不動産の売却で、仲介依頼する不動産会社はどこがいいのかと悩んでいませんか。
不動産売買の仲介をおこなう企業は多数ありますが、それぞれ得意分野があるため、売りたい不動産に向かない会社を選ぶと後悔の残る取引になってしまう恐れがあります。
また、不動産には「定価」の概念がないので、最初だけ高い査定額を提示して契約を取ろうとする悪質な業者も存在します。プロに任せておけばよいというわけではなく、信頼できる優良な不動産会社を見極める術を自分でも持っておくことが重要です。
本記事では、最適な不動産会社の見極め方や、大手・中小・特化型の不動産会社の傾向やメリット・デメリットを取り上げます。
その他、不動産会社選びで後悔しないためのポイントや、不動産売却の流れ、現在売却活動中の売主さんにおこなったインタビューコーナーなども紹介するのでぜひ参考にしてください。
- はじめに「最新版|不動産会社売買実績ランキングTOP5」で実績豊富な不動産会社をチェック!
- 「不動産売却はどこがいい?信頼できる不動産会社の特徴」で良い不動産会社の特徴を理解!
- 知名度の高い【大手不動産会社】・地域に根差した【中小不動産会社】のメリット・デメリットをそれぞれ把握し、おすすめの不動産会社を確認しよう!
- 「不動産会社選びで後悔しないためのポイント」で自分に合った不動産会社を選択するコツをおさらい!
- 最後に「不動産の売却活動中の売主さんに直撃インタビュー」でリアルな声をみてみよう!
一括査定サービス利用者が選んだおすすめサービスTOP3
※クラウドワークス、クロスマーケティング調べ(2021/4/9~2021/4/13実施 回答数380人)
こちらは、サービス利用者のアンケート結果による「おすすめの不動産一括査定サービスTOP3」です。実際の利用者の声と編集部の知見が合わさってできたランキングですので、ぜひ参考にしてください。
なお、不動産一括査定サービスは、それぞれ対応するエリアや提携する不動産会社が異なるため、1つだけでなく複数のサービスを利用することをおすすめします。
次の記事ではより多くのサービスを含めたランキングや「査定結果の満足度TOP3」や「親族・友達におすすめしたいTOP3」などカテゴリ別にもランキングを紹介しています。さらに詳しく知りたい方は読んでみてください。
「【2024年7月最新!】不動産一括査定サイトおすすめ人気ランキング10選!口コミ・アンケートをもとにサービスを徹底比較」
※本記事は専門家監修のもと作成しています。監修者情報はこちら
200人を対象に不動産売却と不動産一括査定サービスに関する意識調査を行った以下の記事もおすすめです。
最新版|不動産会社売買実績ランキングTOP5
初めての不動産売却でも、不動産取引の実績が豊富な不動産会社なら安心でしょう。株式会社住宅新報の調査によると、執筆時点での不動産売買仲介実績ランキングは次のとおりです。
取扱高の高い順でまとめました。
順位 | 不動産会社名 | 取扱高(百万円) | 仲介件数 | 手数料収入(百万円) | 店舗数 |
1 | 三井不動産リアルティグループ | 1,918,415 | 39,106 | 91,047 | 291 |
2 | 東急リバブル | 1,821,310 | 30,265 | 82,644 | 220 |
3 | 住友不動産販売 | 1,396,127 | 34,906 | 72,549 | 249 |
4 | 野村不動産ソリューションズ | 1,060,313 | 9,985 | 45,257 | 98 |
5 | 三井住友トラスト不動産 | 566,112 | 8,128 | 24,981 | 68 |
“参考:不動産流通推進センター「2023不動産業統計集」”
ここからは、上記5つの不動産会社について詳しく解説します。
1位:三井不動産リアルティグループ「三井のリハウス」
基本情報
資本金 | 200億円 |
設立年月 | 1969年7月15日 |
対象エリア | 札幌、東北、首都圏、関西、中国、九州 |
対応不動産の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用不動産 |
事業内容 | 個人向け不動産仲介事業 法人向け不動産仲介事業 駐車場事業 その他事業 |
公式サイト | https://www.mf-realty.jp/ |
三井不動産リアルティグループは、不動産売買の仲介実績に定評のある不動産会社です。仲介件数業界1位を38年間維持し続け、幅広い不動産取引にノウハウがあります。
不動産売買事業部門である三井のリハウスでは、主に個人向けの不動産探し・購入・売却・賃貸など、豊富なサービスを提供しています。1975年の仲介業務開始以来、累計取扱件数は100万件以上。顧客満足度も高く、2022年度のアンケートでは利用者の97%が「三井のリハウスを薦めたい」と回答しました。
