10月1日からシカゴで始まったAdobe MAX 2007 North America。AIR 1.0 Beta2やFlex 3 Beta2などの重要リリースが目白押しで、カンファレンスは盛り上がりを見せている。そんな中、筆者は1.0 プレリリース版が発表になったAdobe Media Playerに焦点を絞ったセッションに参加した。今回はそのセッションで得た最新情報も含めて、Adobe Media Playerのレポートをお届けしようと思う。
Adobe Media Player(以下、AMP) は、Adobeが2008年のリリースを予定している動画再生アプリケーションの名称だ。筆者がAMPに注目したのは、今回のAdobe MAXで動画コンテンツにかけるAdobeの並々ならぬ熱意を感じたというのが理由だ。例えば、次期モバイル版Flash PlayerであるFlash Lite 3は動画メディアの再生を最大の売りとする。またFlash Playerの次期バージョンである9.1(コードネーム"Moviestar")では、小容量/高品質の動画エンコード形式「H.264」の再生が可能になり、さらに3Dエフェクトのサポートが発表されている。こうした流れを踏まえると、デスクトップ環境におけるクリエイティブ環境を押さえる上でAMPが重要な役割を担うのは間違いないと踏んだわけだ。
いくつかのセッションの内容を踏まえた上で言うなら、AMPは「次世代のテレビ」を目標とした製品と言っても過言ではない。テレビと言うからには、動画の配信元と供給先が存在するわけであるが、その双方に対してこれまでにない利便性を提供する。
動画の供給先、つまりユーザにとってのメリットとしては、何と言っても動画情報のフィードをサポートしていることだ。AMPの詳しい操作方法は後述するが、サイトが配信する最新の動画情報をリアルタイムに購読でき、かつ高度なフィルタリング機能により情報の絞り込みを行える。また、ユーザの利便性を最重視した完成度の高いUIを利用できることも大きなメリットとして挙げられる。ユーザは動画に対して、単に視聴する以外の様々なアクションを行うことができるが、ブラウザの「進む」や「戻る」ボタンなどを模したUIのおかげで、現在位置を見失うことなくスムーズに操作を行うことができる(Adobeでは、こうしたUIを総称してGlide UIと呼ぶようだ)。
AMPをインストールするには、最新のAIRランタイム(Beta 2)がインストールされている必要がある。以前のバージョンがローカルマシンにインストールされている場合は、アンインストールが必要だ。
AIR Beta 2がインストールされている状態で、Adobe Labs内のダウンロードページにアクセスすれば、ダウンロード/インストールは容易に行える。現在のAMPは、Flash Videoファイル(*.flv)のみを扱うことができる。
Adobe Media Playerを起動すると、以下のようなUIが利用できる。
左側のメニューをクリックして行うことができるのは以下のようなアクションだ。
- My New Episodes - 「お気に入り」の中で、視聴していないコンテンツのフィードを表示する
- My Favorite Shows - ユーザが「お気に入り」に設定したフィードを表示する。フィードの追加、削除もここから行える
- Catalog - 配信されているフィードの一覧を表示する。ジャンルによる絞り込みや、カタログ内のフィードを選択して「お気に入り」に追加することなどが可能
- My Saved Videos - ローカルマシンに保存した/された動画コンテンツを表示する
- Downloads - コンテンツのダウンロード状況(ダウンロード可能なもののみ)を表示する。ダウンロードの一時停止やキャンセル、再開なども行える
- My Settings - 個人情報の設定を行う
ほぼ全ての画面でグリッド表示とリスト表示をサポートしており、また、画面上部の矢印キーで履歴を行き来したり、パンくずリストでメニュー階層が明示されているなど、非常に使い勝手の良いUIが実現されている。