ここ最近、ガラスやアクリルなどの透明パネルを採用して内部の様子を目視できるタイプのPCケースが増えつつあります。そういったケースに光るパーツを組み込んでマシンを好みのライティングで彩るのは、自作PCならではの楽しみですよね。もっとも、内部が見えるということは配線のごちゃごちゃも目につきやすいということ。せっかくこだわってパーツを選んでも、ケーブルが目立ってしまってはテンションも下がってしまいます。
裏配線を前提に設計されたMSI「PROJECT ZERO」シリーズ
そんな自作PCにつきものの問題を解消し、簡単に美しく整った“魅せるPC”を実現できるのが、配線をマザーボードの背面に隠す“裏配線”を前提に設計されたMSIの「PROJECT ZERO」シリーズです。ここでは、ラインナップのうち最新のケース「MPG VELOX 300R AIRFLOW PZ WHITE」を使用してPCをビルドする方法を、手順ごとに詳しく紹介していきます。
MSI「PROJECT ZERO」シリーズとは
PROJECT ZEROシリーズは、主要なケーブルを表側から見えなくできるためスッキリとした美しい外観を実現できる
一般的なマザーボードは、電源コネクタやCPUコネクタなどのコネクタ類がマザーボード表面にレイアウトされています。そのためケーブルを接続すると、ケース内部が配線でごちゃごちゃしがち。そこでPCケースによってはケーブルを通すための穴を設けて、マザーボードの裏のスペースに一部の配線を隠せるようになっています。
しかし、接続するケーブルが増えれば増えるほど、その取り回しも煩雑になり、配線の管理やメンテも面倒に……。であれば、「最初からコネクタを背面に配置してしまえばいいのでは?」ということで登場したのがMSI「PROJECT ZERO(PZ)」シリーズです。
その特徴は、電源コネクタやCPUコネクタ、ファンヘッダー、SATAコネクタなどをマザーボード背面に配置する「背面コネクタ設計」を採用している点。対応ケースとの組み合わせで、主要なケーブルをすべて表から見えなくできるため、スッキリとした美しい外観を簡単に実現できます。コネクタと配線が同じ面にあるため組み立てもしやすく、ケーブルの管理やメンテがしやすいのもメリットです。
「MPG VELOX 300R AIRFLOW PZ WHITE」で組む裏配線ビルド
背面コネクタ設計のマザーボードを利用するには、同設計に対応したPCケースが必要になります。PROJECT ZEROシリーズの場合、「MSI PZシリーズPCケース」をはじめ数多くのケースが対応しており、好みや目的に合わせて選ぶことが可能。今回は、そのうち最新のケース「MPG VELOX 300R AIRFLOW PZ WHITE」を使用して組み立てていくことにします。
「MPG VELOX 300R AIRFLOW PZ WHITE」の外観
同ケースは名前に「PZ」が入っていることからも分かるように、PROJECT ZEROシリーズのマザーボードの背面コネクタ設計に最適化されています。また左側面に強化ガラスパネルを、前面と天面、背面、右側面にメッシュパネルを搭載。さらに独自のデュアルレイヤーブレードファンを装備しており、外観の美しさと放熱性能の高さを兼ね備えた造りになっているのが特徴です。
このほか、さまざまなサイズのファンを柔軟に取り付けられる「EZブラケット」や、スナップ・アンド・ロック式の「EZ PSUカバー」、グラフィックスカードのサイズに合わせて高さ調整が可能な「GPUホルダー」なども標準装備しており、組み立てやすさを追求した設計になっています。カラーバリエーションはBLACKとWHITEの2色が用意されていますが、今回はそのうち“魅せるPC”を意識してWHITEをチョイス。それでは、さっそく組み立てていきましょう。
【STEP1】PCケースを準備する
パネルを取り外したところ
まずは、PCケースを用意し、そのパネルを取り外して内部にアクセスできるようにします。フロントパネルは手前に引っ張るだけで簡単に取り外せます。上部パネルは本体背面に2箇所ある手回しネジをゆるめて持ち上げればOK。サイドパネルは、上端を外向きに押し開くようにすれば工具なしで取り外せます。
電源ユニット(PSU)をケース底部に取り付ける
内部にアクセスできるようになったら、電源ユニット(PSU)をケース底部に取り付けて、グラフィックスカードに接続するケーブル以外はすべて裏側に回しておきます。今回は80 PLUS Gold認証を取得した、電力変換効率に優れた「MAG A850GL PCIE5 WHITE」を選びました。ネイティブ16ピン PCIe コネクタを搭載しており、最大600W出力に対応した製品です。
【STEP2】マザーボードを準備する
今回使用したマザーボード「PRO Z890-S WIFI PZ」
次に、マザーボードを用意します。今回は背面コネクタ設計に対応したPROJECT ZEROシリーズの「PRO Z890-S WIFI PZ」を選択しました。手にとって見ると、一般的なマザーボードなら表側にあるコネクタやI/O端子がすべて背面に配置されているのが確認できます。
CPUやメモリなどをマザーボードに取り付ける
マザーボードの背面に水冷一体型CPUクーラーのバックプレートを取り付けておく
続いて、CPUやメモリ、ストレージをマザーボードに取り付けます。今回はデュアルサイドインフィニットミラーデザインを採用した水冷一体型CPUクーラー「MAG CORELIQUID I360 WHITE」も用意したので、そのバックプレートも取り付けておきました。
【STEP3】マザーボードをケースに固定する
ケースにマザーボードを取り付けたところ
ここまで用意できたら、いよいよケースにマザーボードを取り付けます。ケースは背面コネクタ設計に対応しているので、マザーボード裏のコネクタやI/O端子に合わせた穴が用意されています。正しい向きに置いてその穴からコネクタ類にアクセスできるのを確認したら、付属のネジでマザーボードをケースに固定します。
