Apollo α版のリリース、Flex SDKのオープンソース化など、ここ最近、立て続けにビッグニュースを発信しているアドビシステムズ。同社は今、IT関係者の間で最も大きな注目を集めている企業だと言えるだろう。そうした中、同社のプロダクトを支持する開発者たちはどういった雰囲気で活動を続けているのか。それを突き止めるべく、筆者は、Adobe Flex関連のユーザコミュニティとしては日本有数の存在であるFlex User Groupが主催する勉強会へ潜入取材を試みた。

主催者の横田聡氏

Flex User Group(FxUG)は、その名の通り、Adobe Flexに何らかの関わりを持つ(もしくは、持ちたいと考える)人々が参加するコミュニティだ。クラスメソッドの横田聡氏が指揮をとり、月1回以上のペースで勉強会が開かれている。参加するのに資格は一切不要、初心者大歓迎、参加方法はFxUGのWebサイトでアカウントを作るだけだ。

今回参加した第17回勉強会はアドビ社内の会議室で行われた。

最初に発表を行ったのはアドビの社員。今後開かれるイベント予定や最近のホットなニュースなどについて紹介した。このことからもわかるとおり、アドビでは、FxUGのようなユーザコミュニティに対して積極的な働きかけを行っている。開発者とのつながりを重視しているわけだ。ベンダとの距離がこれほど近ければ、コミュニティも自然と盛り上がる。今回参加して最も驚いたのはやはりその活発さ、参加者たちの積極性である。

勉強会は、自ら立候補したスピーカ達が1人10分の持ち時間内でFlexに関する「何か」を発表する、という形式で進められる。その「何か」は完全に自由であるため、非常にバリエーションに富んだ内容になっている。例を挙げれば、「ActionScriptのオープンソースプロジェクトポータル」の開設と紹介、「自作フレームワーク」のデモ、Flexを用いて自社で構築したサービスの事例紹介、Apolloに関する技術的な調査結果などである。マニアックな技術ネタでも、宣伝でも一向に構わないという自由な雰囲気がかなり好感を持てた。しかも発表のレベルはどれも高い。今回の勉強会にはSeasarファウンデーションのひがやすを氏も参加し、ActionScript言語への高度な洞察を発表していた。

参加者の顔ぶれも非常に多彩だ。今回の参加者は70名にも及んだが、デザイナーやクリエイターといった職業に従事している割合が2割にも上る。これはJavaコミュニティなどでは考えにくいことだ。おまけに参加者の中には現役大学生までいた。さらに驚いたのが「Flex初心者」の割合で、なんと参加者の3割以上が初心者だというのだ。

これほどまでに敷居が低く、レベルが高い勉強会は珍しい。しかも、他業種の人とも自然に触れ合えるため、技術力の向上もさることながら、人脈の形成や、視野の拡大にも役立つ。

勉強会の風景。50名入る会場でも入りきらない

個人的な感想としては、今回参加した勉強会は「参加して良かった」と思わせる充実ぶりだった。今後については、大阪での勉強会開催が決定しているうえ、名古屋で開かれているActionScript勉強会とも連携していきたいとのこと。その活動領域をどんどん拡大しつつある。ApolloやFlexに興味のある読者は、FxUGに参加してみてはいかがだろうか。コミュニティのパワー、有難み、そして楽しさを実感できることは間違いなしだ。