戸建て住宅でも賃貸住宅でも、どこかにある洗面化粧台。だいたいは浴室と隣接した脱衣所に設置されていると思うが、近年の新築物件やリフォーム/リノベーションにおいては、従来と異なるニーズが高まってきている。
そんなニーズに応えるとして、パナソニック ハウジングソリューションズは8月21日に、住宅向け洗面化粧台の新モデルを発売する。普及価格帯の「C-Line」シリーズに位置し、洗面台の下を自由に使えるようにした「フロート型」(一般的な洗面化粧台は扉付き収納スペース)、および十分な横幅を確保した「ワイドカウンター型」を組み合わせた「フロートワイドカウンタープラン」だ。
価格は構成や工事費などによって相応に変動するが、モデルプランの一例としては、「幅1700フロートワイドカウンタープラン」が48万2,000円、「幅1200フロートワイドカウンタープラン」が44万3,000円だ。最小構成に近いところでは、30万円前後から用意されている。
洗面化粧台に対するニーズの変化だが、パナソニック ハウジングソリューションズの調査によると、大きな流れは「多用途化」だ。手洗い、洗顔、ヒゲ剃り、化粧――といった従来の使い方に加えて、アイロンがけ、ボディケア、ペットケア、靴洗いなどなど、様々な「コトをする場所」として洗面化粧台が使われている。テレワークのデスク代わりにするケースも増えているそうだ。
それに伴い、洗面化粧台を設置する(したい)場所にも変化が。
定番の脱衣所ではなく、リビングの一角、廊下、玄関、単独の洗面所/ランドリールームといった場所を希望するユーザーが増加傾向にあり、調査では56%を数える。生活の動線上に洗面化粧台が位置するというところもポイントだ。また、宅内には2台以上の洗面化粧台が理想とする層も60%を超えている。
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横幅が広いと平面のスペースを大きく取れるので、よく使うものを置いたりアイロンがけしたり、洗濯物を畳んだりと、便利に使える。洗面台の下から扉収納をなくして使い方の自由度を高め、洗面台が浮いているような「フロート型」の人気も高まっている
こうした状況を踏まえ、パナソニック ハウジングソリューションズは従来型の「洗面化粧台」を、新たに「Panasonic DRESSING」として再定義。「脱・脱衣所」や「無意識の快適を追求」をコンセプトに掲げる。従来の洗面化粧台には住宅の「設備」という認識があったが、これからは「インテリア」や「家具」のようなデザイン、「人と空間の調和」を提案していくという。「モノではなく暮らし、空間を創る」としている。
改めて自宅の洗面化粧台を見返してみると、脱衣所で当たり前のように使っていても、上記のような新しいトレンドにはうなずくものがある。例えば洗面台下の扉収納などは、有効活用できていないご家庭も多いのではないだろうか。筆者もまさにそうで、奥のほうに何を入れたのか覚えていない。よく使うのは手前に置いている洗剤類やシャンプーの詰め替えパックだけ――といった具合だ。
もちろん収納を重視するニーズは相変わらず高いし、機能性や利便性を実現してきたからこそ定番の場所(脱衣所)や構造になったのも事実だろう。ただ近年は住空間にこだわる人が増え、間取りやインテリア、家具、家電など「住空間」を構成する要素にそれぞれの新しいトレンドが生まれてきている。新築やリフォーム/リノベーションの予定があってもなくても、そんな視点を持ってモデルルームや住宅展示場、各社のショールームを訪れてみてほしい。新しい発見と楽しみがあるはずだ。