数千人から数万人の学生と教職員を抱える、巨大な組織が大学です。教育現場や事務領域、大学経営など、あらゆる場面で ICT の活用が増えていく中、どのように堅固なセキュリティ環境を構築するのか、どうやって業務を効率化していくのか。これらの両立は悩ましい課題ですが、決しておろそかにすることはできません。なぜなら、大学は情報リテラシーを「教える場」でもあるからです。 情報の活用能力は、今や社会人の基礎的なリテラシーとなりました。教育者が ICT に疎いままで、情報の扱い方を教えることはできません。 一貫した情報教育を提供するために、先進的な ICT 利活用に取り組んでいるのが関東学院大学です。同大は Microsoft 365 Education を導入することによって、学外からでもセキュアなアクセスを可能にするとともに、様々な分野での業務効率化を実現しています。

1 万人規模の大学教育を支える ICT 基盤として Microsoft Azure を採用

1884 年横浜・山手に米国人宣教師が創立した「横浜バプテスト神学校」を源流とする関東学院大学は、キリスト教に基づく人格教育を創設以来継承してきた総合大学です。「人になれ 奉仕せよ」という校訓のもと、総合大学の特性を十分に生かして、教育、研究だけでなく、社会連携教育や国際交流などにも力を注いでいます。現在は、全 11 学部に 11,000 人の学生が在籍しています。2 年前に設立した「防災・減災・復興学研究所」の取り組みは、文部科学省の私立大学研究ブランディング事業に採択されました。自然科学や工学のみならず、人文科学や社会科学のアプローチを融合させることによって、現代社会に貢献するための研究が深められています。

そんな同大が近年、力を注いでいるのが ICT の利活用です。2018 年には学内の情報システムの高度化や人材育成の強化などを図るため、エデュケーションIT サービス株式会社を大手企業と共同で設立しました。これは「将来を見据えた取り組み」だと関東学院大学 学長 規矩 大義 氏は話します。

「今の時代、情報技術に関する知識やリテラシー、活用能力を身に付けることは、社会に出ていく前提だと思います。11,000 人という非常に多くの学生に対して、付け焼き刃ではなく一貫した情報教育を提供することは、近年の重要なテーマです。しかし、教職員だけでは、日常で使うソフトの操作方法を覚えることに手一杯で、なかなか『未来の大学に必要なシステム』を考えることができません。外部企業と連携する狙いの 1 つは、我々自身が情報に関するきちんとした知識と能力を身に付け、リテラシーを高めることにありました」(規矩 氏)。

「11,000 人の学生に対して高度な情報教育を提供すること」を念頭に置き続けてきた同大は、学内システムにおいても、早期のクラウド化など先駆的に取り組んできました。2008 年の時点で SaaS のメール システムを利用し、2014 年以降は学生向けポータルや WEB サービスをキャンパス内のオンプレミスから、データセンターへ、そして 2018 年からは順次クラウドへと移行しています。こうした展開については「大学ならではの要件設定の違いが大きかった。」と、関東学院大学 事務局次長 小糸 達夫 氏は言います。

「一般企業と比べて、大学はシステム負荷が集中する周期が頻繁に発生します。90 分の講義が終了するたびに、あるいは情報の講義が始まるたびに、多くの学生が一斉にログインすることがあるからです。最大のトラフィック処理に合わせた環境をオンプレミスで用意しようとすると、相当なスペックが必要となってしまいますが、クラウドであれば柔軟にスケールが変えられ、かつ安定した稼働が可能となります」(小糸 氏)。

また、クラウドへの本格的な移行については、オンプレミスで運用管理することの負荷も大きかったと小糸 氏は続けます。

「当時は 53 台の物理サーバーを使っていたのですが、運用管理の面でとても苦労していました。特に、2011 年に発生した東日本大震災に直面し、『電力不足の中で 1 万人を越える学生にどうやって事態を周知すればいいのか』といったオンプレミス運用での問題が顕著にあらわれました。しかし、クラウド環境であれば、たとえ災害時でもシステムを安定稼働させることができます。こうした背景から、積極的なクラウド移行を進めてきました」(小糸 氏)。

現在関東学院大学は、学生向けポータルやメーリング リストのサーバー、卒業生向けメール配信サービスなどを Microsoft Azure へ移行し、他システムについても随時移行検討を進めています。

Microsoft Azure を用いることで、システムの安定稼働を実現させた関東学院大学。同大の次なる歩みは、Microsoft 365 Education の導入による業務改革でした。

Microsoft 365 の機能をフル活用し、高度なセキュリティ環境を構築

Microsoft 365 Education は、Windows 10 と Office 365 に加えて、デバイスのセットアップとセキュリティ管理を容易にする Intune for Education がまとめて使えるソリューション パッケージです。このライセンスを採用した理由について、小糸 氏は次のように説明します。

「当時はちょうど Intune や Power BI の利用を検討し始めていた頃で、業務用端末を一元管理できたり、データ分析の視覚化が容易にできたりと、はっきりとした活用方法が見えていました。それぞれ個別に契約するよりも、Microsoft365 Education によって包括的に契約を結んだほうがコスト的にメリットがあったため、採用の決断はスムーズでした」(小糸 氏)。

