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米BEA SystemsのMike Piech氏 |
日本BEAシステムズは、本社オフィスにおいてWebLogic製品群に関する説明会を開催。Sun Tech Daysでの講演のため来日した米BEA Systems, Senior Director, Product Marketing, WebLogic and Tuxedo ProductsのMike Piech氏が、「WebLogic Server 10.3(以下、WLS 10.3)」で搭載予定の新機能などについて解説した。本稿では、氏の話を基に、WebLogic製品群の特徴を紹介しよう。
WebLogic Server 10.3
Java EE(J2EE)の黎明期にリリースされ、今なお多くのJava開発者から支持され続けているWebLogic Server。今回Piech氏によって紹介されたWLS 10.3は、その次期版に当たる製品だ。
同製品は、米国時間の7日にTech Preview版が公開。現在、だれでも入手できる状況にある。正式リリースは2008年第1四半期になる予定で、国内では来年春の提供が計画されている。
Piech氏は、WLS 10.3の特徴を表すキーワードとして「Lightweight」「SOA」「Web 2.0」の3つを挙げた。以下、順に見ていこう。
Lightweight
同社では以前からSOAを推進しており、WebLogic Serverの内部でも、EJB、JMSなどに対応する各コンポーネントを「microService」というかたちでサービス化するアーキテクチャが採用されている。次期リリースでは、そのアーキテクチャを利用し、インストーラやWLS自体のサイズを小さくすることに成功している。
Piech氏によると「従来形式の(通常の)WLSインストーラは約600MBのサイズになる」という。同インストーラを使用するとWLSに含まれる全コンポーネントが取り込まれるが、実際の開発では、必ずしもそのすべてが使われるわけではない。そこで、同社では、「core WLS」と呼ばれる150MB程度の最小インストーラを用意。JDK等はオプションで付け加えるかたちにするという。これにより、ダウンロードおよびインストールの両作業に要する時間を節減することが可能だ。
また、WLS 10.3では、それ自体のサイズを抑える工夫もなされている。WebLogic Expressを使用すれば、EJBやJMSを起動することなく、WLSを利用できるようになる。当然、リソース消費量の削減につながり、アプリケーションの実行速度向上が見込めるわけだ。
加えて、再配備することなくクラスを修正することができる「FastSwap」機能が追加されたほか、コンソールの起動/実行速度も向上した。これにより、アプリケーションの改修が容易になり、近年主流となりつつある反復型のプロセスで開発を進めやすくなったという。
SOA
WLS 10.3では、SOAを実現するうえでの基盤技術となる各種のWebサービス/Java関連仕様への対応を一層強化している。
WS-Reliable Messaging 1.1、WS-Security、WS-Policyに準拠したほか、JAXB 2.1、JAX-WS 2.1に対応。また、異種プラットフォーム環境下におけるSOAを実現するための仕様「SCA(Service Component Architecture)」に対応した標準のランタイムも取り込む。なお、同ランタイムは、WLS 10.3がリリースされるころにTech Preview版が公開されるようだが、そちらも追って対応していくとのことだ。
Web 2.0
RIA(Rich Internet Application)への対応として、WLS 10.3では、AjaxフレームワークであるDojoのサポートを強化した。具体的には、Dojoで使用されているプロトコル「Bayeux」をアプリケーションサーバレベルででサポート。これにより、JavaアプリケーションとDojoアプリケーションとの間のやりとりが容易になるという。
将来追加予定の機能
氏は、さらに、WLS 10.3以降で採用予定の機能についても言及した。詳細は明かされなかったが、SCAの完全サポートを予定しているほか、Distributed CacheやRequest Brokerといった技術を取り込む予定だという。