また、建物や設備の点検・修理、買取サポートシステムなど、売買支援サービスも充実しています。豊富な実績で得たノウハウで、状況や事情を踏まえた最適なアドバイスができる点は強みでしょう。
- 実績豊富な大手に不動産売却を任せたい人
- 確かな知識で売却をサポートしてほしい人
- さまざまな選択肢を視野にプロのアドバイスがほしい人
2位:東急不動産ホールディングス「東急リバブル」
基本情報
資本金 | 13億9630万円 |
設立年月 | 1972年3月10日 |
対象エリア | 札幌、仙台、東京、神奈川、埼玉、千葉、名古屋、大阪、兵庫、京都、福岡、 海外(台湾、シンガポール、ロサンゼルス、ダラス) |
対応不動産の種類 | マンション、戸建て、オフィス、店舗 |
事業内容 | 不動産仲介業(売買仲介および賃貸仲介) 新築販売受託業(新築マンション・建売等の販売代理) 不動産販売業(新築マンションの分譲・リノベーション事業等) |
公式サイト | https://www.livable.co.jp/ |
東急不動産ホールディングスグループの東急リバブルは、売上高第2位を達成しました。
マンション・土地・戸建てなど個人の居住用不動産の取り扱いはもちろん、事業用の不動産取引にもノウハウがあります。このようにバリエーション豊かな不動産取引実績があり、独自データを活かしたAI査定や価格相場検索も可能です。
また、売却サービスが充実している点もメリットです。
建物・設備保証や、壁・床リペアリング、水まわりブライトニング、3Dウォークスルーなど、独自の手厚いサービスも豊富。住み換えや相続などに関するサポートもあるので、幅広いユーザーに支持されています。
- 幅広い不動産の取引に実績がある会社を選びたい人
- 営業を受ける前にAI査定や相場検索で情報を得たい人
- 独自の売却サービスが充実している会社で売却したい人
3位:住友不動産販売「すみふの仲介ステップ」
基本情報
資本金 | 29億7,000万円 |
設立年月 | 1975年3月1日 |
対応エリア | 北海道、宮城、東京、埼玉、神奈川、千葉、大阪、 京都、兵庫、滋賀、奈良、愛知、岡山、広島、福岡 |
対応不動産の種類 | マンション、戸建て、土地、事業用・投資用不動産、賃貸の仲介 |
事業内容 | 不動産の売買、賃貸の仲介業務 不動産の受託販売業務 不動産の賃貸業務 前各号に付帯関連する業務 |
公式サイト | https://www.stepon.co.jp/ |
住友不動産販売のすみふの仲介ステップでは、全国にネットワークを持ち、首都圏や都市部に限らず、郊外の不動産売買にも対応しています。
土日も含めて21時まで対応できるオンライン無料相談があり、来店が難しい人にも利用しやすいです。また、不動産売却の相談からアフターフォローまで同じスタッフが担当するなど、一貫したサポート体制も魅力です。
物件周辺の相場や購入希望者を調べることもできます。全国に多くの顧客を抱えているため、早期成約にも期待できるでしょう。
- 相談から売却後のサポートまで一貫して担当してほしい人
- 自分の不動産を購入したい人がいるか不安がある人
- 郊外の不動産を売却したい人
4位:野村不動産ソリューションズ「野村の仲介+」
基本情報
資本金 | 20億円 |
設立年月 | 1957年4月15日 |
対象エリア | 東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、京都、滋賀、愛知、海外 |
対応不動産の種類 | マンション、戸建て、土地 |
事業内容 | マンション分譲事業、戸建分譲事業、投資・開発事業 ビルディング事業、建築・設計事業、資産運用事業 など |
公式サイト | https://www.nomura-solutions.co.jp/ |
野村不動産ソリューションズの野村の仲介+(プラス)では、売却する不動産の特徴やエリアに合わせた多面的な販売戦略が特徴的です。
野村不動産グループの総合的な解決力を活かし、リフォーム・リノベーションや住み替え、土地活用の相談や、相続や税金・ライフプランニングといった悩みへのサポートもあります。
住み替え目的の不動産売却だけでなく、リノベーション売却や土地活用など幅広い取引に対応している点は魅力です。
- さまざまな目線から不動産売却をサポートしてほしい人
- 売却にあたって物件のリノベーションも検討している人
- 土地活用など売却以外の利用方法にも興味がある人
5位:三井住友信託銀行グループ「三井住友トラスト不動産」
基本情報
資本金 | 1986年1月24日 |
設立年月 | 3億円 |
