不動産売却の注意点を解説!流れと基礎知識をおさえてベストな売却を

多くのお金が動き、今後の生活にも大きな影響を与える不動産売却。「何から始めればいいのか」「どんなことに気をつければいいのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

しかし、売却の流れと各ステップの注意点を事前に把握しておけば、スムーズで後悔のない取引につながります。

この記事でわかること

  • 不動産売却の流れ(8ステップ)と各段階で気をつけるべきポイント
  • 売却方法の選び方(仲介・買取・個人売買・任意売却)の違い
  • 2026年の法改正(住所変更登記の義務化)が売却に与える影響
  • 空き家相続・離婚・リースバックなど状況別の注意点
  • よくある失敗パターンとその回避策

不動産売却を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

マイナビニュース不動産査定おすすめ

優良な担当者に不動産売却を依頼できる『タクシエ』
※画像引用元:タクシエ公式サイト

タクシエでは通常のマンションや一戸建てだけでなく、空き家や投資用物件の依頼も受け付けています。担当者は次の条件で厳選された精鋭たちなので安心して売却活動を進められますよ!

  • 宅地建物取引士(宅建士)の資格保有者
  • 仲介経験5年以上(原則)
  • 成約実績100件以上(原則)

他にもタクシエでは、WEB面談や電話だけでなくチャットでの質問や相談も受け付けています。忙しい方でも隙間時間を使って売却活動を進めることが可能です。

まずは60秒で無料相談

目次

不動産売却の流れと注意点の全体像

不動産売却は、大きく分けて8つのステップで進みます。まずは全体像を把握し、各ステップで注意すべきポイントを確認しましょう。

ステップ内容主な注意点
STEP1売却方法を決める仲介・買取・個人売買・任意売却の特徴を理解する
STEP2事前準備をする名義確認・費用把握・境界確認・相場調査
STEP3査定を受ける複数社に依頼し、査定額の根拠を確認する
STEP4媒介契約を結ぶ3種類の契約の違いを理解し、囲い込みに注意する
STEP5売却活動を行う内覧対応・契約不適合責任への備え・書面での記録
STEP6売買契約を締結する契約書の確認・手付金や解除条件の把握
STEP7決済・引き渡し必要書類の準備・決済当日の流れの確認
STEP8確定申告をする譲渡益・譲渡損失それぞれの対応と特例の活用

一般的に、査定から引き渡しまでの期間はマンションで約7〜8ヶ月、戸建てで約8〜9ヶ月、土地で約10〜12ヶ月が目安とされています。余裕を持ったスケジュール設計が、売却成功の第一歩です。

STEP1|売却方法を決めるときの注意点

不動産の売却方法には大きく「仲介」「買取」「個人売買」「任意売却」の4つがあります。それぞれの特徴と注意点を理解し、自分の状況に合った方法を選びましょう。

「仲介」は仲介手数料の仕組みを理解する

仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に入って取引を成立させる売却方法です。専門知識や司法書士との連携により、スムーズな取引が可能になります。

仲介手数料は成功報酬で、法律で上限が定められています。

売買価格仲介手数料の上限
800万円以下33万円(税込)
800万円超売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税

※令和6年(2024年)7月の法改正により、800万円以下の物件(空き家等)における仲介手数料の上限が一律33万円(税込)に変更されました。

計算例:1,000万円の不動産を売却した場合

(1,000万円 × 3% + 6万円)+ 消費税 = 39万6,000円(税込)

「買取」は査定額が相場より低くなる理由を理解する

買取とは、不動産会社が直接買主となる売却方法です。不動産会社は再販時の利益やリスクを織り込むため、売却価格は相場の6〜8割が目安となります。

買取には2つのタイプがあります。

  • 即日買取:不動産会社が提示した価格に合意した時点で売却が成立する
  • 買取保証付き仲介:一定期間仲介で販売活動を行い、売れなかった場合に買取を保証する

仲介手数料が不要で短期間での売却が可能な一方、売却価格が低くなる点がデメリットです。「早期に現金化したい」「周囲に知られずに売りたい」という方に適しています。

「個人売買」は法的リスクを把握する

売主と買主が直接取引する個人売買は、仲介手数料を省ける一方で、契約書作成・登記・税務処理などの専門知識が必要です。不備があれば損害賠償に発展する可能性もあります。

