内科・皮膚科・アンチエイジング・栄養学に精通した著者の馬渕知子医師が、日常的に飲まれている「コーヒーとビール」に秘められた驚くべきパワーと、それを最大限に活かす「正しい飲み方」を解説した一冊『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』。この記事では本書から一部を抜粋して紹介します。今回のテーマは『眠れない夜の対処法』
眠れない夜の対処法
お酒は寝つきをよくするか?
「あなたは眠れないとき、どうしますか?」
皆さんは、この質問にどう答えるでしょうか。
同様の質問を、日本、アメリカ、フランスで行ったおもしろい結果があります。
●日本
1位......お酒を飲む15%
2位......医師から処方された睡眠薬を飲む13.7%
3位......特に何もしない13.1%
●アメリカ
1位......市販の睡眠改善薬・催眠鎮静薬を飲む26・1%
2位......医師から処方された睡眠薬を飲む19・2%
3位......医師の診察を受ける18.6%
●フランス
1位......市販の睡眠改善薬・催眠鎮静薬を飲む20・8%
2位......医師の診察を受ける18.9%
3位......医師から処方された睡眠薬を飲む16.9%
日本人は、良質な睡眠を得るために多くの方がアルコールの力を借りるのです。
他国では「アルコール」とか「お酒」などという文字すらも出てきません。
誰かに頼る前に自分で何とかしようとする、強い日本人の国民性が現れた結果とも言えますが、この心意気が仇になることもあります。
確かに、お酒には入眠効果があります。
しかし、お酒を飲んでぐっすり眠ったものの、夜中や明け方に目が覚めてしまい、そのあと眠れなくなってしまったなどという経験はないでしょうか。
人間の睡眠は、脳が休んでいる深い眠りの「ノンレム睡眠」と、体が休んでいる浅い眠りの「レム睡眠」が交互に行われています。
通常、眠りにつくと、まず深い眠りであるノンレム睡眠が現れ、それ以降、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら朝を迎えます。
このとき、朝に向かってノンレム睡眠の時間は短く、浅い眠りのレム睡眠は長くなることで、快適な目覚めを得られるようになっていると考えられていますが、このリズムをアルコールは崩してしまうのです。
つまり、お酒を飲んでぐっすり寝たつもりでも、睡眠リズムは狂い、脳も体も十分に休息を得られない可能性が出てくるのです。
とくに深酒をしたときは睡眠の質が落ち、次の日に影響が出やすいと言われていますから、要注意です。
「ナイトキャップ」を操る
「ナイトキャップ」という言葉をご存知でしょうか。
直訳どおり、「就寝中にかぶる帽子」という意味でも使われますが、就寝前にお酒を飲む習慣や、その時に飲むお酒自体を指すこともあります。
就寝前に少量のお酒を飲むと、脳内に抑制性神経伝達物質である「GABA(ギャバ)」という物質が増えることが分かっています。
GABAは次のような働きがあり、体全体を睡眠モードに導いてくれます。
- 興奮を鎮める働き
- 血圧を安定させる働き
- 精神を落ち着かせる働き
つまり、少量のお酒であれば、睡眠リズムを崩すことはなく、逆に、心身をリラックスさせ心地好い睡眠へと誘導してくれるということです。
「酒量をコントロールできる人間」であることが大前提ではありますが、就寝前の適度なお酒は、高ぶった神経を落ち着かせ、自分を見つめ直すための時間をつくるのにも役立ちます。
ナイトキャップの目安は、「寝る少し前に強めのお酒を一口か二口程度」と考えてください。
ビールをナイトキャップとして活用する場合には、利尿作用を意識して(ビールは利尿作用の強いお酒なので)、寝る3~4時間前くらいに飲むのがいいでしょう。
オンとオフを上手く使いこなすためにも、ぜひ、ナイトキャップを操れるビジネスパーソンを目指してください。
『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』(馬渕知子/クロスメディア・パブリッシング)
この本では、コーヒーとビールに秘められたすごいパワーを明らかにするとともに、単なる嗜好品として味わうのではなく、パフォーマンスの最大化を可能にする、二重の意味で「うまい飲みこなし方」をお伝えします。想像してみてください。大好きなコーヒーとビールを美味しく楽しみながら、疲れやストレスを除くことができるのです。仕事もプライベートも絶好調!この本を読み終える頃には、きっとそんな毎日を手に入れているはずです。