対応エリア | 東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、三重、大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀、 岡山、広島、福岡、熊本 |
対応不動産の種類 | マンション、戸建て、土地 |
事業内容 | 不動産の売買・交換の仲介およびこれに付帯・関連するコンサルティング業務 |
公式サイト | https://smtrc.jp/ |
三井住友信託銀行グループの三井住友トラスト不動産は、正確な査定力に強みがあります。豊富な取引データに基づいた分析で査定額を提示し、不動産一つひとつの特徴に合わせた売却が可能です。
また、豊富な取引データは、AI不動産査定やマンションライブラリーなどのサービスにも活かされています。チャットボットを用いた不動産相談サービスでは、365日24時間いつでも不動産売買に関する相談が可能です。
さらに、大手でありながら地域の情報にも精通しています。売却後まで配慮して買い主を選ぶなど、顧客第一のサポート力が魅力です。
- 査定力の高い不動産会社を選びたい人
- 気軽に不動産売却の相談がしたい人
- 大手の安心感と地域に精通した信用性を求めたい人
不動産売却はどこがいい?信頼できる不動産会社の特徴
不動産売却では、自分が売りたい不動産タイプの取扱いが得意で、かつ信頼できる優秀な不動産仲介会社を見極めることが成功の鍵となります。まず初めに、最適な不動産会社を見極めるために注視したいポイントを紹介します。
売却エリアの情報に精通している
売却する物件の近くにある不動産会社であれば、その地域の情報をよく把握しているため、売却に有利になるような積極的な売却活動が期待できます。
地域の情報を持っていれば、物件を魅力的にアピールすることができます。たとえば、「公園や児童館が近く、子育て環境が充実している」「最近、街灯が新しくなって夜でも安心」など、地域の情報を知っているだけで購入を検討している人により寄り添った案内ができるでしょう。
売却実績が豊富
過去の売却実績も、不動産会社を選ぶ際の重要な判断ポイントになります。売却する物件があるエリアでの売却実績や、同じような条件の売却実績で得られたノウハウがあれば、有利に進めることができる可能性が高いです。
また、直近の実績があるということは、他にも顧客を抱えている可能性があるため早期売却が期待できるでしょう。
売却実績が豊富かどうかは、次のようなポイントで確認できます。
- 不動産会社のホームページで確認する
- 不動産ポータルサイトの会社紹介ページで確認する
- 口コミサイトで確認する
- 店舗看板やホームページのうたい文句を見る
- 掲示されている広告を見る
まずは公式ホームページや、ポータルサイトでの登録物件情報を閲覧しましょう。売買物件を多く取り扱っていれば、売買に力を入れている不動産会社であると確認できます。
店舗にも実績を判断するポイントが隠されています。店舗を訪れたら、店舗看板や店舗前に貼り出された広告を見てみましょう。
看板に「賃貸・管理・売買 ○○不動産」と書いてあれば、主に賃貸物件を扱う不動産会社だろうと推察できます。売却を依頼するなら、「売買」が一番に掲げられ、広告に売買物件が多く並ぶような不動産会社を選びましょう。
査定額と算出理由に説得力がある
不動産会社を選ぶときは、査定額の高さだけで決めるのは危険です。契約ノルマを達成するために、高い査定額を提示している悪質な業者も存在するからです。
査定額を見るときは、どのような理由や根拠があってその金額になったのかもチェックしましょう。
納得のいく説明をしてくれる不動産会社こそ、信頼できる業者といえます。
免許番号や過去歴に申し分ない
不動産売買の仲介をするには、宅地建物取引業の免許が必要です。全国展開している不動産会社は国土交通大臣免許、地域密着型の不動産会社は各都道府県知事が発行し、それぞれ番号が振り当てられています。
もし免許がない場合は無許可営業を意味しているため、番号が正しいものか過去歴に問題ないか調べるとよいでしょう。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業上検索システム」の利用で、免許をもつ不動産会社情報を閲覧できます。行政処分履歴などがわかるのでチェックしてみてください。
免許は「国土交通大臣免許(3)○○号」、「東京都知事免許(2)○○号」と表示され、括弧内の数字は免許更新回数のことです。更新は5年に1度、11年目であれば3なので、数字が大きいほど経験が長いことを意味します。ただし、経験が長いからと必ず信頼できるというわけではありません。
営業担当者の対応が適切
