一般的なデスクトップPCやノートPCから、ゲーミング、クリエイターなど目的別に多彩なラインナップを揃える老舗BTO PCブランドの「FRONTIER」。最新パーツをいち早く取り入れながらも、価格、性能、信頼性とも満足感の高いPCを実現できるのはどうしてでしょう。

今回はその秘密を明らかにするため山口県にある「FRONTIER」の工場に直撃取材! そこには開発、製造、輸送など、全てにおいてユーザーが満足できるように徹底したこだわりがありました。これからPCの購入を考えている人も、古くからのPC好きも必見の内容です。

「FRONTIER」のPCってどこで製造されているの?

「FRONTIER」は2023年10月に30周年を迎えた老舗BTO PCブランドです。BTOとはBuild To Orderの略で、パーツ構成をカスタマイズしての注文が可能なこと。大容量のストレージがほしい、4K解像度でゲームプレイしたいので高性能なビデオカードを搭載したいといった、ユーザーの細かなニーズに応えられるのが大きな強みです。1993年に立ち上がった同ブランド。当時はBTO PCがそれほど知られていなかったので大きな注目を集めました。

その「FRONTIER」ブランドのPCは、白壁の町並みと金魚のちょうちんが有名な山口県の柳井市にある工場で、1999年から20年以上ここで製造が行われています。

  • 江戸時代の商家の面影をしのばせる“白壁の町並み”

  • 郷土民芸品の“金魚のちょうちん”が有名な山口県柳井市

  • 柳井駅から車で15分ほどのところにある「FRONTIER」の工場。この、のどかな場所でさまざまなPCが組み立てられています

「FRONTIER」のゲーミングPC、製造過程を大公開!

工場での組み立て工程は「注文書を受け取る」→「注文内容に合わせ、必要なパーツをピッキングする」→「マザーボードにCPUやメモリなどを取り付ける」→「BIOSをFRONTIERカスタマイズバージョンへアップデートする」→「各パーツをPCケースに組み込む」→「ケーブル配線を行う」→「動作検証」→「出荷」となります。基本的に配属されたスタッフは、同じ工程のみ担当するとのことで、各作業のスペシャリストが育つ環境が整っていました。

在庫はパーツの種類ごとに分けられており、ここから注文書に合わせて必要なものをピックアップ。

ピックアップされたパーツは、まずマザーボードのBIOSをFRONTIERカスタマイズバージョンにアップデートする作業が行われます。

CPUクーラーやメモリをマザーボードに取り付けます。

生産時にCPUへグリスを塗る際は、まずCPUソケットに独自に用意したという中央部部分がくり抜かれたシートを付けます。これはグリス過剰塗付による冷却性能低下対策だそうで、グリスを最適量で塗るようにするためです。ヘラを使って均等にグリスを伸ばしていました。これによってCPUとCPUクーラーの密着力が高まって、熱を伝える効率が高まります。

M.2 SSDは、BTOで2枚目を追加した場合でも、ヒートシンクも独自のサーマルパッドも併せて取付けられ冷却強化されていました。パーツの安定動作へのこだわりが見えます。

次にマザーボードや電源などをPCケースに組み込んでいきます。

丁寧にケーブル配線。最近は片面がガラスで中が見えるPCケースが多いため、裏面配線を活用してケーブルをなるべく見えないように処理していくそうです。

専用のツールを使用し、動作に問題がないかチェックを行います。全数動作の確認をするのに加えて、ここでもパーツの取り付けに問題がないのかチェックをしており、徹底したトラブル対策を行っているのが印象的でした。購入する側としてはとても安心できるポイントです。

テストをクリアしたPCは棚で梱包を待つことになります。どの棚にどの製品があるのか番号でしっかり管理されているそうです。梱包は必要な書類やケーブルなどをセットにして段ボールに収めていきます。