また、親族間での売却では以下のリスクに注意しましょう。

  • 適正価格より著しく低い価格での売却は贈与税が課される可能性がある
  • 親族間売買は住宅ローンが組めない場合がある

個人売買の詳しい手順や注意点は、「土地を個人売買するには?流れや必要な費用、注意点も解説」もあわせてご確認ください。

「任意売却」は早期着手がカギ

任意売却は、住宅ローンの返済が困難になり、金融機関から残債の一括返済を求められた際の対応策です。

競売と比べて相場に近い価格で売却でき、引き渡し時期や条件もある程度調整可能です。また、競売のように情報が広く公表されず、プライバシーが守られるメリットもあります。

ただし、金融機関の同意が不可欠であり、交渉に時間がかかります。競売手続きの開始に間に合わなければ任意売却はできなくなるため、返済が厳しいと感じた段階で早めに金融機関に相談し、売却活動に着手することが重要です。

STEP2|事前準備での注意点

売却活動を始める前の準備段階が、スムーズな売却のカギを握ります。名義の確認、費用の把握、境界の確認、相場の調査をしっかり行いましょう。

不動産の名義を確認する

不動産を売却するには、登記上の名義人が売主本人であることが必要です。名義人でなければ所有権移転登記ができず、売買契約を成立させても取引を完了できません。

特に注意すべきケースは以下の通りです。

  • 相続した不動産:相続登記が未了だと売却できない。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内に手続きが必要(違反時は10万円以下の過料)
  • 共有名義の不動産:他の共有者全員の合意が必要で、単独での売却は不可
  • 住所・氏名の変更:引っ越しや結婚・離婚で住所や名前が変わっている場合は変更登記が必要

まずは登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、名義の状態を確認しましょう。

売却スケジュールを計画する

売主によって売却の事情は異なります。「住み替えの期限がある」「早く現金化したい」など、希望する売却期間によって最適な方法や戦略が変わります。

前述の通り、不動産売却には一般的に7〜12ヶ月程度の期間がかかります。検討を始めたら早めにスケジュールを立て、余裕を持って進めることが大切です。

売却にかかる費用を把握する

売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。事前に費用を把握し、資金計画を立てましょう。

費用項目目安
仲介手数料売却価格に応じた金額(上限は法定)
印紙税200円〜48万円 ※軽減措置適用の場合
譲渡所得税譲渡所得額×15〜30% ※保有年数による
住民税譲渡所得額×5〜9% ※保有年数による
復興特別所得税所得税額×2.1%
登録免許税(抵当権抹消)1,000円/件(土地・建物は別扱い)
繰上げ返済手数料数万円〜(金融機関による)
司法書士報酬約3万〜10万円
測量費用約30万円〜

※印紙税の軽減措置は、令和9年3月31日までに作成された不動産売買契約書が対象です。

税金の詳しい節税対策については「家の売却で損しないための税金対策」もご覧ください。

土地の境界を確認する

土地の境界が定まっていないと売買が成立しにくく、後のトラブルにもつながります。早い段階で境界を確認しましょう。

売買契約書の多くには、売主側の「境界明示義務」が記載されています。法的義務ではありませんが、境界が不明確だと取引が困難になる可能性があります。

境界確認の手順:

  • 地積測量図の有無を確認:法務局に登録されていれば、窓口・郵送・オンラインで請求可能
  • 地積測量図がない場合:「土地家屋調査士」に依頼して境界を確定する(1〜3ヶ月程度かかる)

引き渡しまでに境界明示が求められるのが一般的なため、早めの対応をおすすめします。

相場を下調べする

近隣の類似物件の成約事例を調べ、相場感を持っておくことで、査定額の妥当性を判断しやすくなります。

中古物件の成約データは、以下のサイトで無料で閲覧できます。

【2026年】住所変更登記の義務化にも注意

2026年4月1日から、不動産所有者の住所・氏名変更登記が義務化されます。

項目内容
施行日2026年(令和8年)4月1日
申請期限住所・氏名の変更日から2年以内
施行前の変更分令和10年(2028年)3月末までに登記が必要
罰則正当な理由なく違反した場合、5万円以下の過料

売却を検討している方は、現在の登記情報と実際の住所・氏名に相違がないか確認しておきましょう。変更登記が済んでいないと、売却手続きに入る前に登記手続きが必要となり、スケジュールに影響する可能性があります。

また、2025年4月からは新築住宅の省エネ基準適合が義務化されました。直接的には新築が対象ですが、省エネ性能への関心が高まることで、中古住宅の資産価値にも影響を与える可能性があります。売却時には、省エネ性能が買い手の判断材料になり得ることを意識しておきましょう。