顧客のことを第一に考えた不動産会社であれば、問い合わせや要望に対して正確かつ迅速な対応をしてくれるはずです。査定を依頼したときの担当者の対応や、問い合わせメールに対する返事も重要な判断基準になります。
なかにはしつこい営業電話をしてくる場合もありますが、優良な不動産会社は売主が嫌がるような行動はしないはずです。顧客の立場に寄り添った適切な対応ができるかという点も信頼度の見極めポイントになります。
インターネット媒体にも力を入れている
インターネット広告の充実度も、不動産売却を成功させるポイントのひとつです。
近年、パソコンやスマートフォンなどでネット上で手軽に物件探しをするケースが増えています。インターネット広告に注力している不動産会社なら、より多くの購入希望者に広告を見てもらえる機会が増えるでしょう。
また、大手不動産ポータルサイトに積極的な物件情報を掲載できるかも決め手の一つになります。
売却プランや広告が魅力的
査定依頼をした際に提示された金額は同じでも、売却プランも同じとは限りません。明確なプランがあるのか否かで不動産売却の成功率は大きく変わるため、どのように売り出すのか道筋がしっかりしているところがおすすめです。
また、広告も要チェックです。物件写真は不動産会社が撮影しますが、写真の撮り方1つで魅力度が変わります。各社が作成する広告を比較し、興味がもてる内容かチェックしましょう。
【大手不動産会社】メリット/デメリット
まずは知名度の高い大手不動産会社で取引する場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
ネットワークが広く宣伝力に期待できる サービスが充実していて選択肢が多い ブランド力による安心感と認知度がある | 囲い込みや後回しにされるリスクがある マニュアルが徹底していて融通が利きづらい 地方や特定エリアの情報に疎い場合がある |
大手不動産会社のメリット
ネットワークが広く宣伝力に期待できる
大手不動産会社の大きな特徴は、その圧倒的なネットワークの広さです。ネットワークの広さ=高い宣伝力という大きなメリットになり得ます。
不動産を売るときには、ポータルサイトへの広告掲載や担当者の営業活動などを経て、時間をかけて購入希望者を探すことになります。しかし、知名度が高く、抱える顧客数の多い大手不動産会社なら、より短期間で物件の情報を広げることができるでしょう。
また、大手不動産会社は全国各地に店舗を構え、その店舗間で連携を取ることができる環境を整えています。例えば、他県から引っ越し予定の方でも、最寄りの店舗に相談に行くことで引っ越し先の店舗で取り扱っている物件情報を得ることが可能です。つまり、大手企業のネットワークの広さは不動産を売りたい顧客と買いたい顧客をより早くマッチングさせることにつながるのです。
サービスが充実していて選択肢が多い
サービスの充実度も大手不動産会社の大きな魅力です。通常、不動産会社が担う業務は、売主と買主を結びつけるための仲介業務にとどまります。しかし、大手不動産会社であれば、仲介業務以外にも、多彩なサービスやサポートが充実している場合があります。次のようなサービスが、その一例です。
- ハウスクリーニング・設備修繕サービス
- 専門家による建物の基礎・外壁のインスペクション(※1)サービス
- 荷物の一時預かり・仮住まい提供サービス
- 契約不適合責任(※2)に問われた場合の一部を補償するサービス
不動産会社を選ぶ際、どうしても高い査定額を算出する会社が選ばれがちです。しかし、売却時にかかる費用も含めて考えてみると、上記のようなサービスを提供している不動産会社のほうが手元に残るお金が大きくなる場合も珍しくありません。また、売主に直接メリットがあるサポートがなくても、買主が受けるサポートが充実していると、よりスムーズに買主が見つかる可能性が高いという側面もあります。
不動産会社のホームページなどで、どのようなサービスやサポートが提供されているのか確認しておくと良いでしょう。
ブランド力による安心感と認知度がある
大手不動産会社の高いブランド力は、顧客の安心感にもつながります。売主から見て安心感が高いことももちろんですが、不動産の購入を考えている方から見ても、認知度の高い不動産会社が仲介している物件なら安心だと思う人も多いでしょう。
不動産の購入は、人生に一度あるかないかの大きな買い物になります。特に中古物件を購入する際、買主は「価格は妥当なのか?」「災害時の備えは?」「シロアリの対策は大丈夫か?」など、さまざまな不安を持っているものです。
大手不動産会社の仲介であれば、高いブランド力で「この会社が保証しているなら大丈夫だろう」という安心感を与えることができます。
大手不動産会社のデメリット