梱包箱には期間限定で30周年記念ロゴが! ゼロの中に描かれているのは公式キャラクターの加須田まいこ。

一部大型パーツは市内の別倉庫にも保管されているのだそうです。パレットにびっしりと積まれているのが分かります。

注文のあった製品は識別コードで管理されているそうで、ピックアップ時だけではなく、各工程で正しいパーツが組み込まれているのかチェックされており、トラブルを未然に防ぐように徹底されていました。

全体の工程を見ても非常に丁寧に組み立てられているのが分かりますね。

お客様に万全な状態で「FRONTIER」をお届けするためにかかせないこと

丁寧な作業を行う裏にはどんな想いがあるのでしょうか?「FRONTIER」が高品質かつ信頼性の高いPCの提供を実現している理由に迫ります。

まずは技術担当の山本恭兵さんに話を伺いました。

  • 技術担当の山本恭兵さん

――製品の検証をする上で重要視していることは何でしょうか。

山本さん: 当たり前のことですが、お客様の手に届いたとき普通に動くことが第一です。新しいPCパーツは次々に登場していますが、PCケースとの組み合わせで物理的に干渉しないか、OSやソフトウェアが問題なく動作するのか一通り確認しています。「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズといった新製品が発売されるときも、取引のあるメーカーさんからなるべく早くサンプルが手に入るようにして、すぐに検証できる体制を取っています。

また各パーツの品質については、社内でクリアすべき性能基準を設けています。安くてもしっかりと性能が出なければ意味がありません。電源ユニットの出力にしてもワンランク上の余裕があるものを搭載し、最大限の性能が出せる組み合わせに制限しています。そこは大きなこだわりですね。その基準を満たした上で、価格もなるべく抑えた、バランスの取れたものを選んでいます。

――「FRONTIER」のゲーミングPCはLEDにも凝っていますが、デザインや制御の方法に基準はあるのでしょうか。

山本さん: 発光色や発光パターンを一括で制御できることに気を付けています。現在はほとんどがマザーボードのユーティリティにて一括管理が可能で、一部PCケースのLEDボタンで制御する製品もあります。見た目に関しては個人差があるため、技術の中だけではなく、工場のみんなや他の部署にも試作機を見てもらって“こうしたほうがいい!”といった意見を聞きながら調整していますね。

――細かいところまでチェックできるようにしているのですね。そこまで厳密に作業を行うのは、どうしてなのでしょうか?

山本さん: 各パーツの性能をしっかり発揮でき、それを長期間安定して維持するためですね。部品の品質にこだわるのはもちろんですが、マザーボードの設定や冷却に関しても大なり小なりオリジナル要素を加えています。BTO PCなのでトレンドを取り入れてカスタマイズできる楽しさを持ちながら、長く安心して使える製品になるようこだわっています。

続いて、資材担当の小野維生さんにお話を伺いました。

  • 資材担当の小野維生さん

――まず、小野さんが担当している資材調達について教えてください。

小野さん: 技術検証でクリアしたパーツを仕入れるのが資材担当の仕事になります。メーカーさんに対して「FRONTIER」ブランド向けのカスタマイズをお願いするのも仕事の一つですね。仕入れ先は海外が6割、国内が4割です。仕入れる数が多いので、国内の代理店を通さず、海外メーカーと直接取引できているのがコストパフォーマンスのよいPC作りにつながっています。

また、決まったメーカーと継続して取引しているので信頼関係ができており、販売戦略と生産能力を見ながら、そのときベストの条件で調達を行える体制が整っているのも大きな強みですね。そこは長年BTO PCを手がけてきたからこそ、できることだと思っています。

――最新パーツをいち早く搭載している印象があります。

小野さん: 基本的にはCPUやビデオカードについては、発売前にサンプルを仕入れて検証し、発売解禁日にそれを搭載したBTO PCを発売することを目指して動いています。人気のパーツだと単体が売り切れてしまってもBTO PCなら搭載モデルが購入できるという状況になることがあり、それで購入する人もいます。これも「FRONTIER」ブランドの強みの一つですね。

