「2010年度までのブロードバンド・ゼロ地域解消」という政策目標を円滑に進めるための具体策を考える、総務省の「デジタル・ディバイド解消戦略会議」の第3回会合がこのほど開かれた。これまでの議論をまとめた第一次報告書案では、有線のブロードバンド網と携帯基地局をつなぎ、基地局から無線でブロードバンドサービスを提供する"合わせ技"の積極活用や、"ふるさとケータイ"の推進などが提言された。
ブロードバンド・ゼロ地域解消とは、全国誰でも申し込めばブロードバンドサービスを受けることができる状態を目指すもので、2006年1月に政府のIT戦略本部が打ち出した「IT新改革戦略」において、2010年度までに実現するとしている。
だが、2007年9月末時点で全国世帯の4.3%にあたる220万世帯が、まだブロードバンド・ゼロ地域であり、インターネットを使いこなして生産性を向上させている人々との格差「デジタル・ディバイド」の問題が指摘されている。
デジタル・ディバイド戦略会議は、ブロードバンド・ゼロ地域や、2006年度末で約42万人が携帯電話のサービスを受けられないとされる「携帯電話不感地帯」を解消するための政策を議論する場として、法政大学経済学部の黒川和美教授を座長として設けられ、2007年10月から議論を重ねてきた。
これまでの議論をまとめた形で、今回事務局から提示された第一次報告書案では、有線による整備が困難な地域約4万世帯に関して、有線と無線の"合わせ技"によるブロードバンド整備を提言。具体的には、ブロードバンド回線の収容局から携帯電話基地局まで同回線を整備し、携帯電話基地局から無線を活用して利用者にブロードバンドサービスを提供する。
また、中継回線のない離島や中山間地域などのブロードバンド・ゼロ地域約11万世帯に対しては、上空から広く面的にカバーできるインターネット衛星によるサービス提供も視野に入れるとしている。
また、携帯電話が通じない地域に関しては、携帯電話の無線通信インフラを自治体などが借り受けてサービスを提供する「ふるさとケータイ事業」を推進するための支援策を検討するとしている。
総務省 総合通信基盤局 事業政策課で同会議運営に携わっている品川健一氏は「今回の報告書案に沿って各都道府県単位で具体策をとりまとめてもらい、それを反映した形で6月の最終報告書、2009年度の予算要求につなげていきたい」と話している。