現代に生きる私たちは悩みが尽きません。人間関係のストレスや劣等感で、時には押しつぶされそうになってしまいます。そんな私たちに明るい指針を示してくれるのが「アドラー心理学(個人心理学)」です。
この連載では、『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版社)から一部を抜粋し、アドラーの実践的な心理学を学んでいきます。現代の職場、ビジネス、人間関係で役に立つヒントが見つかるかも?
今回は第3章「自分に自信が持てないときは?〈モチベーションアップの達人になる〉」の中から「原因ではなく目的に目を向ける」というテーマを取り上げます。
以下、『決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本』から抜粋します。
人は目的に向かって生きている
AくんとBくんはともに転職を考えている。
成功するのはどちらだろう?
A「今の会社は給料も安く、人間関係が最悪です」
B「チームで進める仕事が自分には合っている。将来は、協調性を活かしたマネジメントをやりたい」
不平不満ばかりのAくんより、ビジョンを持っているBくんのほうが好印象だ。2人の差は、原因論と目的論の違いだ。Aくんは「なぜ?」を考え、Bくんは「何のために?」を考えた。
Bくんの考え方こそ、アドラー心理学の目的論だ。
「ある個人の運命や人格を『衝動』や『反応』で決めるのは無意味だ。むしろ、その人を突き動かしている目的を理解しなければならない」
アドラー心理学では、人は無意識に、目的に向かって生きているとされている。「何のために仕事をするのか?」を考えると、脳は必然的に最終目的を探し出す。無意識を意識化できるのだ。明確な目的があなたの生きる原動力になる。
モチベーションを上げる特効薬
「アドラー心理学は目的論だから、原因を一切考えてはいけないのか?」と考える人がある。
そんなことはない。原因を知ることが必要なときもある。ただし、原因論一筋でいくと、不都合なことがある。たとえば、成果を上げたのに、仕事ぶりが少しも評価されないのが原因で、モチベーションが上がらないときがある。このとき、上司が評価してくれないからだ、と上司に恨みつらみを言うのは建設的ではない。たとえ認めてもらえなくても、「自分は何のために仕事をするのか?」と自分自身に問いかける。
上司のために仕事をしたいわけではないだろう。自分の目的がわかれば、考え方も行動もすべて変わる。