ちょっと稼げてやり甲斐も! バーチャル職業の世界

セカンドライフ(Second Life)の世界での生活資金は、リアルの世界から送金することができますが、セカンドライフ内の仕事で稼ぐこともできます。稼ぎといっても、だいたいは円換算すると微々たるものです。もちろん、一方では、リアルの世界での生活費をセカンドライフで稼いでいる人もいて、センセーショナルに報道されたこともありました。

筆者の場合、セカンドライフ内で小さなショップをレンタルして細々と生計を立てています。リアルの世界に還元できるような儲けはありませんが、英語学習が当初の目的の筆者にとって、商店街のテナントさんたちとの世間話という英語の体験学習ができる環境は悪くありません。

でも、他の人は、一体、どんなスタンスでどんな仕事をしているのでしょう。ちょいと探りを入れてみました。

「わたしモデルになります」

「わたしがセカンドライフに来た理由がやっとわかりました。わたし、モデルになります」と宣言した知り合いの女の子がいます。

前回ご紹介した人気ショップのオーナーさんのプロフィールには「モデルは足りていますので、モデルの件での問い合わせお断り」というようなことが書いてありました。セカンドライフでも、モデルは女の子のあこがれの職業のようです。

別の視点からみると、アパレル産業はセカンドライフの基幹産業のひとつですが、それゆえ裾野が広がっています。過酷な競争の中で商品をアピールするには、すてきなモデルや写真が重要であろうことはそれとなくわかります。

Hienrichsさんのポートフォリオ(仕事先などに自己紹介として見せるプロの必需品)の1枚。撮影はセカンドライフでのプロのカメラマン

でも、セカンドライフのモデルって、一体、何なんでしょう。2007年に行われたモデルコンテストのひとつで約2,000人の応募者の中から上位5位に入賞し、現在はモデルやファッション評論家として活躍しているAi Hienrichsさんはこう説明してくれました。

「セカンドライフでのモデルは、デザイナー、クリエーター、各種業界、雑誌、写真家などの撮影に関係しています。ファッションデザイナーのショーで舞台を歩くこともあります。フリーランスのモデルもいれば、モデルエージェンシー所属の人もいます。セカンドライフのモデルさんたちは才能豊かな人が多く、モデル業の他にファッション関連のブログを書いたり、また、スタイリストやライター、マネージャー、クリエーターなども兼ねている人だったりしますね。

モデルになるには、(セカンドライフの機能である)ポーズやジェスチャーの使い方を知っている必要があります。服を正しく素早く着替えるテクニックや、撮影に適したメイク、髪型、眼、つけまつげ、ネイルや衣服を選ぶことも基本です。撮影やファッションショーの前には準備をしたり、リハーサルで練習を繰り返す辛抱強さも必要になります。」

Hienrichsさんの場合、セカンドライフでのモデル業は、リアルの世界からみると純粋に趣味になるということです。「優秀な写真家は、写真の中でアバターを生きているように見せることができるんですよ」と、モデル業の魅力を語ってくれました。

細長いステージの上を黙々と歩く人たち。モデル歩きの練習場に見えるのですが、スペイン語圏なのとすごい混雑で、施設の真相はわかりませんでした

翻訳会社を起業する

セカンドライフ内の使用言語は英語が主流とはいえ、いろんな言葉が飛び交っています。Peter Stindbergさんは、セカンドライフ内で翻訳会社を起業した方です。翻訳というと、リアルの世界へ展開しやすい業種のような気がしますが、そのあたりについて聞いてみました。

「わたしは、リアルの世界では雇用者の立場なので、セカンドライフで自らの会社を持つということは興味深い体験です。倫理に基づいて会社を経営していくにはどうすればいいかを経験しています。セカンドライフの仲間たちと会社をやっていくことは、チャレンジングでエキサイティングな仕事です。それに、リアルから見た収益は微々たるものでも、セカンドライフ内での私のライフスタイルを支える収入源になっています。

私の会社は、100%セカンドライフ内の会社です。セカンドライフ内で仕事の注文を受け、翻訳家たちとはセカンドライフで「会って」ミーティングし、仕事のやりとりもセカンドライフ内のインスタントメッセージでなるべく収まるようにしています。料金も、セカンドライフ価格です。たとえば、リアルで50ドル(約5,000円)かかるような仕事を、2,000リンデンドルぐらい(約800円)で請け負ってます。2,000リンデンドルはセカンドライフの物価でいうと、いいお金です。素敵な洋服と髪型を2セットは買えるでしょう。セカンドライフ内で翻訳に取り組むのは理にかなうことなんです。

セカンドライフに関係のない仕事は引き受けません。でも、たとえば、日本の会社がセカンドライフ内に会社を出して、そのプレスリリースを翻訳するといった仕事なら引き受けます。セカンドライフの知識に長け、もちろんスキルもある世界中の翻訳家たちが我が社にはいますからね」

Stindbergさん。海の見える素敵なオフィスです

ライフスタイルの数だけ職業の数がある

セカンドライフにいろんな人が参入するにつれ、業種も広がっているようにみえます。Hienrichsさんの話の中で出てきたように、セカンドライフ専門のカメラマンもいれば、モデルエージェンシーの会社を起こした人もいるようです。

セカンドライフで生まれリアルにも進出した「ZYNGO」というゲームがありますが、このゲームを無料で遊んで賞金をゲットするゲーマーもいれば、有料のゲーム機を設置してゲームセンターのオーナーになる人もいます。

無料の「ZYNGO」のゲーム機。画像の台は、ハイスコアを出すと50リンデンドルの賞金が出る設定になっていました

また、モノづくりをしなくても、小売り用のモノを仕入れて、お店屋さんごっこに参入することもできます。土地を購入し、ウィークリーマンションを開いている人もいます。

セカンドライフに居座る方法は人それぞれ。わたしはもう少し、売れないショップを続けてみるつもりです。

リテール品を専門に販売してるショップのようです。リテール専門の商品を作っている人気クリエーターのブーツが壁一面に並んでます

セカンドライフにはクレジットカードの業者もいます。画像はそのATM機です

「セカンドライフ三面記事」バックナンバー

・第1回 バーチャル"サクラ"を巡る攻防
・第2回 バーチャル不動産ビジネスの正体
・第3回 ヘルプ! 英会話教室の外国人講師にぼったくられる
・第4回 汗と涙で稼いだリンデンドルを"円"に換えたら(泣)
・第5回 或る女の不条理で(ちょい)欲深い日常
・第6回 設定が招いたディスコミュニケーション!?
・第7回 グリーファーの襲撃に筆者は武装も考えた……
・第8回 誤解も愛のうち……妙な日本文化に触れる