JR東日本グループはヒートアイランド現象の軽減効果のある屋上緑化を駅ビルなどの屋上に増やして屋上緑化を推進中だ。29日は先日完成したアトレ目黒の屋上緑化部分を「空中庭園」と名づけて一般公開を開始。屋上は建物内の関係者など、限られた人しか利用できないことが多いが、その中で癒しの空間を一般提供する試みには注目したい。

多くの駅ビルを有するJR東日本グループだが、従来、都心部の駅ビル等の屋上は未利用もしくは低利用だった。2004年2月、JR東日本新宿南部現業事務所で最初の屋上緑化が実現されて以降、環境保全活動の一環として、ヒートアイランド現象の軽減への貢献、真夏時の空調不可の低減を目的に順次導入を計っている。環境保全はもちろんだが、屋上緑化の持つ心理面へのリフレッシュ効果や景観向上効果などで、建造物の魅力向上も図られるのも狙い。

2007年6月現在、JR東日本グループの屋上緑化の導入実績は14件に達した。面積にして約6,500平方メートル。国立競技場の芝生面積の約85%に相当する広さだ。

JR東日本新宿南部現場事務所の屋上緑化。広さは285平方メートル。全面にコウライ芝が植えられてる

2007年秋にオープン予定の鉄道博物館の屋上緑化。2,236平方メートルの広大な面積の緑化が実現した

この計画は単に芝生を植えるなどして、緑化を進めるだけではない。JR東日本グループで多くの駅に近いショッピングセンターのルミネは、新宿店、横浜店など多くの店舗で屋上緑化活動を進めており、中でも北千住店では野菜の栽培も実施している。

同じくJR東日本グループのアトレ目黒でもアトレでは初めての屋上緑化が完成。29日より「空中庭園」と称して一般公開を開始した。面積は約100平方メートル。芝生を中心に草花や数種の樹木(シマトネリコ、ナナカマド、エゴノキ、アラカシなど)を配して、四季の移ろいを楽しめる工夫がなされている。なお、この施行に品川区も助成している。「都会の中で地面を使って緑化を進めるのは限界があるため、屋上部分の活用は積極的に進めている」(品川区道路公園課)とのことだ。 。 また、手軽に農体験や土いじりが楽しめる「たたみ一畳農園」を併設。NPO法人「PLANT A TREE PLANT LOVE」が主催し、地域の子供たちを中心にふれあいの場を提供している。今後は「いずれは演奏会など、イベントも実施したい」(東京圏駅ビル開発・広報)とのこと。雨天時に保護目的で閉鎖される以外は、アトレ目黒がオープンしている日の17時まで一般開放されている。

なお、JR東日本グループでは、今後はエキュート立川(2007年秋から2008年春にかけて計画)、川崎発電所事務所棟(2008年10月完成予定)の屋上緑化を進めることが決まっている。

ステージの上でテープカット

オープニングセレモニーを彩る演奏会

地域住民が気軽に利用できる「たたみ一畳農園」

綺麗に手入れされた芝の緑がまぶしいアトレ目黒の空中庭園