以前に、Appleが独自の検索エンジンサービスを開発してiPhoneのデフォルト検索エンジンの座からGoogleを追い出す可能性があるとの情報「【レポート】BingがiPhoneのデフォルト検索エンジンに!? - AppleがMSと提携を模索」を紹介したが、あるメディアの報道によれば「まずあり得ない」話のようだ。その理由の1つとして、AppleはiPhone関連のサービス提供においてGoogleから1億ドル規模の資金提供を受けていることが挙げられるという。

同件を報じているのは、11日(米国時間)付けのBusiness Insiderの記事で、Apple運営に詳しい人物が独自検索エンジン開発の噂を「信頼性に乏しいもの」と一蹴しているコメントを紹介。その理由として、この話にはさまざまな選択肢が存在し、わざわざ検索エンジンの自社開発を選ぶ必要がないことを挙げている。例えばBusiness Insiderが仕入れた情報として、AppleがGoogle採用の見返りとして同社から年間1億ドル規模の資金提供を受けている話がある。これは広告収入などにおける売上シェアの一環だという。

もっとも、直近の決算で純利益だけで34億ドルを稼ぎ上げるAppleにとってはそれほど大きな金額ではないが、これだけでもわざわざ開発費と運営費を余分に投資してGoogleとの関係を打ち切る必要がないことはわかるだろう。一方で、この金額が少ないと思うのならば、先のレポートでもあるようにMicrosoftからより良い条件を引き出してBingに乗り換えればいいわけで、iPhoneを持っているAppleが一番の主導権を握っていることは間違いない。

とはいえ、AppleとGoogleの関係がそれほどいいものでないことは確かで、Business InsiderによればAppleが最初にiPhoneをリリースしたとき、わずか2週間でGoogle Mapsに関する契約を破棄してしまったという。同様の事態はGPSを内蔵したiPhone 3Gのときにも起きており、Google Mapsからすべての情報を取り出したいGoogleに対し、それを嫌がったAppleが契約完了までに半年にもわたる交渉プロセスを敷いていたという、いわくつきのものだとしている。われわれが普段何気なく使っているサービスの裏で、これだけ激しいつばぜり合いが起きていたのかと考えると感慨深い。