クラウド ファーストの波が本格的に訪れています。ユーザー企業だけでなく、そこへシステムを提供するシステム インテグレーター側も、この波に対応するためのビジネス シフトへの判断が求められています。株式会社ビービーシステムは、こうした時代の変化への対応をいち早く進めることで、「ビービーシステムだけの価値」の創出に成功しています。

株式会社ビービーシステム

受託開発事業、システム インテグレーション事業、プロダクト事業の 3 つを柱にビジネスを展開する同社は、2014 年、開発検証環境のプライベート クラウド化を実施。約 250 台のホストで常時 1,000 台以上もの仮想マシンが稼動する環境をユーザーへ提供しています。この取り組みの特筆すべき点は、当時胎動が表れていたクラウド ニーズの変遷を見据え、ハイブリッド クラウドを前提とした環境として開発検証基盤の構築を実施した点にあります。

データ量の肥大化やシステムに求められる IT 要件は日々高まっており、オンプレミスでの運用はいずれ限界が訪れるといえます。それゆえに、他社に先駆けてハイブリッド クラウドを本格稼動したことは、そこでのノウハウをいち早く顧客へ還元できるという点で、同社が提供するサービス価値の向上に結びついたのです。

Windows Azure Pack と Microsoft Azure を連携したハイブリッド クラウド環境では、こうしたサービス価値の向上に加え、ユーザーの工数削減やプロジェクトの短期化、Azure 上のリソースを含む統合管理の実現など、多くの効果を生み出しています。

プロファイル

マイクロソフトテクノロジに特化した独立系ソフトウェア ベンダーとして、1988 年の設立以降、高い技術力を武器に 約 30 年にわたり高品質なサービスを提供し続けてきた、株式会社ビービーシステム。顧客にとって最高のサービスを提供する「No1 企業」を目指し、ビービーシステムは今後も、最先端のテクノロジへ積極的にチャレンジします。

導入の背景とねらい
ハイブリット クラウドの波を見据え、新たな開発検証基盤を構築

受託開発事業、システム インテグレーション事業、プロダクト事業の 3 つを柱にビジネスを展開する株式会社ビービーシステム (以下、ビービーシステム)。高度な技術力をもった同社のソリューションは、市場から高い評価を得ています。同社の武器ともいえるこの技術力を常に高く、そして最先端の水準で維持すべく、ビービーシステムは自社のインフラ基盤へ向けて積極的に最新 IT を適用。そこで培った知識やノウハウを顧客へ還元するというサイクルで、サービス品質の向上を実践しています。

クラウド ファーストの方針が加速する中、こうした取り組みを進めるうえでは当然、そこへ目を向ける必要があります。これまで同社の開発環境では、案件ごとにユーザー (技術者) へ物理リソースを提供、そこへユーザーが自身で仮想環境を構築する形で、作業が行われてきました。この環境について、ビービーシステムは 2014 年、プライベート クラウドで新たな開発検証基盤を構築。約 250 台のホストで常時 1,000 台以上もの仮想マシンが稼動する環境をユーザーへ提供しています。

この取り組みの背景について、株式会社ビービーシステム 取締役 上席執行役員 システム統括本部 統括本部長 西野 義高 氏は、次のように説明します。

株式会社ビービーシステム
取締役 上席執行役員
システム統括本部 統括本部長
西野 義高 氏

「ユーザーはこれまで、案件発生時にまず環境の構築から開始せねばならず、業務効率の低下と開発着手までのリード タイムが問題となっていました。また、提供できるリソースは物理環境のスペックに制限されるため、有事の際、即座に拡張が行えないといった問題もありました。これらは、当社のサービス品質に悪影響を及ぼします。それだけでなく、このようなユーザーが個別に仮想環境を構築する状態では、管理側も統制と利用状況の把握が困難であり、コストとガバナンスの面にも課題があったのです。これらを解消すべく、開発検証環境のプライベート クラウド化を実施しました」(西野 氏)。

開発検証環境をプライベート クラウド化したことで、ユーザーはポータル画面上からネットワークを介し、自由に仮想マシンやそのリソースを利用できるようになりました。いわゆる「セルフ サービス化」を実現したこの取り組みにより、1 台の仮想マシンを立ち上げるのに要していた時間が 1 時間からわずか 15 分にまで短縮するなど、ユーザー工数の削減、プロジェクトの短期化が実現されています。さらに管理者側にとっても、これまでブラック ボックス化していた環境が見える化され、その統制と運用が劇的に改善したといいます。

