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2 受け身・他律な部下は変えられる『プロアクティブ人材』論

データでわかる『日本の会社員は指示待ちが多い』実態、変えるには?

Updated MAY. 30, 2025 16:57
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前回は、「デキるやつ」の代表例として、昨今注目されている「プロアクティブ人材」を紹介しました。改めて整理しますと、プロアクティブ人材とは「先見性、未来志向、変革志向の3つを持ち、それらに基づく自律的な行動によって、自らのキャリアと組織成長を同時に切り拓いていく人材」を指します。

今回は、2024年に日本総研が実施した20,400人の企業勤務者に対するアンケート調査の結果を基に、日本の企業勤務者のプロアクティブ度に関する実態や、個人のプロアクティブ行動と部署、会社全体のパフォーマンスの関係性についてお示しします。

日本の企業勤務者全体として、受身・他律の傾向

まず、日本の企業勤務者のプロアクティブ度に関する実態について説明します。日本総研が、アカデミアの先行研究とビジネスとの対話を通じて、プロアクティブ行動を測定する12個の設問項目を設定したことは前回ご説明した通りです(図表1)。

  • 【図表1】4つのプロアクティブ行動とプロアクティブスコアを測定するための12の設問項目

アンケート調査では、「個人」単位のプロアクティブスコアと、部署や課を想定した「チーム」単位のプロアクティブスコアを測定しました。

個人プロアクティブスコアを測定するときには文頭が「私は~」から始まる質問文を用い、チームプロアクティブスコアを測定するときには、「私の職場は~」から始まる質問文を用いており、それ以外の内容については共通する内容となっています。

そして、それら設問に対して、(1.全くそう思わない、2.あまりそう思わない、3.どちらでもない、4.そう思う、5.とてもそう思う)の5件法で回答する形としており、各設問の結果を1~5で指数化しています。

図表2の「個人プロアクティブスコア」及び「チームプロアクティブスコア」の欄に記載されている数値は、全回答者における個人及びチームのプロアクティブ行動に係る設問項目の指数の平均値です(図表2)。

  • 【図表2】全回答者のプロアクティブスコア

結果を確認すると、個人の革新行動を除く個人・チーム含めて全てのプロアクティブ行動において、中間の指数である3を下回る結果となっています。日本の企業勤務者は、社内外で新しいネットワークを構築したり、自身のキャリアの幅を広げたりする行動には積極的ではない傾向が表れています。

本調査の結果を踏まえると、日本の企業勤務者全体として、受身・他律の傾向にあることは否定できません。ビジネスリーダーの皆さんが、「部下が指示待ちで言われたこと以外しようとしない」、「自分の経験に固執し新しい挑戦に否定的」と感じている結果が表れた調査結果であると言えるでしょう。

組織のパフォーマンスを向上させる「プロアクティブ人材」は育成できる

こうした日本の企業勤務者のプロアクティブ度の状況について、「個人の資質の問題であるから、リーダーとして関与すべきことではない」と割り切ってしまってよいものでしょうか。いえ、これは個人の問題でなく、会社全体のパフォーマンスに影響するものなのです。ここからは、プロアクティブ行動とパフォーマンスとの結びつきについて説明します。

今回の調査では、「個人」、「チーム」、チームよりも大きい規模の会社を想定した「組織」それぞれの単位におけるパフォーマンス展望について以下の質問を実施しています(図表3)。

  • 【図表3】プロアクティブ行動の成果指標

日本総研では、これらの設問の結果を基にプロアクティブ行動に影響を及ぼす先行要因及びプロアクティブ行動とパフォーマンス展望の関係について、構造方程式モデリング(SEM)を用いてモデルを作成しました。本稿では、プロアクティブ行動とパフォーマンス展望の関係モデルについて取り上げます(図表4)。

  • 【図表4】プロアクティブ行動とパフォーマンス展望の関係

本モデルより得られた示唆は上記の6点ですが、「個人プロアクティブ行動は、チームのプロアクティブ行動及び個人・チームのパフォーマンス展望に影響を与える」「チームプロアクティブ行動は、チーム・組織のパフォーマンス展望に影響を与えること」という点がポイントとなります。

つまり、プロアクティブ人材とは、個人のパフォーマンスだけではなく、チーム・組織のパフォーマンスを向上させる人材であることが分かります。従ってビジネスリーダーの皆さんは、部下のプロアクティブ度を高めていくことが、ご自身の役割を果たすことにつながるのです。

では、プロアクティブ行動を促進させるためにビジネスリーダーは日々のマネジメント業務の中で何を意識する必要があるのでしょうか。今回の調査によれば、個人のプロアクティブ行動は、自己効力感によって生まれることが分かっています。

自己効力感とは、「ある状況においては必要な行動をうまく遂行できると、自らの可能性を認知している状態」を指します。つまり、ビジネスリーダーが部下の能力や状況に応じて仕事を与えたり、成功体験を積ませたりすることが、部下のプロアクティブ行動を促進させるポイントとなるのです。

第3回では、年代別にプロアクティブ度を整理し、ビジネスリーダーはプロアクティブ度が低い世代にどのように向き合っていくべきなのかについて、お示ししたいと思います。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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