STEP3|査定での注意点

不動産会社に仲介や買取を依頼する場合、まず査定を受けて価格の目安を把握します。査定は1社ではなく、複数社に依頼して比較検討することが大切です。

査定は複数社に依頼する

複数の不動産会社に査定を依頼することで、以下のメリットがあります。

  • 不動産価格の相場感をつかめる
  • 査定額や対応の違いを比較でき、信頼できる会社を見極められる
  • 自分の物件の強みや弱みを多角的に把握できる

不動産会社にはそれぞれ得意分野があります。大手は全国規模の販売網とノウハウが強み、地元密着型は地域の市場に精通したきめ細かい対応が期待できます。

一括査定サイトを利用すれば、無料で一度に複数社へ査定依頼が可能です。 おすすめの一括査定サイトについては「不動産一括査定サイトおすすめ19社の特徴や口コミを解説」で詳しく比較しています。

査定価格の根拠を確認する

高い査定額=良い査定とは限りません。 高い査定を信じて売り出した結果、売れ残って値下げを繰り返すケースは少なくありません。

通常、査定価格は売り出しから3ヶ月程度で成約する水準を基準に算定されます。ただし、以下の点に注意しましょう。

  • 早期売却を希望すれば査定額はやや低めに設定される傾向がある
  • 時間をかけてでも高く売りたい場合はやや高めに設定される傾向がある
  • 契約を取りたいがために相場を大きく上回る高額査定を提示する不動産会社もある

「なぜその価格なのか」という根拠の説明をしっかり受けることが、適正な売り出し価格の設定につながります。

訪問査定で聞くべきこと・伝えるべきこと

訪問査定は、不動産会社を見極める重要な機会です。以下のポイントを押さえましょう。

聞くべきこと:

  • 査定額の算定根拠(使用した比較事例や評価方法)
  • 具体的な売却活動の計画(広告手段、対応エリアなど)
  • 想定される売却期間
  • 類似物件の成約実績

伝えるべきこと:

  • 建物や設備の不具合(雨漏り、シロアリ被害、設備の故障など)
  • リフォーム・修繕の履歴
  • 近隣環境に関する情報

物件の不具合を正直に伝えないと、売却後に「契約不適合責任」を問われる可能性があります。些細なことでも正確に伝えましょう。

査定時に準備しておきたい書類

書類入手場所
登記簿謄本(登記事項証明書)法務局窓口・郵送・オンライン
地積測量図法務局窓口・郵送・オンライン
公図法務局窓口・郵送・オンライン
固定資産税納税通知書または評価証明書役所または出張所の窓口・郵送
建物図面(間取り図など)法務局窓口・郵送・オンライン
リフォーム履歴書自宅保管(リフォーム会社発行)
住宅ローン残高証明書・返済予定表自宅保管(金融機関発行)

STEP4|媒介契約での注意点

不動産会社に仲介を依頼する際には「媒介契約」を結びます。3種類の契約形態があり、それぞれメリット・デメリットが異なるため、自分の状況に合ったものを選びましょう。

3種類の媒介契約から自分に合うものを選ぶ

項目専属専任媒介専任媒介一般媒介
他社への重ねての依頼××
自己発見取引(自分で買主を見つけて取引)×
レインズ登録義務○(5日以内)○(7日以内)任意
契約期間3ヶ月以内3ヶ月以内法令の定めなし
業務報告義務1週間に1回以上2週間に1回以上任意

専属専任媒介は、1社にのみ依頼する最も制約の強い契約です。自己発見取引もできませんが、その分、不動産会社は成功報酬が確約されるため、積極的な販売活動が期待できます。 違反時は仲介手数料相当の違約金が発生する可能性があります。

専任媒介は、専属専任媒介と同様に1社のみへの依頼ですが、自己発見取引が可能な点が異なります。報告義務は2週間に1回以上です。

一般媒介は、複数社への同時依頼が可能で、自己発見取引もできる最も自由度の高い契約です。レインズ登録や報告の義務はありませんが、任意での登録は可能です。

囲い込み防止にレインズを活用する

「囲い込み」とは、不動産会社が他社からの問い合わせや購入希望者の情報を売主に伝えず、自社での成約を優先する行為です。売主の売却機会を損なう問題のある行為ですが、レインズを活用することで防止できます。

レインズ(不動産流通標準情報システム)は、登録された物件情報を全国の不動産業者で共有するデータベースです。

2025年1月のシステム改修により、売主自身がレインズの登録状況を確認しやすくなりました。不動産会社から交付される「登録証明書」の二次元コードから売主専用画面にアクセスし、物件のステータスを随時チェックできます。