11,000 人の学生を抱える教育機関として、組織の情報管理の厳密さを担保することは必須要件です。関東学院大学では、業務システムを利用する 600 台のデスクトップ PC はすべてシン クライアントであり、閉ざされた業務系ネットワークの中で運用しています。さらに、30 台のノート PC は Intune とMicrosoft Defender ATP を組み合わせることによって、外出先の利用においても堅固なセキュリティを実現しています。

Intune のコンプライアンス ポリシー管理やデバイス構成管理、アプリケーション管理等の機能によって、管理者が設定した条件のもとでユーザーにデバイスを利用させることができます。また、豊富なエンドポイント セキュリティ機能を有する Microsoft Defender ATP を用いれば、脅威の検知から保護、修復までを自動的に対応可能です。

Intune と Microsoft Defender ATP の特徴は、Windows 端末以外であっても適用できる点にあります。関東学院大学の場合、40 台の Mac を利用していますが、こちらも合わせてガバナンス統制を図ることができたのです。

認証についても、従来の Cookie 認証から Azure Active Directory による認証へと移行しています。クラウド アプリケーションへのアクセスを一元管理する Azure Active Directory は、言わばクラウド版の Active Directory です。学生向けポータルや WEB 履修登録システム、LMS (学習支援システム) といった様々なサービスに対してのシングル サイン オンが提供できるようになりました。さらに、各システムへのアクセス ログを一元管理することによって、より高精度な不正検知が実現できています。

Power BI の導入によって作業時間を 6 分の 1 に短縮。学内に「Power ユーザー」を増やす

大学において、志願者・入学者の多寡は経営に直結する重要な課題です。関東学院大学も他大学と同様に、全国の高校やガイダンス会場を訪問して学校紹介をする業務があります。Microsoft 365 Education によって外出先でもセキュアなアクセスを実現させた理由の 1 つには、職員の学外での業務の多さもあったのです。

業務システムへのアクセスだけでなく、実作業においても Microsoft 365 Education のソリューションは活用されています。関東学院大学では、毎年 1月に一般入学者選抜の出願が始まりますが、この期間中は志願状況がリアル タイムで集計され、即座に可視化される仕組みが Power BI によって構築されているのです。

「Power BI によって業務がまさに革命的に効率化されました。」と関東学院大学 荒井 修二 氏は熱く語ります。

「従来は、担当者が手作業で PDF のレポートを作成していたのですが、毎日 2時間かかるような作業で、非常に大変でした。『特定のデータを見たい』と依頼されても、応えるまでかなりの時間がかかることもあったのです。それが今では、データを取り込むだけです。誰でも 20 分ほどで更新できるようになりました。あとは Power BI にログインすれば、必要な情報が分かりやすくレポート化されるので、学部ごと、地域ごと、高校ごとの出願状況がすぐに分かり、迅速に状況を把握できるようになりました」(荒井 氏)。

担当者が毎日 2 時間かけていた作業が、誰でも 20 分でできるようになる。これは極めて大きな業務効率化です。この成果を見たことによって、現在は入試関係だけでなく、システムトラブル対応記録の可視化や、退学してしまうような学生の動向要因分析の可視化など、様々な分野で Power BI が活用されています。

同大では、各部署の「困りごと」を、Power BI の操作に習熟した職員によって解消させる仕組みの整備に取り組んでいます。こうした職員のことを関東学院大学では「Power ユーザー」と呼んでおり、その数は着実に増え続けています。

  • Power BI を活用し必要な情報をすぐに可視化

ICT の利活用によって、空間に制約されない教育を実現していく

関東学院大学は Microsoft の法人向けサポートサービスである Premier サポートを契約しています。現状をアセスメントした上で、Microsoft のエンジニアによる最新の運用支援が提供されているのです。

日々進化していくテクノロジーに基づき、「今後は遠隔講義などに活かしていきたい。」と、規矩 氏は言います。

「学生にはキャンパスに閉じこもらずに、いろんな経験をしていく環境を提供していきたいと思っています。そのために国内外の大学との連携を強化してきました。さらに 2022 年には、実社会をフィールドとする学びの場として、横浜・関内キャンパスを新設する予定です。こうした国内外の場所を繋ぐ教育に、ICT を活用していきたいと考えています」(規矩 氏)。

  • 横浜・関内キャンパスのイメージ写真

この考えに基づき、小糸 氏はコラボレーション ツールである「Microsoft Teams を迅速に浸透させていきたい。」と、話します。

「まずは事務の中で、メールの代わりに Microsoft Teams の利用を進めていきます。現在業務で使っている事務ポータルの掲示板やスケジュール管理システムはだいぶ古くなっていますから、Microsoft Teams を浸透させることによって、各キャンパスや部署間での情報共有をスムーズにしたいと思います。また、学生や教員の授業補助としても非常に使いやすいツールですので、Microsoft Teams 上でゼミなども展開していきたいですね」(小糸 氏)。

Microsoft 365 Education の導入によって高度なセキュリティと業務効率化を果たし、教育を支える実務分野を進化させた関東学院大学。横浜の中心部に新たなキャンパスを開設する同大は、今後ますます実社会に貢献できる教育・研究を加速させていくことでしょう。

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