シーメンス PLM ソフトウェアは、PLM(Products Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)ソフトのプラットフォーム製品「Teamcenter」の最新版「Teamcenter 2007」を発表した。SOAに全面的に対応するとともに、開発のための新たな機能「Business Modeler Integrated Development Environment(BMIDE)」を搭載。また、広く普及しているマイクロソフトのOffice製品と親和性のあるユーザ・インタフェースを備え、操作性の向上に重点を置いている。
既存のコンポーネントとの統合的活用が可能に
Teamcenterは、プロジェクト管理、要件管理、製造工程管理、部品管理、シミュレーション管理、レポート/分析、法令順守、サプライヤー管理、保守などについて、それぞれ製品群を用意しており、製造業が製品を企画する段階から、ユーザー支援、その製品が市場での役割を終える時期に至るまでの工程を管理、効率性向上とコスト削減を目指す。
製品体系全体の核としてSOAを取り入れたことが「Teamcenter 2007」の主眼であり、この製品のそれぞれの機能と、既存のコンポーネントを統合的に活用することができ、CAD(Computer Aided Design)、CAM(Computer Aided Manufacturing)、CAE(Computer Aided Manufacturing)といった、生産/製造のためのソフトだけでなく、ERP、SCMなどのシステムとも連携が可能となる。
Teamcenter 2007では、製品についてのすべてのデータを集約、単一化しており、開発業務に携わる権限が付与された要員は、どこからでもアクセスが可能となり、これらエンドユーザーは、さまざまな情報の検索のための時間を大幅に短縮できるという。また、工程についての情報、プログラムを再利用することができ、開発コストの削減につながる。
さらに、「インスタント・コラボレーション」との発想を掲げ、製品情報をオンデマンドで共有することが可能になっている。製品開発で、他の拠点と連携しながら作業をするような場合、必要な情報の収集と共有には長い時間がかかっていたが、同社では「これまでは3~4週間かかっていた作業が、数時間ですむようになった例がある」としている。「設計者やエンジニアは書類作成の作業から解放され、設計作業に時間をつかえる」(同社)との効果があるという。
市場のニーズとらえ製造工程を最適化
BMIDEは、オープンソースの統合開発環境であるEclipseを基盤としており、Eclipseが対応している多様なプラグインを利用することができ、拡張性を高めた。アプリケーションのカスタマイズなどは、これらのプラグインを利用することができ、エンドユーザーの負担が軽減される。
導入や、維持・管理のコスト削減の点では、マイクロソフトのOffice製品の操作環境に似たユーザーインタフェースを採用することで、エンドユーザーが製品操作の習得に、できるだけ時間がかからないようにしているとともに、SOA化で、実装、統合をしやすくしたほか、設定済みのアプリケーションの使用で、カスタマイズ工程を省くなどの配慮もしている。
レポート/分析の点では、PLMの環境の下に統合されているアプリケーションの情報を抽出、集計、分析する。これらのデータはレポート、ダッシュボードに生成され、表示、印刷にはHTML形式を用いる。
法令順守管理の面では、製品のライフサイクル全般にわたり、規制要件を捉え、法令順守の手順を文書化、開発工程にこれを統合することで、順守の具体化、実際の順守状況の追跡ができ、説明責任の追及、監査の態勢を整える。構成管理、記録管理、監査追跡などの機能を適用することにより支援する。RoHS(Restriction on the Use of Hazardous Substances:有害物質使用制限)指令や、電子機器リサイクル規制、自動車のリサイクル規制、医療機器規制、輸出規制などにも対応している。
サプライヤー管理では、リードタイム、属性など、サプライヤーについての評価をはじめとするさまざまな情報を取得、収集、管理し、最適なサプライ源を把握、効率的な部材調達を支援する。
製造業は投資して、製品を開発して世に出す。次第に収益が上がり、それが頂点に達し、やがて、他社との競合を経て、収益は下降、やがて製品は新たな製品に取って代わられ、市場を去ることになる。だが、同社アジア・太平洋地域マーケティング デジタル・ライフサイクル・マネジメント担当ディレクターのSammy Sit氏は「PLMソフトの使命は、このようなプロセスを最適化することだ。(市場の要求に応えた)正しい製品をできるだけ迅速に市場に投入することが重要だ」と強調、「Teamcenter 2007は、end to endのソリューションであり、市場が求めているニーズを確実に把握して、次の工程に移行することができる」と話している。