NECは7日、電話回線やネットワークシステムを自社資産として保有せずに、機器の数量やサービスレベルに応じた従量課金方式で企業が利用できる「オンデマンド型ネットワークサービス」の発売を開始した。IT機器とネットワークを統合したシステムのアウトソーシングサービスを提供することにより、導入企業のオフバランス経営を実現すると同時に、ネットワークシステムのコストを10~20%削減する。また、さまざまなアプリケーションを支えるサービスプラットフォームも併せて提供し、新規事業の立ち上げも支援する。同社は、新サービスを柱としたアウトソーシング事業を今後強化する方針で、3年先をめどに同事業の売上高4,500億円の達成を目指す。

瀧澤三郎・NEC取締役執行役員専務

同社によれば、従量課金方式のオンデマンド型ネットワークサービスの提供は業界初。発表会では、瀧澤三郎・取締役執行役員専務が、「メインフレームの運用が中心だった従来のアウトソーシングは、受ける側からすれば守りに入りがちな事業で、それまで使ってきたアプリケーションをあえて生かそうとするなど、顧客企業のニーズとのギャップが生じてきている」と強調。「メインフレームで必ずしも強くなかったNECだからこそ、システムを抜本的に変える業務改革を支援することができる」と、同サービスの狙いを説明した。

同サービスは、おもに4,000~5,000回線以上を使用する企業を対象に、回線調達から運用保守までを一括提供し、LANポートや電話機単位で増設対応を行う。企業内の電話サービスや、事業所間のWANサービス、事業所内のLANサービスなどにおいての利用を想定、電話機1台、回線1ポート単位から提供するという。これにより導入企業は新たにネットワーク機器を購入する必要がなくなるため、組織再編やM&Aなどの経営変化に伴う社内ネットワークを柔軟に変更することが可能になる。また、IT機器ごとにかかる費用が明確に分かるため、コスト削減も容易になる。同社によれば、すでにオムロンが導入しており、約20%のコスト削減効果があったという。

また、映像や認証、セキュリティなど新たなビジネスアプリケーションを支えるサービスプラットフォームの提供も併せて行い、顧客企業の新事業創出を支援する。ビジネスモデルに合わせた共通IT基盤を提供することで、企業が資産を持たずに短期システムの構築が可能となる。

NECは、アウトソーシング事業を強化する中期計画において、同事業の社員を2,200人から3,200人に拡充し、約3年後をめどに売上高4,500億円の達成を目指す。また、首都圏に2,500平方メートル規模の増設を計画するなど、データセンターの拡充も行う。