHanaro TelecomやLG DACOMなど韓国でIPTVサービスを提供している他社でも、現在活発にコンテンツ確保活動を行っているうえ、通信会社であるこれらの企業でもいずれ両方向サービスを提供してくることは容易に考えられる。そうなるとやはりコンテンツの豊富さ、おもしろさといったことが重要性を増してくるのだ。

今回結成された組合は「年内に600億ウォン(約62億9,600万円)~1,000億ウォン(約104億9,440万円)程度に増やす計画」(KT)であるということで、さらなるコンテンツ投資への規模拡大が見込まれる。

KTメディア本部長のチョン・マンホ氏(右)と、ソフトバンクベンチャース社長のムン・ギュハク氏(左)