不審な点があれば、不動産会社に直接確認しましょう。

STEP5|売却活動中の注意点

不動産会社による販売活動が始まり、買主候補と具体的に話を進める段階です。内覧対応や情報開示に関する注意点を押さえておきましょう。

内覧では清潔感をアピールする

内覧時の印象は、買主の購入判断に大きく影響します。内覧者が特に注目するポイントを意識して準備しましょう。

場所ポイント
玄関靴を片付けて広く見せる。ホコリを掃除し、明るく清潔な印象に
リビング余計なものを処分し、生活感を抑えてすっきりとした空間にする
キッチン食器類や調味料を片付け、シンク・コンロの汚れを落とす
水回り(浴室・洗面台・トイレ)髪の毛を除去し、カビ・水アカを落とす。臭いもチェック
ベランダ不用品を整理し、眺望を確保する。窓ガラスも清掃

荷物が多い場合は、トランクルームの一時利用も検討しましょう。場合によっては、ハウスクリーニングなどプロのサービスの利用も効果的です。

物件の不具合は正直に伝える

知っている物件情報はすべて買主に伝えなければなりません。 適切に伝えなかった場合、「契約不適合責任」を問われ、大きな損失を招く可能性があります。

契約不適合責任とは、売却した不動産が契約内容と異なる場合に売主が負う責任です。問われると、修繕請求・代金減額・損害賠償・契約解除に応じなければならない場合があります。

事前告知が必要な例:

  • 雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下
  • 埋没物、再建築不可物件
  • 事故(自死など)の発生
  • 近隣との境界トラブルや権利関係

トラブルを回避する3つの方法

1. 物件状況報告書を作成する

売主が認識している欠陥や不具合は、些細なことでも不動産会社に伝えましょう。「物件状況報告書」を作成し、開示情報を明確にしておくことが重要です。

2. インスペクション(既存住宅状況調査)を実施する

専門家が建物の状態を診断するサービスです。売主が把握できない建物深部の状態まで調査できるため、売却前の確認に有効です。

  • 調査結果は重要事項説明書に記載され、買主の安心感につながる
  • 費用は物件の種類や広さによって異なるため、複数業者に見積もりを依頼する
  • 報告まで約2週間かかるため、売却活動の初期段階までに完了させるのが望ましい

3. 特約を活用する

売買契約に、売主の責任範囲を明確にする特約を設けることも有効です。

  • 契約不適合責任免責特約:事前に説明のなかった欠陥が見つかっても売主は責任を負わない旨の特約。ただし、売主が知っていた欠陥を隠した場合や、宅建業者・法人が売主の場合は無効になることがある
  • 容認事項:既知の欠陥を買主が承知した上で購入することを確認し、売主の責任を免除する条項

口約束は避けて書面に残す

買主との話の内容は、必ずメモや書面で記録しましょう。

内覧時に物件の不具合を口頭で伝える、家具の譲渡を口約束する、価格の値下げに応じるなど、口頭だけの約束は認識のすれ違いの原因になります。契約締結までに、すべての取り決めを書面で確認・合意しておくことが大切です。

住みながら売却する場合のポイント

居住中の不動産を売却する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 内覧のスケジュール調整:買主候補の希望にできる限り柔軟に対応する。週末や祝日の対応も視野に入れる
  • 生活感の演出と抑制のバランス:過度に生活感がある空間は敬遠されがちだが、適度に家具がある方が住んだ時のイメージが湧きやすいケースもある
  • 引き渡し日の調整:売買契約から引き渡しまでの間に引っ越しを完了させる必要がある。住み替え先が決まっていない場合は、スケジュール調整が重要

