インストーラであり、システム設定ツールであるsysinstall(8)
FreeBSDでは長らくシステムインストールツールおよびシステム設定ツールとしてカーソルベースのアプリケーションsysinstall(8)を採用してきた。sysinstall(8)は動作が軽快で多くのプラットフォームやリソースの乏しい環境でも動作し、シリアルコンソール経由でも操作できるといった特徴を備えている。
一方、現在のインストーラと比較するとUIリッチさに欠けるという点以外にも、FreeBSDがサポートしているサウンドカード、ビデオカード、CPU周波数変更、Wi-Fiといった最新のデバイスを活用しておらず、またGEOM、gjournal、ZFS、MACといった最新の機能も活用していないなどといった問題がある。いわばちょっと質素なアプリケーションだ。
利点はそのままにインストーラは次の世代へ - finstall
sysintall(8)が備えている利点はそのままに不満点を解消するインストーラ「finstall」の開発が進められている。Google SoCのプロジェクトとして採択されたもので、開発と成果物が期待される。最終的に実現するべき目標は次のとおり。
- 最近のi386/amd64ハードウェアで動作すること
- VESAグラフィックを活用すること
- インストールとFreeBSDシステムベース設定の2つの機能を実現すること
- 設定ツールとしてインストール後も活用しやすいツールであること
- 拡張性が高いこと
具体的には次のような動作が検討されている。いわゆるモダンなUNIX互換システムインストーラの利点をまとめたような仕様といっていい。
- バックエンドとフロントエンドに分離した構造にし、ネットワークを経由して操作できるようにする
- 初期のフロントエンドはGtkベースのUIを採用する(開発にはpyGTKが使われる)
- LiveCDとして動作する(ウィンドウプラットフォームが実行できない場合はコンソールで動作)
- LiveCDのバイナリをダイレクトにインストールへ活用する
finstallではFreeBSDで導入された機能も活用される見通し。いろいろなパターンが考えられるが、現在検討される機能は次のとおり。
- GEOM_LABELの全面的な採用
- GtkbベースのGUIフロントエンド
- バックエンド-フロントエンド間通信にXML-RPCを採用
- デフォルトのファイルシステムとしてUFS + gjournalを採用
Google SoCの採択プロジェクトであるため、開発期間に限りがあるが、時間が許せばほかのインタフェースの追加も実現したいとされている。開発が間に合った場合、FreeBSD 7.0-RELEASEに同インストーラが同梱される可能性もある。今後の進展が楽しみなプロジェクトだ。
|
開発中のインストーラの画面 - 開発が間に合えばFreeBSD 7.0に含まれる可能性あり |