エムエスアイコンピュータージャパンの「X-Slim」シリーズは、その名のとおり同社が展開する"薄型"モバイルノートのラインナップである。6月に発売された「X340 Super」は、CULV版のIntel Core 2 Soloを採用した、プラットフォームの面でも注目できる製品だ。つい最近、価格改定による値下げも実施され、さらに魅力が増した感がある。うっかり1台入手してしまったので(?)、その実力を紹介しておきたい。

エムエスアイコンピュータジャパンの「X-Slim X340 Super」

20mm未満の極薄ボディに充実のインタフェース

「X340 Super」の特徴は、何といってもその薄型ボディにある。本体サイズは224×330×6~19.8mmと、最厚部でも20mmを切るボディを持つ。もちろん、光学ドライブを内蔵しない1スピンドル製品とはなるが、この携行性の高さを考えれば、2スピンドルノートとは別のセグメントの製品と考えるべきだろう。

天板部には同社ロゴ。なお、写真はホワイトモデルだが、ラインナップにはブラックモデルも

本製品は薄型ボディであるだけでなく、手前方向になだらかに収束させることで、よりスマートさを感じるデザインになっている。天板部に取り付けられた同社ロゴは、電源オン時にバックライトによって光るというギミックも盛り込まれている。また、薄型ボディにもかかわらず、実際に触ってみたときに華奢な印象は受けない。とくにベースとなる本体部分はかなりガッシリしており、スリム製品の大きな課題である過重に対する耐久性は、メーカーでもしっかり考慮して作っていることが伺える。

天板部のMSIロゴは電源オン時にバックライトによって光る仕組み

DVDトールケースとの厚み比較。最厚部19.8mmの雰囲気が伝わるのではないだろうか

バッテリはリチウムポリマータイプ。このリチウムポリマーの採用も、薄型ボディに適応するためだ。裏面のスペースを大きく割いて4セルのバッテリが取り付けられている。

バッテリはリチウムポリマーを使った薄型のもので、4セルタイプとなる

また、こうしたスリムかつスタイリッシュな製品の場合、I/Oスペースに利用できる面積が狭くなって、インタフェースが少ないというトレードオフが発生する可能性もある。だが、本製品はUSB 2.0×2、サウンド入出力、GigabitEthernet、D-Sub、HDMI、SDカードスロットと、充実したインタフェースを備えている。

本体右側面。USB 2.0×2、サウンド入出力、電源端子を備える

本体左側面。SDカードスロット、HDMI、有線LAN、D-Sub出力を備える

とくにフルサイズのD-Subがそのまま付いている点はビジネス利用においても有用だし、HDMI端子を備えているのも、このクラスの製品としては贅沢な仕様だ。強いて不満を挙げるならば、USBが片側に2ポートという点だろうか。ただ、写真を見ても分かるとおり、デザイン上、これ以上のインタフェース搭載は難しそうで、致し方ない印象は受ける。

SDカードスロットは曲面になった部分に備えており、スロット保護にダミーカードを備えている

液晶上部には130万画素Webカメラを搭載

このほか、液晶ディスプレイ上部には130万画素のWebカメラを搭載。30万画素Webカメラの採用も多いなか、130万画素に対応している点は魅力となる。また、ネットワーク機能は先述のGigabitEthernetのほか、802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetoothを内蔵している。全体にモバイルPCとして必要なインタフェースをきっちり備えている製品といえるだろう。

本体手前部には各種インジケータを装備。白色LEDを使った品の良い印象を受けるインジケータになっている

液晶ディスプレイは13型で1,366×768ドットの解像度を持つ。最近では採用例が増えた1,366×768ドットの液晶であるが、より小さな12.1型や10.1型の製品に比べて、かなり余裕のある13型での採用となる。実際に見ても文字サイズなどに余裕があり、少々もったいない気もするほどだが、視認性の良さはメリットになる。もちろん、10.1型以下のサイズ(つまりネットブックなど)では、もっと低解像度の液晶を使っているわけで、一つ上のクラスの製品を決定付ける解像度ともいえるだろう。

1,366×768ドットの解像度を持つ13型液晶。文字サイズはかなり余裕を感じるが、光沢タイプなので映り込みはしやすい

13型ノートということで、キーボードスペースはわりと余裕を感じる配置になっている。とくに左端にHome/End、PageUp/Downキーを独立して備えているのは大きな特徴となっている。ただ、こうした独特のメリットは、多少の慣れを必要とするのも確かだ。例えば筆者の場合、右端にBackSpaceキーがあるキーボードに慣れていたので、Homeキーを間違えて押してしまったことが何度かあった。キーピッチの余裕を確保するためか、Enterキーを一段分しか備えていないのも独特なところで、これも慣れを必要とする。

キーボードはHome/End、PageUP/Downキーを独立して備えるほか、Enterキーが一段分となるなど特徴あるもの

とはいえ、多くのモバイルノートでFnキーとのコンビネーションによって実現されているキーを独立して備えていることは、使い勝手の向上に大きく寄与するのは間違いない。慣れさえすれば、手放せないキー配列に感じるようになると思う。

タッチパッドもやはり面積が大きめ。パームレストの一部をくぼませるようなデザインになっており、デザイン全体ともうまく調和がとれている印象を受ける。ただ、ボタンは左右ボタンが一体化したものなので、これもやや慣れが必要な印象を受けた。

最後に付属品のチェックであるが、まずACアダプタはわりと小型のものでモバイルに向いたものとなっている。

ACアダプタとケーブル。ACアダプタのサイズは小振り

マウスも付属する。一見するとワイヤレスマウスのようにも見えるものだが、実はケーブルがマウス内に収納されているものとなる。ケーブルの収納も自動巻き取りなので手軽に行えるようになっており、モバイルノートPCに付属するマウスとしては申し分ないモノが付属しているといえる。

付属のマウスは、ワイヤレスマウスにも見えるほど、携行性の良いもの

ケーブルはリール状に収納されており、使用時に引き出して利用する

さて、次回は本製品のPCとしての仕様やパフォーマンス、ソフトウェアについて触れて行くことにしたい。