ですが、この取り組みの特筆すべき点は、こうした直接的な効果とは別の部分にあります。2014 年に構築された開発検証基盤は、単なるプライベート クラウドではなく、将来的なハイブリッド クラウド化を見据えた環境としてシステムの構成を設計。マイクロソフトが提供するクラウド プラットフォーム「Windows Azure Pack」を利用することで、Azure との連携性を備え、かつ Azure と共通の GUI でプライベート クラウド上での開発作業が行える環境として基盤を構築したのです。

株式会社ビービーシステム システム統括本部 西日本システム本部 第1システム部 第1グループ リーダー 繁田 基史 氏は、基盤構築においてハイブリット クラウド化を意識した理由について、次のように説明します。

株式会社ビービーシステム
システム統括本部 西日本システム本部
第1システム部 第1グループ リーダー
繁田 基史 氏

「いかにプライベート クラウドといえども、そのリソースはオンプレミスに設置した物理ホストの台数と処理性能内で制限されてしまいます。しかし、パブリック クラウドと連携した基盤であれば、このスケーラビリティの上限を打破できます。そこでは、今後予想もしないような大規模案件、突発的なトラブルなどが発生した場合でも、それに対応することができます。当社でいえば、これは提供できるサービス領域の拡大につながるわけで、また当社以外の企業においてもこうした柔軟性と拡張性の担保は高い価値を持ちます。近い将来でハイブリッド クラウドの時代が到来するのは間違いないと考え、先手を打って環境の構築と運用のノウハウを蓄積することが、当社サービスの価値向上にもつながると判断したのです」(繁田 氏)。

ビービーシステムではプライベート クラウド化より以前から、社内にある IT 資産の管理に System Center 2012 を利用してきました。それが備える Azure との連携機能、およびそこでの作業のシームレス性から、同社では Azure を採用したハイブリッド クラウド環境の構築が有効だと判断しました。当然、すべてのシステムをパブリック クラウドにのせた場合、そこにはコスト面で課題が生じます。そこで 2014 年の段階では、まずはプライベート クラウドとしての利用から稼働を開始しました。

Windows Azure Packを利用したプライベート クラウドへの環境移行だけでも、先に触れたように大きな効果を生み出しています。しかし、同環境が稼動し始めてわずか 1 年後には、Azure の活用を本格的に検討せざるを得ないインシデントが発生したといいます。

「2015 年の後半ですが、グローバル IP アドレスが不足するという問題が発生しました。その時は Azure の仮想ネットワークへ一時的に Point-to-Site 接続することで乗り切ったのですが、今後こうした問題がネットワーク面だけでなく、サーバーやストレージなどあらゆる側面で生じることが推測されました。IT の急速な進化に伴い、各案件に求められるインフラの要求レベルも日々高まっています。実際、毎年 20 台ほどの物理ハードウェアをプライベート クラウド環境へ拡充していますが、先ほどの問題のように、それでも追いつかないインシデントが発生し得るのです。そこで 2015 年末からは、Azure を本格的に活用すべく、検討を開始しました」(繁田 氏)。

システム概要と導入の経緯、構築
クラウド上のリソース管理と統制を実現する、Azure DevTest Labs

同社では 2014 年にプライベート クラウドを構築した段階で、仮想ネットワークの接続といったオンプレミスと Azure 間で連携する構築を済ませていました。そのため、すぐにでも Azure 上のリソースを活用できる状態にありました。しかし、Azure の活用を本格化するうえでは、管理や統制の方法についても慎重に検討する必要があったと、西野 氏は語ります。

「プライベート クラウドの利用状況は、System Center Virtual Machine Manager (SCVMM) で統合的に把握することができます。またそこで統制を効かせることも可能です。しかし Azure は当時、SCVMM のようなリソースの一元管理と利用統制を行う機能がまだ充実していませんでした。単純に Azure のリソースが使えればそれでよいというわけではありません。無制限にリソースが利用できるというクラウド サービスの利点は、裏を返せば、ユーザーの使い方しだいで使用リソースが青天井になる危険性も内包しているのです。管理側で利用状況の把握や統制が行えない場合、その危険性はさらに高くなるでしょう」(西野 氏)。