STEP6|売買契約締結の注意点

買主が見つかり条件に合意したら、売買契約書を締結します。売買契約書は、売主と買主の合意内容を明文化した重要な書類です。契約日前に入手し、隅々まで確認しましょう。

売買契約書のチェックポイント

不動産の表示

住所・面積などの物件情報が、登記簿の内容と一致しているかを確認します。表記の誤りがあると、所有権移転登記ができないなどのトラブルにつながります。

売買代金と支払い条件

合意した金額どおりか、手付金・残代金の金額と支払い期日が正確に記載されているかを確認しましょう。

原則として、所有権移転登記・残代金支払い・引き渡しは同日に行います。異なる日が指定されている場合は、管理責任の所在やリスクを慎重に検討しましょう。

抵当権等の抹消

住宅ローンなどの抵当権がある場合、引き渡し前に抹消手続きを完了させる必要があります。余裕を持って金融機関に連絡し、必要書類を準備しましょう。

土地の境界の明示

売主による境界の明示が一般的です。境界が確定しているか確認しましょう。境界非明示の合意も可能ですが、境界が曖昧だと将来的に隣地所有者との紛争リスクがあります。

解約の条件

万が一の際の負担を把握するために、解除条件を確認しましょう。

  • 手付解除:買主が手付金を放棄する、または売主が手付金の倍額を返還することで解除が可能。期限に注意
  • 融資利用の特約:買主の住宅ローンが通らなかった場合の解除条件。融資元の金融機関の記載もあわせて確認

免責事項

契約不適合責任について、売主がどこまで責任を負うかを確認しましょう。中古物件では「責任を負わない」特約や「容認事項」を設けることも可能ですが、買主への十分な説明が必要です。

公租公課の清算

固定資産税・都市計画税・管理費などは、引き渡し日を基準に売主と買主で日割り清算します。

起算日は地域の慣習により異なります(関東は1月1日、関西は4月1日が一般的)。起算日・計算方法・負担割合を事前に確認しましょう。

印紙税・登録免許税の負担

契約書に貼付する印紙代の負担(折半か一方負担か)を確認しましょう。所有権移転登記の登録免許税は一般的に買主負担ですが、誰が負担するか明確にしておくことが重要です。

付帯設備表・物件状況報告書

  • 付帯設備表:照明・エアコン・給湯器など引き継ぐ設備を明記。故障時の責任範囲も確認
  • 物件状況報告書:建物の修繕履歴や現状を説明する書類。虚偽や記載漏れはトラブルの原因になるため慎重に確認

仲介手数料の支払い準備

仲介手数料は、売買契約締結時と引き渡し時に半額ずつ支払うのが一般的です。ただし不動産会社によって支払い時期が異なる場合があるため、媒介契約書で確認しましょう。

支払いは現金が原則ですが、振込対応が可能な会社もあります。持ち歩きが不安な場合は事前に相談しましょう。なお、振込手数料は通常、売主負担です。

STEP7|決済・引き渡しの注意点

売買契約から引き渡しまでは通常1ヶ月程度です。慌てることのないよう、流れを把握しておきましょう。

引き渡し日までに済ませること

原則として決済日=引き渡し日です。買主がすぐに利用できる状態にするため、以下を完了させる必要があります。

  • 引っ越し業者の手配と荷造り
  • 火災保険の解約手続き
  • 電気・ガス・水道などライフラインの停止手続き
  • 決済日に必要な書類の収集・準備

決済当日の流れ

決済当日は、買主・売主・不動産会社担当者・司法書士などが立ち会い、以下の手続きが行われます。

  • 本人確認・書類確認:司法書士が確認を実施
  • 残金の支払い:買主が残金を振り込み、または住宅ローンを実行
  • 所有権移転登記の申請:売主が領収書を発行し、司法書士が登記申請を代行。抵当権がある場合は同時に抹消登記を申請
  • 公租公課の清算:固定資産税等を引き渡し日基準で日割り清算
  • 鍵・書類の引き渡し:売主から買主へ鍵と必要書類を引き継ぎ
  • 各種支払い:仲介手数料の残金、司法書士への報酬を支払い

当日に必要書類が不足していたり手続きが未了だと、決済ができません。 計画的な準備が不可欠です。

決済時の持ち物チェックリスト

身分確認・印鑑関係

  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
  • 実印(共有名義の場合は全員分)
  • 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
  • 銀行届出印

登記・法務関連

  • 登記済権利証または登記識別情報
  • 住民票
  • 戸籍謄本(必要に応じて)
  • 抵当権抹消書類(住宅ローンが残っている場合)
  • 登記費用

税金・費用関連

  • 固定資産税評価証明書・納付書
  • 収入印紙(売買金額に応じて必要)
  • 仲介手数料
  • 司法書士への報酬
  • 通帳・銀行キャッシュカード

物件・設備関連

  • 売却物件の鍵(室内・共用部・駐輪場・駐車場など全て)
  • 管理規約(マンションの場合)
  • 建築確認通知書
  • 設備の取扱説明書・保証書
  • 境界確認書・測量図(必要に応じて)
  • 買主に引き継ぐ書類一式

STEP8|確定申告の注意点

不動産売却後は、利益が出た場合も損失が出た場合も、確定申告の検討が必要です。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得 = 譲渡価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