――高品質かつ低価格を実現しているのに欠かせない、資材調達へこだわりを教えてください。

小野さん: 技術検証の済んだ信頼性の高いパーツをしっかりと確保することですね。メモリなど相性が出やすいパーツは、同じロットを大量に調達することでトラブルを減らすことができます。その一方で、納期に時間がかかってお客様を待たせることになってもいけません。安心安定のPCを素早く届けられる状態を常に作っておくのが資材担当の役割だと思っています。

次は、生産担当の木本昌宏さんに、配線のテクニックについて話を伺いました。輸送トラブルの可能性を少しでも減らすワザに注目です。

  • 生産担当の木本昌宏さん

――PCケース内のケーブル処理で気を付けている点はどこでしょうか。

木本さん: ゲーミングPCは、ユーザーからの要望もあってLED搭載のパーツ採用が多くなっています。そうなるとPCケース内にはLED用のケーブルが増えることになって配線処理の難易度は上がります。さらに左側面にはケース内部が見えるガラスパネル採用が増加しているので、右側面にある裏面配線を利用しながら、見えない位置にキレイに束ねるように作業しています。

――大型化するパーツをいかに安定して固定させるかも重要になっていると思います。何か対策はしているのでしょうか。

木本さん: 特にビデオカードは大きくなっていますが、独自に支えるためのステイを作って組み込んでいます。形や強度を何度も作り変えて、しっかり支えられるものを作りました。PCを製造するだけではなく発送もあるので、さまざまな方向に揺れることを考慮して設計しています。

――ビデオカードの補助電源ケーブルの処理にも意図があるのでしょうか。
※取材時のPCは上方向にケーブルを回していました

木本さん: 電源ケーブルのフックをひっかけるツメが下方向にあります。ケーブルを下方向に逃がしてしまうと、輸送時の振動でフックが緩んでケーブルが半挿しになる可能性がわずかに高くなります。

上方向にケーブルを回せば振動が起きてもフックが緩む力のかかり方はしません。PCを購入したお客さんが画面が映らなくて困ってはいけないというのがあって、トラブルの原因になりそうなことを可能な限り減らしています。

  • ステイを使うことでビデオカードはPCケースにしっかりと固定されています

  • ビデオカードの補助電源ケーブルのフックが緩まない向きまで意識して配線処理していたことに驚きました。この場合、上側にケーブルを回したほうが確かにフックは緩みにくい

――発送のことまで考えてケーブル処理等、しっかりとされているのですね。ここまでチェックするのはどうしてでしょうか?

木本さん: 初期不良を極力減らすためです。せっかく届いたPCが動かない、という事態はもっとも避けなければいけません。各工程で搭載されているパーツが間違っていないか、正しく取り付けられているか複数回チェックするようにしています。ケーブル配線にこだわるのも、工場の検査時には問題がなくても輸送時に接続がゆるむ可能性まで考えてのことです。PCは安い買い物ではありません。お客様の元に届いた時に、しっかりと動くことは大前提。初期不良をゼロにすべく、努力はこれからも行っていきます。

ここからは修理サポート担当の山本光介さんに話を伺っていきます。

  • 修理サポート担当の山本光介さん

――どのようなサポート体制となっているのでしょうか。

山本さん: 「FRONTIER」ブランドでは、販売した製品を過去5年間を目安に修理を提供しています。ただ、故障したパーツによっては、後継品で対応することもあります。このほか、パソコンの操作や設定、お客さんからの質問に対応するテクニカルコールセンター、製品の性能向上を図るアップグレードサービスや現地に訪問して修理を行うオンサイトなどがあります。

――安心感につながるサポートの強みがあれば教えていただけないでしょうか。

山本さん: サポートがすべて内製化していることです。外部に委託している場合に比べて、判断や確認がスピーディーに行えます。外部のサポートだと対応に柔軟性を持たせることができず、自分たちで判断できないことは確認に時間もかかってしまいます。レスポンスをよくできるのが大きな強みですね。

