問題をおさらい!
正解はこちら!
【答え】トヨタ自動車「4500GT」
「4500GT」はトヨタが1989年の「東京モーターショー」に出展したコンセプトカーです。その後、量産車として市販されることはありませんでした。
トヨタのスポーツカーといえば、1967年の「トヨタ2000GT」がよく知られています。トヨタの技術の粋を集めたといえるクルマでしたが、1970年に販売終了となりました。生産台数はわずか337台です。
それから19年の歳月を経て姿を現したのが、トヨタ4500GTというわけです。
目指したのは時速300kmという超高速の実現。そのために、「いまトヨタにある技術は何か」ということを体現したグランド・ツーリングカー(GT)でした。
エンジンはV型8気筒、排気量は4.5リッターです。エンジン性能の数値は公表されていませんが、高出力を得るため、1気筒当たりの吸排気バルブの数を5つとする「5バルブ方式」を採用しています。5つのバルブの配分は吸気が3、排気が2です。吸気をより多くエンジン内へ導き、高出力を得ようとする案でした。これを考えたのはヤマハ発動機です。
ヤマハといえば、かつて、トヨタ2000GTの開発でもエンジン技術でトヨタと協力関係にありました。またヤマハは、5バルブの技術をF1エンジンに適用し、1989年から8年間参戦しています。
トヨタ4500GTは後輪駆動です。車体の前後重量配分を50:50とするため、変速機をデファレンシャルと一体化するトランスアクスル方式を採用しています。このため、後席の床に制約があり、乗車定員は4人となりました。「2+2」という手法で、後席はどちらかといえば臨時の席の扱いです。
エンジン以外では、時速300㎞達成のため、外観の空気力学を追求し、空気抵抗係数(Cd値)を0.29としています。細かく観察すると、空気抵抗を減らすため、ドアのノブが収納式で車体表面と一体化されています。
軽量化のため、ボンネットフードはカーボンファイバー製です。ラジエターには、冷却をそれほど必要としない場面でシャッターを閉じる機能を備えています。これも、空気抵抗を減らす技術のひとつです。ラジエター冷却後の風はボンネットフード上へ排出し、屋根を通して車体後部に流し、クルマの後ろにできる空気の渦を剥離させる造形にもなっています。
そのほか、室内では「アクティブ・ノイズ・キャンセラー」を装備し、快い排気音以外は騒音を打ち消す仕組みを採り入れています。
室内のダッシュボードを見ると、トヨタが後年発売する「スープラ」の4世代目(当初の2世代は、国内では「セリカXX」という車名でした)に似た様子をしています。
装飾では、ボンネットフード上面に艶消しの無反射塗装が施されており、今日のマットカラーに似た様子を見ることができます。
市販はされませんでしたが、トヨタ渾身のスーパーカーといえるバブル経済期の挑戦でした。
同じ1989年に、欧米と互角に戦うことを目指した高級4ドアセダンの「セルシオ」が誕生します。
それでは、次回をお楽しみに!