両手取引による囲い込みのリスクがある
大手不動産会社で取引をおこなう場合は、囲い込みに注意しましょう。顧客の多さを利用して両手取引を推し進める恐れがあります。
両手取引とは、不動産会社が売主と買主の双方と契約を結び、1社で両者をマッチングさせる取引のことをいいます。両手取引を成立させた不動産会社は売主と買主の双方から仲介手数料をもらえるため、売主か買主のどちらか一方からしか仲介手数料が得られない片手取引よりも、得られる利益額が大きくなります。
利益だけを追求して両手取引を目指すような業者は、前述したような囲い込みをおこなう恐れがあります。利益だけでなく、売主や買主の立場でよりよい取引方法を提案してくれる業者を選びましょう。
囲い込みを避けるためには、不動産会社に仲介業務を依頼する段階で「囲い込みが不安」と伝えておくことがおすすめです。売主が囲い込みの知識を持っていることをアピールするだけでも、じゅうぶん抑止につながるでしょう。
また、大手不動産会社は多くの顧客を抱えているため、担当者が多数の案件を並行して扱っている可能性があります。
同時に扱う案件が多すぎると、早期の売却が見込まれる物件を優先的に扱い、自分の不動産を後回しにされてしまうことも考えられます。質問をした際の連絡が迅速か、対応は丁寧かなど、しっかり見極めてから契約を結ぶようにしましょう。
マニュアルが徹底していて融通が利きづらい
それぞれの顧客の都合や物件に合わせた柔軟な対応が難しいことは、大手不動産会社と取引することのデメリットだと言えるでしょう。
大手不動産会社は、全店舗で統制が取れるようマニュアルが徹底されている傾向があります。マニュアルに基づいた社員教育や方針決定をしておかなければ、「店舗ごとに対応が違う」「他の店舗ではやってもらえたのに」といったクレームにつながりかねないためです。
しかし、マニュアルが徹底されすぎていると、その分、臨機応変な対応が難しく、顧客が「融通が利かない」と感じることにもなります。また、担当者に決定権がないことも多く、何か要望を出した際、返答に何かと時間がかかる場合も多いでしょう。
地方や特定エリアの情報に疎い場合がある
売りたい不動産のエリアによっては、大手不動産会社では満足のいく仲介業務を期待できない可能性があります。
不動産の売買仲介には、その地域の情報をよく知っておくことが大切です。一見、不便と思われる地域でも、評判の良い学校の区域内であったり、過ごしやすい気候であったりと、魅力を伝えることができれば購入意欲を向上させることも可能です。
しかし、一般的に大手不動産会社は、アクセスの良い駅前や、人口の多いエリアに集中して出店することがほとんどです。
全国に店舗を構えているものの、人通りが少ない地方や利便性の悪いエリアなど、地域によっては情報に弱く、思ったような宣伝効果が得られないケースがあります。また、店舗が多いため社員の異動が多く、担当者がその地域の情報に精通していないことも珍しくありません。
おすすめの大手不動産会社3社
大手不動産会社の例として、三井不動産リアルティグループ・住友不動産販売・東急リバブルの3社を取り上げ、特徴やサービスを紹介します。
【中小不動産会社】メリット/デメリット
地域密着型の中小不動産会社では、全国的に店舗を増やすのではなく、ある地域に根差して店舗を構えることが一般的です。
「地元にお世話になったことがある不動産会社がある」「できれば地元の不動産会社に相談して交通費などを浮かしたい」と考えている人も多いでしょう。
この章では、中小不動産会社で取引する際に考えられる、メリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
地域に精通した独自の情報網がある 担当者の裁量が大きく対応に柔軟性がある 少額・訳あり物件でも受け入れてもらいやすい | 知名度がなく広い集客力は望めない 担当者の能力にばらつきがある 広告のクオリティは大手にはかなわない |
中小不動産会社のメリット
地域に精通した独自の情報網がある
中小不動産会社は、地域に密着して営業しているため、その地域について独自の情報網を持っていることが多いです。
不動産を売却するなら、その物件自体の魅力だけでなく、地域の魅力を伝え、住み心地の良さや利用価値の高さをアピールする必要があります。地元の情報を知っていれば、より多くの宣伝ポイントを記載した広告が作成でき、購入希望者が現れた際にも適切なアピールをおこなうことができるでしょう。
また、地域・地元の情報網を活かして、売却する不動産を必要としていそうな顧客や業者に直接アプローチすることも可能です。不動産によっては、大手の高いブランド力を駆使するよりも早く、買主を見つけることができるかもしれません。
担当者の裁量が大きく対応に柔軟性がある