――修理対応で大切にしていることは何でしょうか。

山本さん: 現在のPC、特にゲーミングPCにはCPUやビデオカードとも動作クロックを高めるブースト機能が複雑化していることもあり、トラブルが起きた時、お客様と同じ状況を再現するのが難しく、原因を突き止めるのが困難になっています。ハードではなく、特定のゲームやドライバーだけで問題が起きることもあります。それだけに、これまでの経験則に加えて、お客様からなるべく具体的な話をお聞きして、ご協力いただきながら問題解決していくことに力を入れています。

オーダーメイドPCの最高峰であるべく、各工程のスタッフがよりよい製品を提供するために全力で向き合っていることがわかりました。お客様の手元に届いたときに、実際に操作しているときに、長年使ったときに……と常に「FRONTIER」のPCを使ってくれる人達のことを考えて、自らの手でプライドを持って作業しているインバースネットのスタッフ達。「FRONTIER」ブランドの“安心・安全”、“高品質”はここから繋がっているのですね。

「FRONTIER」のPCを製造する上でお客様に届けたい想い

最後にインバースネット株式会社の常務取締役 吉岡浩之さんに「FRONTIER」ブランドならではのこだわり、今後の展開など話を伺いました。

  • インバースネット株式会社の常務取締役 吉岡浩之さん

――「FRONTIER」ブランドではゲーミングやクリエイティブなど多彩なラインナップを揃えていますよね。

吉岡さん: 「FRONTIER」のブランドメッセージは“オーダーメイドPCの最高峰へ”です。これが根底にあり、お客様に手頃な価格で提供するのはもちろん、見た目、機能、品質、サービスをしっかりバランスよく確認しながら販売していきたいと思っています。ラインナップとしては、インテリアとしても置けるかっこいいものを増やしたいのはありますね。

――PC製造で大切にしていることは何でしょうか。

吉岡さん: 一番は品質です。しっかりとした部材を検証してクリアしたものを採用しています。初期不良をゼロにすることはできませんが、できる限りゼロのところまで下げる努力はし続けないとダメと思っています。

――ぴったり相談など購入前相談にも力を入れているそうですが……

吉岡さん: はい。「こういうことをやりたいんだけど」、「こういう用途にはどの製品を選べばいいんでしょうか」、「今人気の製品はどれですか?」とかも含めて購入前相談を受け付けています。大阪にある、コールセンターでも受け付けていますが、最近はWebサイト上のチャットやメールでの問い合わせが多いですね。

漠然と「何を購入すればいいですか?」から始まって、どういうことをやりますかとか、細かく何度もメールでやりとりして最終的には購入して「よかったです」という声が多いです。

――「FRONTIER」の今後の展開を教えてください。

吉岡さん: まだまだシェアが低いという認識なので、ラインナップもカスタマイズの選択肢もニーズをしっかり把握した上で増やしてきたいですね。PCの価格が上がる中でもっと多くの購入方法を選べることは重要だと思っています。引き続き購入しやすい最先端のパソコンを販売していきますので、皆様よろしくお願いいたします。

――ありがとうございました!

「FRONTIER」はこれからも“オーダーメイドPCの最高峰”を提供

工場取材で一番驚かされたのは徹底した品質管理です。BTO PCではコストパフォーマンスが注目されがちですが、技術部門がCPUやビデオカードなど各パーツでの最大限性能を発揮できる組み合わせをしっかりと検証。それを資材部門が価格を抑えて迅速に仕入れ、生産部門では初期不良や輸送時のトラブルを極力減らすためのさまざまな対策が行われていました。

このような作業を行われている工程を、目の当たりにして見えてきたのは、「FRONTIER」がお客様へ、安心・安全で、高品質な製品を提供するという、スタッフ達のアツい想いです。ここまでプライドを持って、厳密にチェックしているのは、常にお客様の手元に届いたときに、初期不良がなく、長く安心して使っていただける製品を作るためでした。まさに“オーダーメイドPCの最高峰”と言えるでしょう。

性能、安定性、サポートとも最高峰のPCが届けられる体制が整っており、初心者から上級者まで安心してオススメできるブランド、それがFRONTIERと言えます。

[PR]提供:インバースネット株式会社