項目内容
譲渡価格売却価格
取得費購入代金・建築代金・購入手数料・設備費・改良費など(建物は減価償却を適用)。取得費が不明な場合は売却価格の5%で計算
譲渡費用仲介手数料・印紙税・取壊し費用など

譲渡所得税・住民税の税率

税率は、売却した年の1月1日時点での保有年数によって異なります。

保有年数譲渡所得税住民税復興特別所得税
5年以下(短期譲渡所得)30%9%所得税額×2.1%
5年超(長期譲渡所得)15%5%所得税額×2.1%

確定申告は原則として売却の翌年2月16日〜3月15日に行います。住民税の納付は確定申告後の6月頃です。

建物の減価償却

建物は経年で価値が減少するとみなされるため、取得費の計算時に減価償却を適用します。

減価償却費相当額 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

構造償却率
木造0.031
木造モルタル0.034
(鉄骨)鉄筋コンクリート0.015
金属造(骨格材の肉厚3mm以下)0.036
金属造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下)0.025

マイホーム特例(3,000万円控除)

自分が住んでいた家屋を売却した場合、保有年数にかかわらず譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例があります。

主な適用条件:

  • 現に自分が住んでいる家屋、または住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却
  • 売った年の前年・前々年にこの特例の適用を受けていないこと
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」への売却でないこと
  • この特例の適用を受けることだけを目的とした入居でないこと

注意点:

  • 過去3年以内にマイホーム特例を利用した場合、住宅ローン控除は併用不可
  • 住宅ローン控除を使っている間に他の不動産売却で税金軽減を使うと、その年は住宅ローン控除が使えない

10年超所有の軽減税率との併用: 所有期間が10年を超えている場合、3,000万円控除適用後の課税長期譲渡所得に対して軽減税率が適用できます。

課税長期譲渡所得金額所得税住民税
6,000万円までの部分10%4%
6,000万円を超える部分15%5%

譲渡損失の損益通算・繰越控除

住み替えなどで譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算が可能です。控除しきれない場合は翌年以降3年間の繰越控除も認められています。

主なケースとして以下の2つがあります。

1. マイホームの買換え時の損失

旧居宅を売却して損失が出た場合、新居宅を取得するなどの条件を満たせば損益通算・繰越控除が可能です。

  • 旧居宅の所有期間が売却年の1月1日時点で5年超
  • 新居宅は床面積50㎡以上、取得翌年12月31日までに居住開始
  • 新居宅に償還期間10年以上の住宅ローンがあること

2. ローン残債がある場合の損失

住宅ローン残高を下回る価格で売却して損失が出た場合、ローン残高と売却代金の差額を限度として損益通算・繰越控除が可能です。新居への買い換えは不要です。

  • 令和7年12月31日までに売却すること
  • 旧居宅の所有期間が売却年の1月1日時点で5年超
  • 売却代金がローン残高を下回っていること

いずれの場合も、所得が3,000万円を超える年は繰越控除の適用不可、親族への売却は対象外です。

確定申告で計上できる経費の詳細は「不動産売却で経費計上できるものは?」をご確認ください。

【状況別】押さえておきたい注意点

売却の事情は人それぞれです。ここでは、特に注意が必要な状況別のポイントを解説します。

空き家・相続物件を売却する場合

相続した不動産を売却するには、まず「相続登記」を完了させる必要があります。

2024年4月1日から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内に手続きを行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。共同相続人がいる場合は、遺産分割協議で全員の合意が必要です。

活用できる税制優遇

空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除: 相続した空き家を一定条件のもと売却した場合に、最大3,000万円の控除を受けられます。

主な適用要件:

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋
  • 相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと
  • 耐震改修または建物の解体を、譲渡前もしくは譲渡した年の翌年2月15日までに実施
  • 売却価額が1億円以下
  • 区分所有建物でないこと

先祖代々の土地など取得費が不明な場合は、取得費を売却額の5%として計算します。このような場合は高額な譲渡所得税が発生する可能性が高いため、本特例の活用効果は非常に大きいといえます。

マイナビニュース不動産査定おすすめ

優良な担当者に不動産売却を依頼できる『タクシエ』
※画像引用元:タクシエ公式サイト

タクシエでは通常のマンションや一戸建てだけでなく、空き家や投資用物件の依頼も受け付けています。担当者は次の条件で厳選された精鋭たちなので安心して売却活動を進められますよ!

