マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーション プラットフォーム製品部 部長 野田良平氏 |
マイクロソフトは15日、SQL Server 2008の製品出荷に向けた取り組みと製品概要について説明するプレスセミナーを開催した。
まず概要説明を行った同社のサーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーション プラットフォーム製品部 部長の野田良平氏は、正式な製品発表スケジュールについて、米国で2月27日、日本では4月15 - 16日に製品発表が行われる一方、SQL Server 2008の開発工程完了(RTM: Release To Manufacturing)は現時点では夏ごろを予定していることを紹介した。また、SQL Server 2008の市場投入に向けた取り組みの骨子としては、「製品そのものの品質向上」と「製品を利用する技術者育成支援」を二本柱とし、「企業の基幹業務に使ってもらえる基盤製品」と位置づけていくことだとした。
2008で実施されている開発プロセスは、現行バージョンとして実績のあるSQL Server 2005のコードをベースに、新機能や改良を加えていくという穏当なものだという。現行バージョン向けのアプリケーションやソリューションとの連続性を維持し、運用管理や開発のノウハウの蓄積を活かす意味で重要であり、野田氏はこれを評して「よい意味でのマイナーアップグレード」だとしている。開発過程で公開される、従来のβ版に相当する開発版は、CTP(Community Technology Preview)と呼ばれており、現在は2007年11月に公開されたCTP5が最新となっている。CTP5では、最終的に組み込まれる計画の約100の新機能のうちの80%ほどがすでに実装されているという。さらに、3月までに公開される予定のCTP6では、すべての新機能が組み込まれる予定だ。
最後に同氏は、SQL Server 2008の目標として、「あらゆるサイズのエンタープライズの、より広範な業務に対応する"データプラットフォーム"と位置づける」とした。
続いて登壇した、同社のアプリケーション プラットフォーム製品部 エグゼクティブ プロダクト マネージャの斉藤泰行氏は、SQL Server 2008の5つのポイントである、
- コアバンキングなど超ミッション クリティカル システムで幅広い採用実績のあるSQL Server 2005をベースに開発
- 「透過的データ暗号化」「ポリシーベース管理」「データ操作監査」によるコンプライアンスの実現
- 「マルチインスタンス」「リソース ガバナ」「統合管理ツール」によるサーバー統合シナリオへの対応
- 「データ パーティション」「データ圧縮」による大規模データ ウェアハウスの実現と管理性向上
- 強化された「Reporting Services」および「Virtual Earth統合」による全社員向けBI基盤の提供
に沿って、それぞれの具体的な新機能についてデモンストレーションを交えて説明した。
マイクロソフト アプリケーション プラットフォーム製品部 エグゼクティブ プロダクト マネージャ 斉藤泰行氏 |
斎藤氏は開発プロセスに関して改めて詳細に説明を行い、「(SQL Server 2005をベースとする)製品(メインライン)は常に出荷可能に近い状態を保つ」「製品(メインライン)への反映はImprovement(新機能や機能強化の単位)の開発終了後に行う」といったポリシーで進められていることを明らかにした。新機能はImprovementという単位に分割され、それぞれ独立した開発チームが担当している。本体とは独立して開発が進められ、完成したものを組み込んでCTPがまとめられるという形式であるため、CTPに組み込まれた新機能は「完成度が高く、パフォーマンス等も製品レベルに達しているものが多い」という。このプロセスを採ったことでSQL Server 2005は「枯れた製品でありながら、イノベーションを忘れていない」ものになっているのだという。
このほかの具体的な新機能については割愛するが、最後に日本国内では初披露となった「Virtual Earth統合」について簡単に紹介しておこう。SQL Server 2008の機能としては、「Spatialデータ型のサポート」ということになる。サポートされるのは測地モデルに基づくGeography型や平面モデルに基づくGeometry型による地点(Point)のほか、地点情報で囲まれた領域である範囲(Polygon)などをデータとして持つことができる。また、地点や範囲に対して、地点間の距離や範囲の面積、範囲の重なり部分の抽出といった操作をT-SQLを使って行うこともできるという。
Virtual Earth統合は、SQL Server 2008に格納された地点情報を元にMicrosoft Virtual Earthの地図情報とを付き合わせ、地図上に情報を表示するなど、視覚的な情報表示を可能にするもの。従来特殊なアプリケーションというイメージのあったGIS(Geographical Information System)が手軽に使えるものとなることが期待される。