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「Human Car Home」で暮らしを再定義する - シャオミ・ジャパン副社長 鄭彦氏の日本戦略

Updated OCT. 14, 2025 12:31
Text : 滝田勝紀
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2025年秋、東京・秋葉原で開催されたシャオミの新製品発表会、そして一般ユーザー向けに開催されたイベント「Xiaomi EXPO 2025」。スマートフォン「15T」シリーズをはじめ、ロボット掃除機やチューナーレステレビなど多彩な製品群に加え、ひときわ注目を集めたのがシャオミ・ジャパンの副社長、鄭 彦(てい・げん)氏の登壇だった。そんな鄭氏にシャオミの未来について聞いた。

世界9億台のエコシステムから日本へ

  • 一般ユーザー向けのイベント「Xiaomi EXPO 2025」を秋葉原で開催したシャオミ

    一般ユーザー向けのイベント「Xiaomi EXPO 2025」を秋葉原で開催したシャオミ

―― シャオミは創業から15年を迎えました。世界的に大きな飛躍を遂げてきましたが、その歩みは決して平坦ではなかったのではないでしょうか。この15年を振り返って、どのように総括されますか。

鄭氏:その通りです。決して順風満帆ではありませんでした。スマートフォン市場は常に激しい競争にさらされ、家電やIoTへの拡大も試行錯誤の連続でした。しかし挑戦のたびに、新しい確信と学びを得ることができたのです。その積み重ねの結果、2025年第2四半期には過去最高の成長を達成し、5四半期連続で30%を超える成長率を記録できました。これは私たちの方向性が正しいという証拠だと考えています。

  • シャオミ・ジャパン副社長 鄭 彦(てい・げん)氏<br>1980年 中国上海生まれ 45歳。同済大学電気工学部卒。日本での職歴は、HUAWEI JAPAN(華為技術日本株式会社)、レノボ・ジャパン合同会社などを経て、2024年6月にXiaomi Japan(小米技術日本株式会社)に入社し、現在に至る

    シャオミ・ジャパン副社長 鄭 彦(てい・げん)氏
    1980年 中国上海生まれ 45歳。同済大学電気工学部卒。日本での職歴は、HUAWEI JAPAN(華為技術日本株式会社)、レノボ・ジャパン合同会社などを経て、2024年6月にXiaomi Japan(小米技術日本株式会社)に入社し、現在に至る

  • 「基盤技術への投資こそがブランドの成長を支える」(登壇で語る鄭氏)

    「基盤技術への投資こそがブランドの成長を支える」(登壇で語る鄭氏)

―― そこまで高い成長を可能にした原動力はどこにあるのでしょうか。

鄭氏:最大の要因は“基盤技術への継続的な投資”にあります。過去5年間でAI、OS、チップセットなどに110億ユーロを投資しました。そして今後5年間でさらに240億ユーロの投資を計画しています。こうした取り組みにより、スマートフォンでは世界3位、ウェアラブルでは世界1位、タブレットもトップ5に食い込むまでに成長しました。短期的な価格競争ではなく、技術の厚みこそがブランドを持続的に成長させるのです。

  • グローバルでつながるシャオミ製品は10億台目前に迫っている

    グローバルでつながるシャオミ製品は10億台目前に迫っている

次の成長軸「Human Car Home」

―― スマートフォン市場が成熟する中で、次の成長曲線として掲げる「Human Car Home」。これは具体的にどういう世界を意味するのでしょうか。

鄭氏:私たちの次の成長軸は「Human Car Home」です。これは人が日常的に接するデバイス(Human)、自動車(Car)、そして家庭(Home)をOSとAIでシームレスにつなぐ構想です。

例えばスマートフォンが家のエアコンを操作し、車が自動で最適ルートを学び、家電と連動する。生活の95%以上を網羅する仕組みをつくりたいと考えています。EVの投入はその一部に過ぎません。

  • 中国の国内ではすでに販売されているEV「SU7 Ultra」を日本で初展示。販売などは未定

    中国の国内ではすでに販売されているEV「SU7 Ultra」を日本で初展示。販売などは未定

―― グローバルで見れば強力なライバルも多い。そうした中で、シャオミの独自性はどこにあると考えますか。

鄭氏:私たちはスマートフォンメーカーでもあり、家電メーカーでもあり、EVメーカーでもある。けれど、単に“全部を作っている”のではなく、“すべてをOSとAIで束ねている”ことが最大の違いです。エコシステム全体が生み出す体験が競合との差別化ポイントです。

