政府が2007年度の『国民生活白書』で推進を明言するなど、一般にも広く知られるようになった「ワークライフバランス」。今回、労働者の間でどれほどの認知度と理解が進み、制度の導入や利用が行われているかの実態を認識する調査結果がこのほど公表された。
調査を行ったのはJR東海 エクスプレスリサーチとインターネットコム。1月17日から19日の間、官公庁や地方自治体、民間企業に勤務する20代から60代の男女330人を対象にワークライフバランスに関するアンケート調査を実施。260人からの有効回答が得られた。
調査の結果、「"ワークライフバランス"の名称を聞いたことがある」と回答したのは49.6%。約半数に及ぶ人が何らかの形でワークライフバランスという単語を耳にしたことがあるという結果になった。
さらに、そのワークライフバランスを認知している人を対象に、「"ワークライフバランス"とは何かを知っているか」を訊ねる質問では、9.3%が「よく知っている」と回答。「だいたい知っている」と答えたのは67.4%にのぼり、合わせて8割弱の人がワークライフバランスについて、名称だけでなく、中身まで理解していることがわかった。
また、勤務先におけるワークライフバランス制度の導入状況について、ワークライフバランスの内容を理解している人の23.2%が「導入している」と回答。一般の認知度に対して、企業への導入はいまだ進んでいない状況が伺える結果となった。
さらに、ワークライフバランス制度を導入している企業に勤める人のうち、「利用したことがある」と答えたのは、わずか39.1%。60.9%が「利用したことがない」と答えており、認知は進んでいても、制度自体はあまり活用されておらず、浸透していない状況が明らかになった。
ワークライフバランスに関する取り組みは、昨今企業の間で活発化しつつあるものの、制度そのものが利用されなければ意味がないと嘆く人事担当者も多い。実際、今回の調査の自由回答欄では、「(制度が)導入されても利用しにくい環境」や「言葉では結構聞くが、実際にどうやっていくのか不明確」などの意見が回答者から寄せられ、ワークライフバランスが抱える課題が改めて浮き彫りになった。