フランチャイズのオーナーにとって、実は大きな負担となるのが「店を辞める時」。閉店には多額の費用がかかる一方、引退が近づけば改装や設備投資をためらい、店舗の魅力が落ちてしまうこともあります。
そこで、ゆで太郎が設けたのが、オーナーの引退時に本部が店舗を買い取る「ハッピーリタイア制度」。最近では、引退するオーナーから約2700万円で店舗を引き取ることが決まりました。
なぜ、辞める時まで本部が支えるのでしょうか。『ゆで太郎の儲かる仕組み - 22年連続黒字を支えるがっちり経営術 -』(池田智昭/ワニブックス)から抜粋してご紹介します。
辞める時まで支えるのが本部の仕事
ゆで太郎には「ハッピーリタイア制度」があります。加盟店オーナーが年齢などを理由に引退する際、本部が店舗を適正な価格で買い取る制度です。最近も引退されたオーナーから約2700万円で店舗を引き取ることが決まりました。
この制度をつくったのは、私自身の苦い経験があったからです。一般の方にはあまり知られていないかもしれませんが、店を辞める時もかなりお金が必要になります。
店を畳むにはまっさらにしなければいけないんですが、店を畳むためのお金を銀行は貸してくれません。すると、引退を考え始めたオーナーは、改装や設備投資を控えるようになります。どうせあと数年だから、と店への投資をやめてしまう。
その結果、店の設備は古くなり、お客様も減り、最後は誰も幸せになりません。だから私は、「いつでも本部が引き取るから、ちゃんと改装してください」と伝えています。安心して改装し、最後の日まで良い店を続けてほしいのです。
これは、私がほっかほっか亭時代に実現したかった仕組みでもあります。当時、こういう仕組みを提案する機会はありませんでした。
もう一つやりたかったのが社会貢献です。「ゆで太郎夢基金」では、お客様1人の来店につき、本部が1円を積み立て、日本赤十字社へ寄付しています。現在では毎月170万円ほどになり、この活動は10年以上続いています。これも以前から温めていた考えでしたが、ゆで太郎で実現できました。
ハッピーリタイア制度も夢基金も、共通している考え方があります。目先の利益ではなく、長く続けられる仕組みをつくることです。加盟店オーナーが安心して引退できる。お客様の来店が社会貢献にもつながる。チェーン店には規模があります。
だからこそ、その規模を利益だけでなく、人が安心して働ける仕組みづくりにも使うべきだと思っています。本部の役割は、店舗を増やすことだけではありません。加盟店が最後まで安心して商売を続けられる環境をつくることも、本部の大切な仕事なのです。
まとめ
関係者が最後まで安心して働ける環境をつくる
『ゆで太郎の儲かる仕組み - 22年連続黒字を支えるがっちり経営術 -』(池田智昭/ワニブックス)
「駅前一等地には出店しない」「職人は育てない」「薄利多売にも頼らない」外食産業の常識を次々と覆し、全国200店舗超へと成長した「ゆで太郎」。その成功の裏には、競争しない立地戦略、職人技を分解して誰でも再現できる仕組み化、利益率より来店頻度を重視する価格設計があった。本書では、22年連続黒字を支えた経営の考え方を初公開。人手不足時代の組織づくり、フランチャイズ運営、商品開発、価格戦略、外国人雇用まで、「再現性のある経営」の本質を余すことなく明かす。外食業はもちろん、あらゆる業種の経営者・管理職に役立つ一冊。