  • クルマが自宅に到着することで自宅の家電などが動き出す未来を動画で示す

    クルマが自宅に到着することで自宅の家電などが動き出す未来を動画で示す

―― 製品ラインナップが増えるほど、ブランドとしての一貫性が求められます。

鄭氏:確かにすべてを自社で生産しているわけではありません。しかし我々は“デザイン言語の統一”にこだわっています。外部パートナーと協力しつつも、Xiaomiの世界観に合致するデザインを貫いています。ユーザーが製品を手にした瞬間に“あ、これはシャオミだ”と感じられる、そういう一貫性を大切にしています。

  • ありとあらゆる生活家電が展開されており、今後大型家電の導入も見込まれる

    ありとあらゆる生活家電が展開されており、今後大型家電の導入も見込まれる

日本市場への挑戦

―― 日本市場における大型家電の投入は大きな注目を集めています。戦略を教えてください。

鄭氏:大型家電は急いで導入するのではなく、“日本仕様に最適化”して投入する方針です。日本は100V電圧で、住宅のキッチンスペースも独特。さらに電安法(電気用品安全法)など規制も厳しい。だからこそ拙速ではなく、来年後半の投入を目指して調整を進めています。急がば回れ、です。

  • チューナーレステレビもサイズ別にラインナップされている

    チューナーレステレビもサイズ別にラインナップされている

―― グローバルでの評価は「高品質を手頃に」ですが、日本は流通コストが高く価格調整が難しい市場です。

鄭氏:確かに日本市場のコスト構造は独特です。しかし私たちのミッションは“良いものを適正価格で”提供すること。その理念は揺るぎません。小売パートナーとともに、いかに現実的に理念を実現するかを模索しています。

  • ロボット掃除機もフラッグシップからエントリーモデルまで展示

    ロボット掃除機もフラッグシップからエントリーモデルまで展示

―― 5年後、2028年に日本でどんな姿を描いているのでしょうか。

鄭氏:2028年までに「Human×Home」を日本市場で完成させたいと考えています。本国では500種類以上のAIoT製品を展開していますが、日本ではその約3分の1しか導入できていません。5年後には本国並みのラインナップをそろえ、日本の消費者にフルエコシステムを提供したいです。

  • コードレススティック掃除機と空気清浄機

    コードレススティック掃除機と空気清浄機

サービスも含めた“所有体験”

―― 現在は製品を買うだけでなく、サービスも含めた体験が重要になっていますね。

鄭氏:その通りです。だからこそ、直営店「Xiaomi Store Japan」を強化しています。2025年内にさらに3店舗、2026年には大阪や名古屋にも出店予定です。200以上の製品を実際に体験できる場所として、消費者にブランドの世界観を届けたいと考えています。日本の消費者は、体験すれば必ず理解してくれると私は信じています。

  • 直営店「Xiaomi Store Japan」の拡大計画を説明。大阪・名古屋にも展開予定

    直営店「Xiaomi Store Japan」の拡大計画を説明。大阪・名古屋にも展開予定

―― 新しい製品群の中で特に注目しているのはどこでしょうか。

鄭氏:フラッグシップのスマートフォン「Xiaomi 15シリーズ」は、適正価格でハイエンド体験を提供する象徴です。カメラやAI機能を強化し、日常の利便性を大きく高めています。単なるスペック競争ではなく、“使って便利だ”と実感できる体験を提供することが重要です。

リーダーとしてのビジョン

―― 最後に、経営者としてのビジョンを改めてお聞かせください。

鄭氏:私のビジョンは“製品を売って終わりにしない”ことです。すべての製品がOSとAIでつながり、暮らしをより便利に、より快適にすること。これこそが我々のゴールです。基盤技術への投資を続け、日本市場に合った最適化を進め、Human Car Homeを実現する──その未来を必ずお見せしたいと思っています。

  • 東京・秋葉原での発表会場。会場は多くの来場者で熱気に包まれた

    東京・秋葉原での発表会場。会場は多くの来場者で熱気に包まれた


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