日本のビジネスを牽引する著名なCxO(Chief x Officer)の皆さんが今、何を考え日々ビジネスに励んでいるのかを深掘りするべくスタートした本連載。聞き手は私、「Japan CxO Award」の主催を務め、CxO人材採用事業に日々携わるBNGパートナーズの代表取締役・蔵元二郎が務めます。
今回は、グロービス・キャピタル・パートナーズの代表パートナー、今野穣さんにお越しいただきました。アンドパッドやREADYFOR、ライフネット生命など、視座高く社会変容に取り組み企業をいち早く見出して投資し、ともに伴走してきた今野さんが思う、伸びる人の特徴や、強いチームとは何か。早速うかがっていきましょう。
意思決定に必要な「問いを立てる力」を育む要因
――本日はよろしくお願いします。まず早速ですが、多くの企業のCxOと直接深くやりとりしている今野さんが思う、今、最前線で活躍するCxO人材とは、どのような人でしょうか。
政治や外交など、外部環境の不確実性が高まりも含め、変化が激しい時代ですから、意思決定をする力が問われます。そこには、前提として「問いを立てる力」が必要です。こういうことを考えなきゃいけないんじゃないか、今はこのくらい大胆な意思決定をするタイミングなんじゃないか…そのように、問いがなければ意思決定はできません。「問いが立てば、7割のことは解決する」と言われますよね。
――その「問いを立てる力」は、先天的なものなのか、経験で育まれるものか、置かれた環境やネットワークが関係するのか…どのように思われますか?
さまざまな要素が複合的に絡み合っていると思いますが、リーダーシップの経験と、インプットの多さは強く影響していると感じます。特に「リーダーシップ」は座学では身に付かず、何かを決めて問題解決する経験をしないと培われないという自負がありますね。そして、問いがシャープだなと思う人は、インプットが多い。行動力の多さも影響しますし、特に優秀な経営者においては「どうしてこんなことを知っているの?」という、一部の人しか知らない情報を得ることに長けています。
――僕自身、エグゼクティブは良質な情報と接することができるネットワークを持つべきだと考えているので、今野さんに審査員を務めていただくJapan CxO Awardも、ただ素晴らしいCxOを表彰するだけでなく、コミュニティの性質を持たせたいと考えています。今野さんは、この情報が溢れる世の中で、どうしたら良質なインプットを得られるとお考えですか?
やはり、良質な情報を持つ人と繋がれているかどうかは重要です。そこには何百人もの広い関係は必要なく、10人でもいいので、深く継続的な関係性が大事ですね。ただし、価値の等価交換をしないと、関係性は続かないと思います。いい情報を得られるネットワークにいるためには、自分も良質な情報や洞察力を持っていないといけません。
――今野さん自身は、そのようなネットワークをどのように形成してきました?
事業、場合によっては会社もできていないところからビジネスを支援するVCは、情報が命の世界。僕が若手のアソシエイト時代は、同年代はもちろん、自分よりシニアの方々にいかにかわいがってもらえるように、情報交換やコミュニケーションが取れるかを心がけていました。会社の見方や投資や支援の方法など、経験値が蓄積になるので、サンプル数は多ければ多いほどいい。30歳手前くらいからは、違う領域で汗をかいてきた方が蓄積してきたものをいかに交換できるかを特に意識していますね。
――僕の言葉で言うと、「大御所」や「パイセン」にかわいがられることですね(笑)? 最近、今野さんのように「チャームであること」が見直されている気がしますが、その秘訣は昔からご存じだったのか、それとも誰かに教えてもらったんでしょうか?
僕にチャームがあるかはわかりませんが(笑)、僕の人格形成のレシピはシンプルで、転校生、サッカー部などでのリーダーシップ、親の単身赴任の3つで片付く。チャームの部分で言えば、「転校生」が大きく影響していると思います。「転校生」は、スターかいじめられっ子のどちらかになることが多く、アベレージにはなりにくい外れ値です。そこで順応性やコミュニケーション力を学び、チャームのようなものが培われた可能性がありそうです。もしかしたら、まず自らの意志や目的を持つこと、それが達成されるために周囲を巻き込みながらトライアンドエラーを繰り返したこと、その過程での失敗からの教訓を次に活かしてきたこと、あたりが要因かもしれません。

