国立高等専門学校機構とマイクロソフトは、今月4日から来年(2008年)3月末にかけて「全国高専キャラバン」を実施する。これは高度なIT技術を持った人材の育成を目的に、全国の国立高等専門学校の学生を対象としてマイクロソフトが講演や交流会を行うもの。初日である4日には、 国立東京工業高等専門学校にて出発式が行われた。

会場となった国立東京工業高等専門学校 - 出発式にふさわしく、天気は晴れ

出発式に先立って、マイクロソフトのアカデミック教育本部 本部長である富沢高明氏より、「全国高専キャラバン」についての説明が行われた。同氏によると「国際社会で活躍できる"国際競争力のある人材"を育成することがマイクロソフトのミッションのひとつ。その一環として今回のキャラバンが実現した」という。また、同氏は早期体験重視型教育を特徴とする高専で学ぶ学生の印象ついて「モチベーションが高く、何事にも熱心に取り組む姿勢を持っている」と語った。

マイクロソフトのアカデミック教育本部 本部長である富沢高明氏

全国高専キャラバンは、講師となるマイクロソフトの3名の社員が自動車(キャラバンカー)で全国の国立高等専門学校(国立高専)をまわり、各校の要望に応じた講演を行うというもの。講演後は学生との交流会も開催する。講演の内容としては、同社の最新製品を利用した.NETやASP、XMLなどの実践的な開発方法などを予定しているという。

現在、全国36校から講演の申し込みがあり、最終的には約40校を巡る計画という。受講人数は1校あたり100~120人を予定しており、合計で約5,000人の学生と交流を持ちたいとしている。

富沢氏に続いて国立高等専門学校機構の理事である小田公彦氏が高専の特徴などについて述べた。この中で小田氏はマイクロソフトの持つITの最先端技術や人材育成力について高く評価し、「マイクロソフトと共同で高度なIT教育を実施していきたい」と豊富を述べた。また、これを機にマイクロソフトの広報力を生かして、高専の認知度を上げていきたいという。

国立高等専門学校機構の理事である小田公彦氏

出発式では、今回のキャラバンで使用されるキャラバンカーが披露された。国立高等専門学校機構の理事である小田公彦氏と河村潤子氏、国立東京工業高等専門学校の校長である水谷惟恭氏、マイクロソフトのアカデミック教育本部 本部長である富沢高明氏の4人がテープカットを行い、キャラバンカーの出発を見送った。

テープカットのようす - 左から国立高等専門学校機構の理事である小田公彦氏と河村潤子氏、国立東京工業高等専門学校の校長である水谷惟恭氏、マイクロソフトのアカデミック教育本部 本部長である富沢高明氏

出発式にあたって、それぞれ「秋晴れの中で出発できることを嬉しく思う」(小田氏)、「この出発が素晴らしい未来に繋がっていることを願う」(河村氏)、「こういったこと(全国高専キャラバン)は涙が出るほど嬉しい。釧路から九州まで、あちこちを2万kmも移動することになるが、この車が全国をまわって、高専が元気になれば」(水谷氏)とのコメントを述べた。また、富沢氏によると、来年のImagine Cup(全世界の学生を対象としたMicrosoft主催のIT技術コンテスト)のテーマは"環境"ということで、キャラバンカーは環境に配慮したハイブリッドカーである「プリウス」にしたという。

「全国高専キャラバン」のキャラバンカー - 環境に配慮したハイブリッドカーであるプリウスで全国を巡る。ちなみに、ナンバーは「50-00」…「高専(こうせん)」を巡るということで「5000(ごせん)」を選んだとのこと

この全国高専キャラバンは今月6~7日に岡山県津市で開催される「全国高専プログラミングコンテスト」の会場を皮切りに、半年間、日本全国の国立高専を巡る。