韓国Samsung Electronicsの株価が6月7日(現地時間)の取引で6.18%下落し、時価総額が同日だけで120億ドル失われる結果となった。複数の要素が重なっているが、最大の原因といわれているのが米J.P. Morganのアナリストが同社フラッグシップ製品のGalaxy S4の2013年第3四半期出荷台数が想定を下回る水準に留まるという予測レポートを発表したことで、同社株は同日のKSE全体平均の1.8%のマイナスという水準を大きく下回る形となっている。
同件はReutersなどが報告している。7日終了時点のSamsung株価(005930.KS)は142万7000ウォン(KRW)で(http://finance.yahoo.com/q?s=005930.KS)、前日比6.18%マイナスとなった。この時点での同社時価総額は約215兆ウォンで、換算すると1日だけで約125億ドル(約1.2兆円)が失われた計算になる。韓国証券取引所(KSE: Korea Exchange)におけるKRX100指数ならびにKOSPIの同日の下落幅は1.79~1.80%であり、それを大きく上回っている。
今回の暴落要因となったのはJ.P. MorganアナリストのJ.J. Park氏がまとめたGalaxy S4の第3四半期出荷台数に関する予測レポートで、その内容は投資家らを失望させるものであり、これが結果としてSamsung全体の利益率を低下させる結果になると結んでいる。同件を報じたWall Street Journalによれば、Park氏はレポートの中で「われわれがサプライチェーンの状況を確認したところ、月あたりの発注数は7月以降に20~30%少ない水準となっており、当初想定の1000万台を下回る700~800万台程度に収まる可能性を示している」と報告している。同氏はSamsung株価についても以前の210万ウォンから190万ウォンへと目標値を引き下げており、これが結果的に売りを誘発する形になったとみられる。またJ.P. Morganのレポートに前後する形で証券会社らの投資判断引き下げやレーティング引き下げが行われており、Samsungに部品を卸すサプライヤ各社の株価も影響を受ける形となった。
実際のところ、この影響はSamsungにとどまらないというのが一般的な見方だ。発売1カ月で1000万台販売を達成したGalaxy S4だが、前述のように第3四半期の3カ月間の予測値はこれを大きく下回るもので、販売の急減速が想定される。ハイエンドスマートフォンが市場を牽引するという構図が成り立ちにくくなっているのが現状だ。先ほどのReutersの報道の中でShinhan InvestmentのアナリストKim Young-chan氏は「ハイエンド製品の販売は想定水準に達しない状態で踏みとどまっており、ローエンドまたはミッドレンジ製品が世界規模で好調なのと対照的だ」とコメントしている。もう一方のハイエンド製品の雄であるAppleが6月10日(米国時間)にモバイルOSの最新版をプレビューし、夏または初秋には同OSを搭載した新製品を発表する見込みだ。全レンジに幅広いラインナップを展開するSamsungに対し、製品がほぼハイエンドに集中しているAppleはこうしたトレンドをの影響を大きく受ける可能性が高く、今後の展開が注目される。