業務アプリケーションSaaSを手掛けるネットスイートと、コンタクトセンターSaaSを手掛けるホワイトパジャマ・ジャパンは14日、マーケティング面で協業することを発表した。これにより、顧客からの直接の窓口となるコンタクトセンターとビジネスアプリケーションとを融合したサービスが、初期投資ゼロで利用できるようになる。

両社は、どちらもSaaS(Software as a Service:ソフトウェアにより提供されるサービスをネットワーク経由で利用し、対価を払う形態)ベンダーとしてサービスを展開している。SaaSのメリットは、少ない初期投資で完成度の高いサービスを利用でき、サービス規模の拡大/縮小にも柔軟に対応できることである。

ネットスイートは、米国NetSuite社の日本法人として2006年4月に設立された。主力製品であるNetSuiteは「オンデマンド統合ビジネスソリューション」と位置づけられており、、経理、ERP、CRMなどの主要な業務アプリケーション機能をSaaSとして提供する。その売りは非常に高いカスタマイズ性。顧客にとって最適なかたちのソリューションを提供するのはもちろんのこと、ビジネスパートナーにとっても、NetSuiteというプラットフォームの上で新たなビジネスモデルや新サービスを構築/販売できるなどの可能性がある。SuiteTalkと呼ばれるWebサービスインタフェースも備えており、他社製品との連携も容易に行えるのが魅力だ。

ホワイトパジャマ・ジャパンが提供する「Contactual」は、IP電話網、公衆網のどちらにも対応したコンタクトセンターの機能を提供するサービス。同社が米Contactualからのライセンス販売契約を締結している。通常コンタクトセンターの開設には多大な初期投資が必要だが、SaaSとしてサービスを提供することにより「1席/1ヵ月単位から」利用可能と、コンタクトセンター導入への障壁を大幅に低くする。

今回発表されたサービスは、Contactualが提供するコンタクトセンター機能と、NetSuiteが提供する業務アプリケーション機能のうちのCRM機能をシームレスに統合するというもの。統合によって、顧客からの電話をContactualが受け取った際にNetSuiteのCRMデータベースから顧客データを自動的に抽出して画面に表示したり、顧客情報をクリックするだけで顧客に電話をかけたりすることができるようになるという。

今回の連携で実現するソリューションは、中小規模のコンタクトセンター需要を対象としてマーケティングを展開する。ネットスイート 代表取締役社長 東貴彦氏によると、今回の連携はソリューションの販売自体もさることながら、国内のSaaSマーケットを作り上げることも大きな目的であるとする。同氏、そしてホワイトパジャマ・ジャパン 代表取締役社長 鈴木禎宏氏によると、現在の顧客は、SaaSに対しては大きな期待を抱きつつも、抵抗感も少なくない状態だという。その抵抗感の理由は、実績不足、処理性能に対する不安など。これらを払拭し、SaaSマーケットの先駆者となるための第一歩として、今回の連携に対して期待と自信を覗かせていた。

ネットスイート 代表取締役社長 東貴彦氏(左)と、ホワイトパジャマ・ジャパン 代表取締役社長 鈴木禎宏氏(右)