ノルウェーのTandberg本社

米Cisco Systemsは10月1日(現地時間)、ビデオ会議システム大手のTandberg買収で合意したと発表した。買収総額は約30億ドル。CiscoはTelePresenceの名称の会議システムですでに同市場へと参入しており、業界最大手の1つのTandberg買収はソリューション強化でライバルに対抗するのが狙いとみられる。

Tandbergはノルウェーの首都オスロと米ニューヨーク市の両拠点に本社を置く企業で、1980年代からISDNベースのビデオ会議システムを開発するなど、業界でも老舗の部類に入る。最近ではIPネットワークを使ったビデオ会議システムの開発を主力としており、競合としては業界最大手の米Polycom、ソニー、そして新興企業の米LifeSize Communicationsなどの名前が挙げられる。CiscoともTelePresenceで競合しているが、過去には卓上ビデオ会議システムのCisco 7985Gを共同開発するなど、パートナー関係も築いている。

一方でTandberg買収を表明したCiscoは、IPルータやスイッチなどの主力製品を基軸に、どのようにIPインフラ上でアプリケーションやサービスを活用していくか、その応用ソリューションの開発と拡充に力を入れつつある。ビデオ会議システムはその応用分野の1つで、高品質での遠隔ビデオ会議を実現するTelePresenceを主に大企業や国際企業相手にマーケティング展開してきた。TandbergのソリューションはTelePresenceがカバーできない中小規模の市場や、大企業でもより柔軟性を必要とする市場をターゲットとしており、ちょうどフィットする。Tandbergは製品販売でCiscoのチャネル網を活用できるほか、Cisco自体もTandbergが強みとする欧州市場を攻略するきっかけとなり、両社にとってメリットとなる。

なお、必要な審査を経たうえで、買収完了は2010年前半を見込んでいる。