地元密着の中小不動産会社のほうが、担当者一人ひとりの裁量が大きく、決定権を持っていることが多いです。そのため、大手不動産会社よりも柔軟な対応が期待できます。
大手不動産会社ではトップまでの距離が遠く、何か要望を出した際にも回答が得られるまで時間がかかることもあります。しかし中小不動産会社なら、店舗の規模が小さいため、営業担当からトップまで風通しが良いことが多いです。
ただし、中小不動産会社であればすべてが対応が柔軟というわけではありません。見極めることなく安易に契約を結んだり、無理な要求をしたりすることがないようにしましょう。
少額・訳あり物件でも受け入れてもらいやすい
事件や事故が起こった物件や、狭小地、いびつな形の土地など、売却が難しい不動産の売却なら、地元に精通した中小不動産会社のほうが親身な対応が期待できる場合があります。
大手不動産会社は顧客の数が多く、売却が困難と思われる物件には力を入れてもらえなかったり、仲介を断られたりする恐れがあります。一方で地域密着型の不動産会社は、地域の価格相場を理解しているため、少額物件であっても敬遠される心配が少ないでしょう。
また、地域との結びつきが強く、評判によって売上が大きく左右されるため、訳ありの不動産でも親身に対応してもらえる可能性が高いです。大手不動産会社で売却できないといわれたときや、低い査定額を提示された場合には、地域で信頼される中小不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
中小不動産会社のデメリット
知名度がなく広い集客力は望めない
大手不動産会社と比べると、知名度の低さはデメリットといえます。その地域では有名で信頼された不動産会社であっても、テレビCMやインターネット広告を流すわけではないので、ブランドとしての集客力はあまり期待できないでしょう。ブランドとしての大きな広告ではなく、電柱広告やチラシ配りなど、地元住民への広告に力を入れている場合が多いです。
同じような特徴を持った不動産でも、ブランド力がある不動産会社が仲介している物件や、サービスが充実した不動産会社の物件が選ばれやすくなります。競合する物件が多いほど、中小不動産会社では売却が難しくなる恐れもあります。
担当者の能力にばらつきがある
地元の中小不動産会社では、厳格なマニュアルを用意せず臨機応変に対応できるような教育をおこなっていることが多いので、担当者によって営業力にばらつきが生じることも多いです。実務経験の少ない営業担当者にあたってしまうと、満足のいく売却にならない場合もあるでしょう。
地域密着型の不動産会社で取引をおこなうなら、査定時にしっかり質問をして、説明がわかりやすいか、根拠がしっかりしているか、地域についての情報や知識を持っているかなど、信頼できる営業担当者かどうかの見極めをきちんとおこないましょう。
広告のクオリティは大手にはかなわない
地域密着型の不動産会社のなかには、大手不動産会社と比べて資金が少なく、広告費用を節約している会社も存在します。
今や、買主はインターネットで不動産情報をチェックして購入を検討することが一般的となっています。そのため、有名不動産ポータルサイトに情報が載っているかどうかで、売却期間が大きく異なります。
しかし、不動産ポータルサイトに物件情報を掲載するには掲載料がかかります。十分な資金がない中小企業では、自社ホームページへの掲載やチラシ広告に注力し、大々的な広告に積極性が見られない恐れもあるでしょう。
また、地域密着型の不動産会社はその顧客も近くのエリアに住んでいることが多いため、基本的には紙媒体でポスティングをおこなうなどして購入希望者を募ります。その不動産会社の得意なエリアを超える幅広い地域への宣伝は、あまり期待できないでしょう。
おすすめの中小不動産会社3社
中小不動産は数も多く、特色もさまざまです。
今回は、東京都・大阪府・福岡県の3つの地域にを得意とする不動産会社を一例として取り上げました。不動産会社選びの参考としてください。
不動産会社 | 詳細URL | 特徴 |
SRE不動産 | 都心部の戸建て、マンションの売却が得意 ソニーグループの子会社として信用度が高い ソニー開発の精度の高いAI査定が利用できる | |
イーアス不動産会社 | 大阪市を中心に、近畿圏の不動産売買に特化 弁護士や税理士などの専門家や、専門分野に特化した不動産会社とも連携 買取にも対応 | |
三好不動産 | 福岡市を中心に福岡県の不動産売買に特化 あんしん売買トータルサポートで安心 リースバックに対応 |
このように、一口に中小といってもそれぞれ異なる特徴を持っています。売却を依頼する前に、複数社を比較して特徴を調べてみるとよいでしょう。
不動産会社選びで後悔しないためのポイント