管理と統制の問題は、こうしたリソース、およびコストの問題だけでなく、企業としてのビジネス リスクを高める可能性もあったと、繁田 氏は続けます。

「2014 年に構築したプライベート クラウドでは、当社の開発環境で必須となるネットワークやセキュリティ要件をテンプレート化し、それを適用した仮想マシンとリソースをユーザーへ提供しています。しかし、パブリック クラウドの場合、先の要件は基本的にユーザー側で独自に設計する必要があります。当社の技術者は、インフラとソフトウェア分野については高い専門性を持っていますが、クラウドについても同様かというと、すべての技術者がそうだとは言い切れません。そうすると、セキュリティ面を考慮せずに設計した環境のもとで案件が進められる可能性があり、これは企業として大きなビジネス リスクとなります」(繁田 氏)。

こうした背景から、Azure との連携をもった環境とはいえど、すぐにその利用を開始するわけにはいかなかったのです。しかし、2016 年に Azure 上のリソース管理と統制を機能提供する「Azure DevTest Labs」が登場したことで、同社が抱えていた課題は一気に解消されます。

Azure DevTest Lab では、開発と検証環境の迅速なプロビジョニングに加えて、各種ラボの詳細なポリシー設定、チームや組織全体の開発環境の一元管理などを行うことができます。これを利用することで、SCVMM によるプライベート クラウドのリソース管理とポリシー制御と同様のことが、Azure 上の環境についても行えるのです。ビービーシステムでは、Azure DevTest Labs の登場後、その利用を前提に、業務フローと利用ルールを策定。その後、2016 年 7 月より、Azure の本格的な活用を開始しました。

ユーザーが仮想マシンの利用を開始するまでの業務フロー。ユーザーの入力情報に沿って、プライベート クラウドもしくは Azure 上で自動的に仮想マシンが生成される

ユーザーは System Center の Service Manager で構築したポータル画面を通じ、セルフ サービス型で仮想マシンを利用できる

導入製品とサービス

  • Microsoft Azure
    - Virtual Machines
    - Virtual Network
    - DevTest Labs

  • Windows Azure Pack

  • System Center 2012 R2

導入メリット

  • Windows Azure Pack と Microsoft Azure によるハイブリッドな開発検証基盤を構築したことで、1 台の仮想マシンを立ち上げるのに要していた時間が 1 時間からわずか 15 分にまで短縮するなど、ユーザー工数の削減とプロジェクトの短期化を実現

  • System Center と Azure DevTest Labs により、プライベート、Azure の両環境をシームレスに、かつ統合的な管理、統制が行えるようになった

  • 早期にハイブリッド クラウドを稼動開始したことで、構築や運用のノウハウをいち早く顧客へ還元できるようになり、サービス価値の向上につながった

導入の効果
System Center と Azure DevTest Labs により、オンプレミスと Azure の利用、管理がシームレスに行える

ビービーシステムでは、System Center 2012 Orchestrator の Runbook を利用した自動処理基盤を作成。案件情報を基にしてオンプレミスもしくは Azure 上で仮想マシンが自動作成されるしくみを構築することで、ユーザーは「プライベート環境、Azure 環境のどちらを利用するか」を意識することなく、最小限の情報入力のみで最適な仮想マシンを利用できるようになりました。

繁田 氏は、このしくみを構築するうえで、Azure DevTest Labs が持つ機能が大きく役に立ったと語ります。

Azure と連携した、ビービーシステムの開発検証環境のシステム イメージ

「Azure DevTest Labs では、System Center で利用してきた PowerShell のコードをそのまま転用できるため、『ポリシーを適用した仮想マシンを Azure 上で自動作成するしくみ』についてもスムーズに構築することができました。また Azure DevTest Labs では、SCVMM とほぼ同等、もしかするとそれ以上の利便性で、Azure 上のリソース管理とその統制が可能です。現在、Azure 上の環境は夜間に停止する設定にしていますが、こうした自動化の設定も GUI ベースで簡単に行うことができます。ハイブリッド クラウド化の早期実現は、Azure DevTest Labs なしでは行えなかったでしょう」(繁田 氏)。