  • 宅地建物取引士(宅建士)の資格保有者
  • 仲介経験5年以上(原則)
  • 成約実績100件以上(原則)

他にもタクシエでは、WEB面談や電話だけでなくチャットでの質問や相談も受け付けています。忙しい方でも隙間時間を使って売却活動を進めることが可能です。

まずは60秒で無料相談

離婚に伴う不動産売却

離婚時の不動産売却では、タイミングと住宅ローンの残債が特に重要なポイントです。

売却のタイミング

離婚前に売却離婚後に売却
メリット資金を確保してスムーズに新生活へ移行できる時間をかけて適正価格で売却できる可能性が高い
デメリット時間に余裕がなく安値売却のリスクがある離婚後もやり取りが続き精神的負担になりうる
税金面名義人以外が売却代金を受け取ると贈与税の対象になる可能性がある財産分与として分配すれば贈与税は発生しない

住宅ローンの残債

売却前に、ローン残債が売却額でカバーできるかを確認しましょう。

  • 売却代金でローンを完済できれば問題なし
  • 売却額がローン残債を下回る場合は、差額の負担について当事者間で取り決めが必要
  • 夫婦の共同名義でローンを組んでいる場合は、離婚後も連帯して返済義務を負う
  • 自己資金で不足分を補えない場合は、任意売却を検討する方法もある

早い段階で不動産査定を行い、資金計画を明確にしておくことが大切です。

リースバック・リバースモーゲージを利用する場合

どちらも自宅に住み続けながら資金調達できる手段ですが、リスクを理解した上で慎重に検討する必要があります。

リースバック

リースバックは、自宅を売却して売却代金を受け取り、賃料を支払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。

メリットデメリット
生活環境を変えずにまとまった資金を得られる売却価格が相場より低い傾向
固定資産税や維持費の負担がなくなる賃料を支払い続ける必要がある
売却代金でローン返済が可能定期借家契約では更新拒否や賃料値上げのリスクがある

特に注意すべき点:

  • 契約形態が「定期借家契約」か「普通借家契約」か確認する。主流の定期借家契約は基本的に更新がなく、契約期間は2〜3年が一般的
  • 長期間の賃料合計が売却価格を上回ることがある
  • 一部の業者による長時間勧誘や虚偽説明などのトラブルが報告されている。売買契約は一度結ぶと解除が難しいため、慎重に判断を

リバースモーゲージ

リバースモーゲージは、自宅を担保にした借入で、生存中は元金返済が不要で利息のみを支払う形態が一般的です。契約者の死後に元金が一括返済されます。

メリットデメリット
高齢でも借入が可能で老後資金を確保できる「リコース型」では相続人に負債が引き継がれる
生存中の負担が少ない(利息のみ)資産評価の見直しで借入限度額が変動する場合がある
所有権を維持し、リフォームも自由変動金利型は金利上昇リスクがある
長生きして借入限度額に達すると以降の融資は受けられない

「リコース型」と「ノンリコース型」の違いに注意しましょう。リコース型では、担保売却額で返済しきれなかった場合、相続人が残債を負担します。ノンリコース型ではその必要はありません。

ローン返済中に売却する場合

住宅ローンが残っていても不動産売却は可能です。ただし、売却代金でローンを完済し、引き渡し時までに抵当権を抹消する必要があります。

売却代金でローンを完済できない「オーバーローン」の場合は、自己資金での補填や、住み替えローン(新居のローンに残債を上乗せ)、任意売却などの選択肢を検討します。

詳しくは「家を売るのはローン返済中でもできる?お金で後悔しないポイントを解説」をご覧ください。

不動産売却でやってはいけない5つの失敗

不動産売却でよくある失敗パターンを知っておくことで、損失やトラブルを未然に防ぐことができます。

1社だけに査定を依頼する

1社の査定だけで売り出し価格を決めると、相場からかけ離れた価格設定になるリスクがあります。高すぎれば売れ残り、安すぎれば損をします。

最低でも3〜4社に査定を依頼し、価格の根拠を比較した上で判断しましょう。

相場を調べずに売り出し価格を決める

不動産会社の査定額をそのまま鵜呑みにし、自分で相場を調べないのは危険です。相場感がないと、査定額が適正かどうか判断できません。

査定を受ける前に、不動産情報ライブラリやレインズマーケットインフォメーションで、近隣の類似物件の成約価格を確認しておきましょう。

売却前に高額リフォームをしてしまう

「リフォームすれば高く売れる」と考えて大規模なリフォームを行うのは、費用を回収できないリスクが高い失敗パターンです。

買主の好みに合わなければ無駄になりますし、リフォーム費用分だけ売却価格を上乗せしても、相場を超えれば売れにくくなります。リフォームよりも、清掃や最低限の補修で好印象を与える方が費用対効果は高いケースが多いです。

