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4 エグゼクティブコーチングの現場

コーチが投げかける「脳みそをフル回転させる」質問とは?

Updated JUN. 05, 2025 15:45
Text : 橋場剛
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この連載では、日本で初めてコーチングで上場したビジネスコーチの橋場剛 取締役副社長が、経営者・経営幹部に対するエグゼクティブコーチングについて語ります。第4回のテーマは「コーチが投げかける「脳みそをフル回転させる」質問とは?」

いい質問とは「すぐに答えが出ない」質問

前回、コーチングを受けるエグゼクティブの方に対して、たった1つでも良い意味で心に突き刺さる質問(破壊的質問)を投げかけることができれば、その1回のコーチングセッションはその対象者(クライアント)にとって、大きな収穫となり価値となる、というお話をしました。

そして破壊的質問とは、その対象者(クライアント)にとって「すぐに答えが出ない」質問であることもお伝えしました。今回はその続きです。

改めて、みなさんに「良い質問」の例を投げかけたいと思います。以下の質問に「自分ごと」として本気で考えてみてください。

「ご自身の仕事の生産性を現状の2倍に高めるために、どのような仕事の仕方をすればよいと思いますか?」

この質問はなかなか良い質問と言えます。なぜなら、「すぐに答えが出ない質問」だからです。仮にあなたがこの質問にただちに答えられるとすれば、可能性は2つです。

1つは「物凄く頭が良い天才」、もう1つは、「怠け者」です。

後者の意味は、「すでに生産性を2倍に高めるための方法(答え)」が分かっていているにもかかわらず、それを現時点で実行できていない、という意味においてです。

「すぐに答えが出ない質問」を投げかけられると、みなさんの脳みそはフル回転します。「どうすれば自身の仕事の生産性が2倍に高められるかな?」と脳みそがグルグル考え始めます。

みなさんの仕事の生産性を2倍にするのは決して簡単なことではありませんが、脳みそから血が出るまで考えれば、いろいろなアイデアをひねり出すことはできます。脳みそから血は出るまで、というのは大げさだとしても脳みそが汗かくくらい(の意気込みで!)真剣に考えれば、生産性2倍は難しいかもしれませんが、生産性1.2倍や1.3倍程度にするためのアイデアを思いつくことは十分に可能です。

例えば、きょう1日あなたがやるべき仕事のTo-Doリスト(やるべきことリスト)の数が20項目あると仮定して、優先順位が下位となっている10項目について、思い切って他の誰かに任せられないかを考えてみるとか、そもそもTo-Doリストから優先順位が低い項目をリストから削除できないかを考え実行してみるとか――。

そうした1つ1つのアイデアを積み重ねることでも生産性を向上させることが可能になるかもしれません。

あるいは、明日から起床時間を1時間早くして、朝の貴重な1時間を使って読書や勉強、運動などの「朝活」に取り組むことも生産性向上につながる有効な方法かもしれません。

こうしたアイデアをじっくり考え発見し、1つ1つ実行していけば、生産性2倍の実現は難しかったとしても、生産性1.2倍や1.3倍程度を実現することは十分に可能です。

自己決定すると、実行に移しやすくなる

ここで大きなポイントが1つあります。それは、実際に「実行されやすいアイデア」というのは「他人から言われたアイデア」ではなく、「自分自身でたどり着いたアイデア」であるということです。

つまり「自己決定」することが重要となります。

同じアイデアでも上司から「〇〇さん、そのやり方では生産性が低いから、こっちのやり方に変えた方がいいよ」などと一方的に言われたら、人はやる気にならないどころか、自分の意見や行動を否定された感覚だけが残りモチベーションが下がってしまいます。

或るアイデアを高い確率で実行につなげるためには、本人みずから「自己決定」していくことが重要です。

冒頭でみなさんに投げかけた質問「ご自身の仕事の生産性を現状の2倍に高めるために、どのような仕事の仕方をすればよいと思いますか?」は、質問の種類としては「仮説に基づく質問」に位置付けられます。「もし~ならば(=一定の条件下において)、どうしますか?」といった構造の質問となっているからです。

優秀なエグゼクティブに刺さりやすい質問は、現状を前向きに否定し、コンフォートゾーンから抜け出すきっかけとなる以下のような質問です。

例えば、

  • あなた自身がいなくなってもチームや組織が成長し続けるには、いまからどのような取り組みが必要ですか?
  • 当初の計画の半分の期間で目標達成するためには、どのような方法が考えられますか?
  • もし、あなたが競合他社の経営陣だったとしたら、あなたの会社に対してどのような部分で競争優位性を確保しようと思いますか?

といったような質問です。

どのような仮説を立てれば、自身や相手の思考の枠を広げることができるのか。この点から問いを立てることが「刺さる質問」を繰り出すうえで重要となります。

  • 現状を前向きに否定し、コンフォートゾーンから抜け出すきっかけとなる質問を


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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