水冷一体型CPUクーラーを取り付けたところ
続いて、CPUクーラー(今回の場合は水冷一体型の「MAG CORELIQUID I360 WHITE」)のラジエーターをCPUに固定し、冷却ファンをケース上部に取り付けます。その際、CPUクーラーのケーブルは背面に回しておきます。
【STEP4】裏配線を行う
裏配線を行なっているところ。コネクタが背面にあるため、ケーブルを差し込みやすいのが思った以上に便利
ケースの裏側に周り、24ピン電源やCPU補助電源、USB、フロントパネル、オーディオなどのケーブルをマザーボード背面のコネクタにつないでいきます。コネクタの見た目が似ているケーブルもあるため、マニュアルなどを参考にしながらよく確認してつなぎましょう。必要に応じて結束バンドなどでケーブルをまとめて整理しておくと、配線の管理がしやすくなります。
ケース背面の上部にはARGBを制御できるコントロールボードが搭載されている
ケース背面の上部にはARGBを制御できるコントロールボードが搭載されています。光るパーツのARGBケーブルをこちらにつないでおけば、マザーボードへの配線は必要最小限ですむのが便利。
ちなみに、コネクタが表にある一般的なマザーボードの場合は、パーツが干渉してケーブルを差し込みにくいことがありますが、裏配線の場合はそういったジャマがないためスムーズに作業できます。パーツにうっかり触れて傷や汚れをつけてしまう心配がないのに好感を抱きました。
【STEP5】グラフィックスカードを取り付ける
グラフィックスカードを取り付けたところ
最後に、グラフィックスカードを取り付けます。今回はハイエンドクラスの「GeForce RTX 5080 16G GAMING TRIO OC WHITE」を選択しました。グラフィックスカードのサイズに合わせてケース背面のスロットカバーを外したら、マザーボードのPCIeスロットにグラフィックスカードの端子をしっかり差し込み、ネジでケースと固定します。続いてケースに標準搭載されているGPUホルダーの高さと位置を調整して、グラフィックスカードが自重でたわんだり傾いたりしないように支えます。
グラフィックスカードに合わせてGPUホルダーを調整したところ
あとは、グラフィックスカード用の補助電源ケーブルを接続すれば取り付けが完了です。
【STEP6】最終確認をしてサイドパネルを取り付ける
組み立てが完了したところ
ここまでくれば、もう完成も目の前。念のため、すべてのケーブルが正しく取り付けられているか、コネクタが緩んでいないかなどをチェックしておきます。
電源投入! ケース内がすっきりしているためライトアップも一際美しく見える
あとは最初に外しておいたパネルなどを取り付けて、電源を入れてきちんと動作するか確認。ファンが作動してエアフローが確保されているか、光るパーツはちゃんと発光しているかなども忘れずにチェックしておきましょう。
実際に作業して感じたのが、背面コネクタ設計に対応したマザーボードやPCケースの組み立てやすさ。一般的なマザーボードだと、奥まったところにあるコネクタにケーブルを接続する際、うっかり基板やパーツに触れてヒヤッとすることがありますが、本製品の場合はそうした心配をせずにサクサク作業を進められました。そして、何よりその外観の美しさ! ケース内部がスッキリとしていて余分なものがないため、ライトアップしたときの美しさは格別。組み立て終わったときの達成感や満足感もひとしおでした。
「PROJECT ZERO」シリーズ対応製品
●マザーボード
製品名 | フォームファクター | 対応CPU | 特徴 |
---|---|---|---|
PRO Z890-S WIFI PZ | ATX | Intel Core Ultra 200Sシリーズ | 高耐久・Wi-Fi搭載・拡張性◎ |
B760M PROJECT ZERO | microATX | Intel 第13/14世代 | コスパ重視・裏配線対応 |
B650M PROJECT ZERO | microATX | AMD Ryzen 7000, 8000, 9000シリーズ | AM5対応・裏配線対応 |
●ケース
製品名 | フォームファクター | 特徴 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
MPG VELOX 300R AIRFLOW PZ WHITE | ATX | 高エアフロー・ARGBファン搭載 | 冷却性能と見た目を重視したい人 |
MAG PANO 100R PZ / WHITE | ATX | ピラーレスデザイン・広い内部空間 | ガラス越しにパーツを魅せたい人 |
MAG PANO M100R PZ | microATX | ピラーレス・コンパクト | 小型でも魅せるPCを作りたい人 |
裏配線で機能性とデザイン性を両立した「PROJECT ZERO」シリーズ
裏配線で機能性と外観の美しさを両立したMSI「PROJECT ZERO」シリーズ
コネクタやI/O端子などをマザーボードの背面に配置する「背面コネクタ設計」を採用したMSI「PROJECT ZERO」シリーズ。裏配線でケース内をスッキリと美しく見せられるだけでなく、ケーブルの取り回しがラクで自作PCを組みやすいのも大きなメリットです。
コネクタが表側にある一般的なマザーボードに比べると対応製品はまだまだ限られていますが、ラインナップは拡充しており、それにともなって注目度も高まってきています。ガラスパネルや光るパーツで“魅せるPC”を実現したい人や、自作PCの配線に頭を悩ませている人にはぜひ注目してほしい製品です。
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