とはいえ、2016 年の段階ではまだ、プライベート クラウドだけでも滞りなく開発検証作業が遂行できる状況でした。しかし、市場的にもまだそうした状況だからこそ、早期にハイブリッド クラウドを稼動開始したことの意義は大きいと、西野 氏は語ります。

「オンプレミスでの運用は、いずれ限界がくるでしょう。この限界はお客様や競合他社にとっても同様で、いずれ市場全体に訪れるものだと考えています。それゆえに、Windows Azure Pack と Azure を採用し、他社に先駆けてハイブリッド クラウドを本格稼動したことは、そこでのノウハウをいち早くお客様へ還元できる、当社サービスの価値を向上できるという意味で、大きな強みになると考えています」(西野 氏)。

続けて繁田 氏は、その環境の構築に Windows Azure Pack と Azure を採用したことが大きなメリットを生み出していると説明します。

「Windows Server ソフトウェア アシュアランスの『Microsoft Azure ハイブリッド使用特典』を利用することで、ライセンスを別途購入せずにオンプレミスの Windows Server イメージを Azure 上でも実行できます。スポットの開発案件だったものが、納品後に保守まで契約いただき長期案件化することは往々にしてありますが、一般的に長期案件においてはコストの観点からオンプレミス環境を利用すべきだといえます。仮に Azure で構築したスポット案件のシステムが長期案件化し、その環境をプライベート クラウドへ移行しなければならなくなったとしても、この特典を利用すればライセンス費用を削減することが可能です。当然、そこではお客様側で負担いただくコストも下げることができるため、当社ソリューションの価値向上になるのです。こうした、Windows Azure Pack と Azure で構築した環境を持つ『ビービーシステムだけの価値』を、今後も創り出していきたいですね」(繁田 氏)。

プライベート クラウド (左) と Azure (右) の管理画面。Azure DevTest Labs を利用することで、Azure 上のリソース管理とその統制が可能になった

今後の展望
ハイブリッド クラウドの運用を自ら実践することで、「ビービーシステムだけの価値」を提供していく

ビービーシステムでは、ハイブリッド クラウドの運用を自ら実践することで、その環境が持つ利点と運用ノウハウをもった『ビービーシステムだけの価値』の提供を開始できました。

同社では現在、開発検証基盤のさらなる最適化を目指した取り組みが計画されています。ビービーシステムではそこにおいても、引き続きマイクロソフトの製品をメインに環境の整備を進めていくと、西野 氏と繁田 氏は語ります。

「まずは現在使用している System Center のバージョンを 2012 から 2016 へバージョンアップし、管理と統制の最適化をより発展させたいですね。またハードウェア面についても、たとえば SDS (Software-Defined Storage) を活用したシンプルな構成にすることを考えています。ハイブリッド クラウド化のように、新しい取り組みで得られるノウハウは、将来的に必ず当社のサービス価値を高めるファクターになるでしょう。その考えのもと、今後も積極的な取り組みを進めてまいります」(西野 氏)。

「今回のプロジェクトでも実感しましたが、マイクロソフトの製品は本当に優れているものが多く、なおかつそのリリースの頻度もきわめて高いです。しかし一方で、企業側がなかなか新たな製品リリースに知識が追いついてないことも事実だといえるでしょう。当社ではどこよりも先に先進的な製品や機能を利用し、そこで培ったノウハウをお客様へ紹介することで、社会への貢献をしていきたいと考えています。そのためにもマイクロソフトには、新製品の情報を密に共有し、当社が目指す社会貢献を支援いただきたいですね」(繁田 氏)。

開発検証環境の本格的なハイブリッド クラウド化を早期に実現したビービーシステム。この環境は今後、同社でしか提供できない、高い価値をもったサービスを多数生み出していくことでしょう。

ユーザー コメント
「オンプレミスでの運用は、いずれ限界がくるでしょう。この限界はお客様や競合他社にとっても同様で、いずれ市場全体に訪れるものだと考えています。それゆえに、Windows Azure Pack と Azure を採用し、他社に先駆けてハイブリッド クラウドを本格稼動したことは、そこでのノウハウをいち早くお客様へ還元できる、当社サービスの価値を向上できるという意味で、大きな強みになると考えています」

株式会社ビービーシステム
取締役 上席執行役員
システム統括本部 統括本部長
西野 義高 氏

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