欧州委員会(EC)の競争部門長官のNeelie Kroesは1月21日(欧州時間)、米Oracleによる米Sun Microsystemsの74億ドルでの買収に問題はないとする採決を出した。米Wall Street Journalなど複数のメディアが伝えている。

OracleによるSun買収が市場における競争の阻害になるとの懸念から結論が長引いていたが、半年近い期間を経てようやく認められた形になった。米国では米司法省(DOJ)がすでに買収を承認しており、事実上ECの判断待ち状態だった。WSJによれば、現在同件について調査を行っているロシアと中国の独占禁止法監督庁も間もなくECの方針に追随するとの見方が有力で、2009年4月の買収表明からおよそ9カ月、ようやく買収完了に向けた光明が見えてきた。なお、OracleとSunは1月27日(米国時間)に買収表明から初の両社共同での今後の製品ロードマップ発表会を開催する予定だ。

買収の最大の争点は最初から最後までMySQLの存在だった。Sunが約10億ドルでスウェーデン企業のMySQLを買収したのが2008年1月のこと。LAMP (Linux、Apache、MySQL、PHP)のオープンソース定番のソフトウェアスタックの1つとして数えられるMySQLのOSS業界での人気は高く、SunがMySQLを救ったという評価もある反面、人気ソフトが大手企業に組み込まれることに不安を抱く声も少なくなかった。そしてOracleのSun買収発表で、今度はOracleのポートフォリオにMySQLが組み込まれることになり、最大の競合製品であるOracle DBを抱えるソフトウェアメーカーの傘下に入ることに対して反発する声が高まっていた。

ECが買収の件を調査した際に懸念を抱いたのもこの点で、人気製品2つを抱えるOracleが独占的立場を行使する可能性はないか、そしてMySQLの顧客を自社の主力商品であるOracle DBに誘導する戦略を採らないかということで決断を保留していた。Oracle側ではMySQLとその顧客保護をすぐに表明し、今後もいままで以上にMySQLに対する研究開発投資を行っていくことをアピールした。今回のECの決定はこれが認められた形で、さらに「Oracleが既存のMySQLシステムをOracleで置き換えることは難しい」との判断が下されたことによる。

ようやくEUから買収の裁可が下りたOracleのLarry Ellison CEO(左)とSun MicroSystemsのJonathan Schwartz CEO