物件の不具合を隠す

「伝えなければバレないだろう」と不具合を隠すのは、契約不適合責任を問われる最も大きなリスクです。

発覚した場合、修繕費の請求・代金の減額・損害賠償・契約解除といった重大な事態に発展する可能性があります。知っている情報はすべて正直に開示しましょう。

確定申告を忘れる(損失が出た場合も含む)

譲渡益が出た場合の確定申告は義務ですが、譲渡損失が出た場合も確定申告をしないと損をする可能性があります。

損益通算や繰越控除の特例を利用すれば、所得税・住民税の還付を受けられるケースがあります。利益・損失にかかわらず、売却後は確定申告の要否を必ず確認しましょう。

不動産売却の注意点に関するよくある質問

不動産売却にはどのくらいの期間がかかりますか?

一般的に、査定から引き渡しまでマンションで約7〜8ヶ月、戸建てで約8〜9ヶ月、土地で約10〜12ヶ月が目安です。物件の立地や価格帯、市場環境によって大きく変動するため、余裕を持ったスケジュール設計をおすすめします。

不動産売却にかかる費用の目安はいくらですか?

主な費用として、仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税が上限※800万円超の場合)、印紙税、譲渡所得税・住民税、登録免許税、司法書士報酬などがあります。売却価格や物件の状況によって異なりますが、売却価格の5〜7%程度を目安に資金計画を立てましょう。

住宅ローンが残っていても売却できますか?

売却は可能です。ただし、引き渡し時までに住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。売却代金で完済できない場合は、自己資金での補填や住み替えローンの利用を検討しましょう。詳しくは「家を売るのはローン返済中でもできる?」をご覧ください。

売却時に確定申告は必要ですか?

譲渡所得(利益)が出た場合は確定申告が必要です。また、損失が出た場合も、損益通算や繰越控除の特例を利用するには確定申告が必要です。申告期間は原則として売却の翌年2月16日〜3月15日です。

不動産会社はどのように選べばいいですか?

複数社に査定を依頼して比較検討するのが基本です。査定額だけでなく、査定根拠の説明の丁寧さ、売却活動の具体的な計画、担当者の対応力を総合的に判断しましょう。一括査定サイトを利用すれば効率よく比較できます。おすすめの一括査定サイトは「不動産一括査定サイトおすすめ19社」で紹介しています。

まとめ

不動産売却を成功させるためには、早めの行動と計画的な準備が何より大切です。

本記事で解説した8つのステップの注意点を振り返りましょう。

  • 売却方法の選定:仲介・買取・個人売買・任意売却の特徴を理解し、状況に合った方法を選ぶ
  • 事前準備:名義確認・費用把握・境界確認・相場調査を確実に行う
  • 査定:複数社に依頼し、査定額の根拠を確認する
  • 媒介契約:3種類の違いを理解し、囲い込みに注意する
  • 売却活動:内覧対応に力を入れ、物件情報は正直に開示する
  • 売買契約:契約書を隅々まで確認し、解除条件や免責事項を把握する
  • 決済・引き渡し:必要書類を計画的に準備し、当日の流れを理解しておく
  • 確定申告:利益・損失にかかわらず、適用可能な特例を活用して申告する

不動産売却は人生における大きな節目です。不安を感じることもあるかもしれませんが、流れと注意点を事前に押さえておけば、リスクを最小限に抑えた売却が実現できます。

まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できるパートナーを見つけることから始めてみましょう。


◆記事で紹介した商品・サービスを購入・申込すると、売上の一部がマイナビニュース・マイナビウーマンに還元されることがあります。◆特定商品・サービスの広告を行う場合には、商品・サービス情報に「PR」表記を記載します。◆紹介している情報は、必ずしも個々の商品・サービスの安全性・有効性を示しているわけではありません。商品・サービスを選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品・サービススペックは、メーカーやサービス事業者のホームページの情報を参考にしています。◆記事内容は記事作成時のもので、その後、商品・サービスのリニューアルによって仕様やサービス内容が変更されていたり、販売・提供が中止されている場合があります。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

マイナビニュース 不動産査定ガイド運営は、不動産査定(見積もり)サービス/不動産会社/ハウスメーカーや工務店、査定から売却までの流れといった不動産査定に関わる様々な情報をわかりやすくお届けします。

目次