SAPジャパンは8日、SAP ERP6.0の機能を拡張するための拡張パッケージ(SAP enhancement packages for SAP ERP 6.0)第二弾の提供を開始した。
SAP ERP拡張パッケージは、従来であれば大規模なアップグレードが必要であった新しいソフトウェア機能の導入を、本番稼働中システムへの中断を最小限に抑えながら容易に行えるのが特長。エンタープライズSOAの柔軟性により、既存のコアとなるERP機能の安定稼動を保持しながら新機能を導入することが可能。また、ユーザーはビジネス要件に応じて必要な機能のみを選択して適用することができる。SAP ERP拡張パッケージは、業種共通および業種特化型の機能拡張、業務プロセスおよびユーザーインタフェースの簡素化、新たなエンタープライズ・サービス機能などを提供する。拡張パッケージが提供する主要な機能は以下のとおり。
コア業務プロセス最適化のための柔軟性向上
拡張パッケージ第二弾の中にバンドルされているエンタープライズ・サービスにより、顧客情報や受注情報へのアクセスの改善、請求書や支払い処理の効率化、また売掛金や入出金管理の可視性の改善が可能となり、受注から入金までの業務プロセスを簡素化できる。SAP ERPに含まれる各コアアプリケーションも、拡張パッケージによって機能強化される。
事業計画や予測、連結会計、請求、与信、回収、クレーム管理を簡素化(SAP ERP Financials)
事業計画や予測、連結会計、請求、与信、回収、クレーム管理を簡素化。さらに、新しいSAP Bank Relationship ManagementはSWIFTNet(国際銀行間通信協会"SWIFT"が設立した金融機関ネットワーク)との統合を通じ、複数の銀行を経由する電子データのやりとりを容易にする。
SAP Enterprise Learningの提供(SAP ERP Human Capital Management)
SAP Learning SolutionやAdobe Connectによって実現するバーチャルクラスルームが含まれる。なお、SAP Learning Solutionは、2007年7月17日に米国のeラーニング標準化団体であるAdvanced Distributed Learning(ADL)からeラーニングのプラットフォームとコンテンツの標準規格であるSCORM2004(Sharable Content Object Reference Model)第三版の認定を受けたという。
新たなロールや、顧客情報にアクセスするための情報コックピットを提供(SAP ERP Operations)
新たなロールや、顧客情報にアクセスするための情報コックピットが提供される。また、受注処理プロセスが簡素化され、受注情報や請求書などの検索も容易になる。製造業では、「かんばん」プロセスの制御やモニタリング、および「平準化」方式に則った繰返生産を円滑に行なうことができる。
SAP ERP Corporate Services
SAP Travel Managementでは、新しい直感的なユーザーインタフェースやツールが提供され、導入時間やユーザーのトレーニング時間を短縮。エンタープライズ・サービスを活用し、パートナー・アプリケーションとの統合も実現。SAP Real Estate Managementでは、賃貸借物件や契約の管理、移転やサービス料支払いなどといった企業向けの不動産のビジネス要件をサポートすると同時に、複数の通貨での賃貸借管理を拡張。グローバルオペレーションの強化が可能になる。SAP Enterprise Asset Managementでは、エンドユーザーに、メンテナンス計画や業務プロセスのスケジューリングへの簡単かつ柔軟なアクセスを提供する。
業界特化型の新機能
業界特化型の新機能については次のとおり。
Trading Industries(小売・卸・商社): マスタデータ管理、仕入れ管理、店舗管理、代理店取引、コモディティ管理などを含む流通業界に特化したサポート機能を拡張。また、SAP GRC Global Trade ServicesやSAP Forecasting and Replenishmentなどの用途が特定されたソリューションとの統合強化。
Telecommunications(通信): 統合請求ソリューション(convergent invoicing)に、固定料金のようなイベントベースでの管理および請求を行なう機能を追加。
Utilities(公益事業): 非規制市場への対応強化、販売やサービスプロセス、請求および回収管理機能の向上、自動メーター基盤(Automated Meter Infrastructure)との統合強化。
Media(メディア・エンタテインメント): 販売予測、増刷管理、購買、配達および返品管理といった、新聞発行に関する機能を向上。