不動産売却に失敗しないためには不動産会社選びは非常に重要です。この章では、後悔しないポイントを紹介します。
大手か中小かで決めない
不動産会社選びは会社の規模は関係なく、地域情報に精通しているか売却ノウハウがしっかりあるのかが重要です。選択肢を幅広くもつことで、自分に最適な不動産会社が見つかるはずです。
ただ不動産売却のセオリーとして、都心部や地方都市の不動産売却は大手、郊外の不動産売却は中小とはよく言われています。
都心部や地方都市は人気かつ需要が高いと考えられるため、「購入したい」「気になる」と思わせるような大々的な宣伝広告を作れるのは売上重視な大手だからこそできることです。
一方、中小はその地域情報に精通していることが多く、郊外の不動産売却をしたい売主に対し、地域の需要に合わせたアドバイスをしてくれる可能性が高いです。宣伝広告は大手ほどではなくても、目を惹かれるようなものを作る不動産会社もあります。
いずれにせよ、会社の規模にとらわれず、売却活動に親身になってくれるかなど売主に最適なアドバイスをしてくれる不動産会社を選びましょう。
評判の良い不動産会社・担当者を見極める
実際に不動産売却を経験した人の意見を参考に、不動産会社選びで何に注力すべきか考えていきましょう。
以下はすまいステップが不動産売却経験者1500人におこなったアンケート結果です。依頼先の決め手となったのはどのような理由か見てみましょう。
仲介依頼を決めるきっかけになったのは「担当者の信頼度」がダントツでした。
知名度や実績などよりも、結局、直接やりとりすることになる営業担当者の人柄が重要になっていることが分かります。不動産会社選びは、担当者とのコミュニケーションを軸に良し悪しを見定めていくという方法もよいでしょう。
また、下記はイエウールが売却経験者100人におこなったアンケート結果です。
不動産売却で後悔したことの第5位、第7位に、不動産会社選びに関する項目がランクインしています。「査定額だけで依頼先を決めてしまった」というのは、不動産会社のことをよく調べず安易に契約したということでしょう。
査定額はあくまでも予測売値です。不動産会社のおいしい話につられて契約を結んでしまえば、実際の話と食い違ってくる場面が必ず発生します。現実的な売値とその根拠をしっかりと説明できる不動産会社・担当者こそが信頼できるパートナーといえるのです。
- 担当者のコミュニケーション
- 査定額の根拠!
- 現実的な売値相場の見極め!
不動産一括査定サイトで複数社を比較
不動産売却では、まず自分の不動産の価値を知ることが大切です。不動産の価値を調べるために便利なのが不動産の一括査定サイトです。
不動産一括査定サイトとは、一度の情報入力で複数の不動産会社に査定を依頼することができるサービスで、複数社の査定額を比較することで相場を把握することができます。比較することで、より条件に合う不動産会社を絞り込める点も大きなメリットです。
不動産会社は、それぞれ得意としている物件やエリア、売却方法が異なります。売りたい物件の扱いが得意な不動産会社を選択することで、売却成功率も高まるでしょう。
不動産売却のまず第一歩は、不動産一括査定サイトを活用すること!
不動産の売却活動中の売主さんに直撃インタビュー
不動産の売却を予定している人にとって、他の売主の意見は非常に参考になるものでしょう。
編集部では、築50年になる戸建て住宅の売却を予定しているSさんにインタビューをおこない、不動産会社の印象や査定内容について詳しくうかがいました。
不動産の売却を検討し始めたきっかけは?
もともと住んでいた戸建ての売却を検討しています。今はそちらは賃貸に出し、私は別の場所で家族と暮らしているのですが、現在の家が築14年となり世帯人数も変わったので、2〜3年以内にはリフォームしようということになり、リフォーム資金が必要になったのがきっかけです。売却時期もそのくらいまでにと考えています。
不動産の査定はどのような流れで依頼しましたか?
あまり知らないところではなく、大手もしくは地元の馴染みのある不動産会社で相談しようと思っていたところ、たまたまSNSですまいValueの広告を見つけ、よく知っている大手に依頼できるということで一括査定を依頼しました。
すまいValueは大手6社に査定依頼ができる便利なサイトですよね。依頼後はどのような対応がありましたか?
三井のリハウス、住友不動産販売の2社に机上査定をお願いしたのですが、両者とも「物件を見ないと査定できない」ということだったので住所をお伝えしました。入居者がいるので入室はできない旨も伝えたので、恐らく外観だけ見に行かれていると思います。
なるほど。近隣の環境なども参考にされたかったのかもしれないですね。その他、何か聞かれたことはありますか?
