Daniel J. Bernstein氏は11月30日(米国時間)、メール転送ソフト「qmail」をパブリックドメイン化した。同日付けで氏のWebサイト上に公開されたメッセージにより明らかにされたもの。

今回パブリックドメイン化が明言されたプログラムは、qmailにとどまる。しかし、再配布に関するFAQのページは、今後情報の整理を進める方針であるとのことから、他のプログラムについてもパブリックドメイン化が行われる可能性は高い。

Bernstein氏は、数学担当の教授として大学に勤務する傍ら、「DJB」のハンドル名で数々のプログラムを開発。メール転送ソフトのqmailやDNSサーバのdjbdnsなど、いずれも鉄壁と評されるほど強固なセキュリティで知られている。プログラムはすべてソースコードが公開され、ライセンス料なしのフリーウェアとして利用できるものの、再配布の条件として一切の改変/カスタマイズが禁止されていた経緯から、バイナリパッケージでの再配布が困難な状況にあった。

特に知名度が高いqmailは、Bernstein氏が1996年に開発をスタートしたメール転送ソフト (MTA)。標準ライブラリの機能を使わず独自開発したコードを使用するなど、セキュリティ重視の方針が徹底されているほか、目的ごとに用意された小規模なプログラムを組み合わせて処理するといった工夫により高速性も確保。バイナリ配布が難しいという流通上の制約はあったものの、1997年の公開開始以降世界中に普及した。最新バージョンは1998年にリリースされたv1.03で、それ以降にセキュリティホールの存在は報告されていない。