希望売却価格や時期、売却に関してハードルになっていることなどは聞かれましたね。
あとは雑談に交えて家族構成や私の収入についての話もあったように記憶しています。
不動産会社の対応や査定結果に対する印象は?
2社とも業界トップクラスの大手なので、はじめはなんとなくマニュアル気質というか、丁寧さに欠ける部分があるのかなと思っていたのですが、実際はそんなことはありませんでした。
特に三井のリハウスでは、まだ売却時期も決まっていないにもかかわらず今後の売却方針や税金についてなどいろいろとアドバイスもくださって、誠実さも感じました。
査定結果については2社で20万円ほどの違いはありましたが、それほど大差なく予想の範囲内でしたよ。路線価や立地の需要についてなどの説明もあり、納得できる内容でした。
現状では、三井のリハウスのほうがやや好印象となっている状況でしょうか?
そうですね。住友不動産販売は売却時期がまだ先ということであまり詰めた話をしていないので印象はまだ薄いです。一度だけ、担当者間の連携ができていなかったのか、違う人に同じ説明を2回しないといけなかったのは、少し気になりました。
三井のリハウスからは、建物の築年数が進んでいるので解体して更地として売却することを提案されました。名古屋駅からのアクセスも良いので、土地の評価が高いのならそれもありかなぁと思っています。
査定後、しつこい営業連絡や迷惑な対応などはありましたか?
特にしつこい連絡はきていません。三井のリハウスとはやりとりを続けていますが、必要最低限の頻度というか、迷惑に感じたことはないですよ。
現在は大手2社のみコンタクトを取られているご状況ですが、今後は他の不動産会社も比較してみたいと思いますか?
大手の対応力や査定結果に大差がないならば、地元の企業も検討したいとは思っています。やはり生まれ育ったこの地域が好きですし、できれば地元に還元したいという気持ちがありますから。
売却にあたって不安に感じていることはありますか?
不動産を売却した後の税金のことは気になっています。今回、相続もあるので手続きが多く、うまく管理できるのか不安に感じる部分はあります。
また、売却益次第で現在の家のリフォームをどこまでできるのかにも影響するので、場合によっては一部を貸し出すとか、いっそのこと今の世帯人数に合う新居を探したほうが良いのかなど、考えることがたくさんある状態です。
いろいろな事情を同時に考えなければならず、売却のタイミングも難しいですね。
もし同じような悩みを持つ読者がいれば、どのようなアドバイスができるでしょうか?
不動産知識を少しでも勉強しておくと良いと思いました。
今回、相続税の計算のため評価額の出し方を事前に税理士さんから説明を受けていましたので、査定の際に担当者の言っていることがある程度は理解できました。こちらが知識を持つことでより詳しく話ができるので、担当者の人柄や力量も見極めることができると思います。
Sさんは、相続やリフォーム、賃貸中の入居者への配慮など、多方面での悩みを抱える状況ですが、すまいValueを利用して出会った三井のリハウスからは丁寧な対応やアドバイスがあり、今後の売却方針を固めている最中ということでした。
不動産売却では、家を売るだけでなく、相続や住み替えなど同時並行でやることがあるケースが多いので、不動産会社のサポートが鍵となります。サポート力がある不動産会社を見極めるには、自身でもある程度の相場感や不動産知識を身につけておく必要があるでしょう。
Sさんのように一括査定サイトなどを活用して複数の会社を比較し、親身に接してくれる優良な不動産会社を見つけてください。
不動産売却についてよくある質問
ここからは、不動産売却に関する質問を紹介します。
まとめ
不動産売却を成功させるカギは不動産会社選びにあります。不動産会社には大手・中小・特殊型の3種類があり、そのなかから自分の不動産の売却を得意としている不動産会社や、状況に適した不動産会社を選ぶことが大切です。
取り扱いに向かない不動産会社に仲介を依頼してしまうと、売却に時間がかかったり、本来の価格よりも安く売却することになったりと、マイナスの側面が大きくなってしまいます。
今回解説したそれぞれのメリット・デメリットを参考に、自分の不動産の売却に向いている不動産会社を選びましょう。
監修者情報
売買・賃貸不動産会社、不動産管理会社勤務を通算8年経験し、現在、宅地建物取引士業と併せてWEBライター業に携わっている。専門・得意分野は不動産全般、起業など。間取り図、特に、随所に工夫がうかがえるマンションの間取り図が大好き。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
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