新型コロナウイルスの感染拡大以降、人々の働く環境の多様化は急加速しており、それにともないセキュリティのあり方も根本からの見直しが迫られるようになってきた。とりわけ影響が大きいとされるのが、エンドポイントを取り巻く環境の変化だ。テレワークの普及により、インターネットへの直接接続、端末の持ち出しが増えたことはもちろん、クラウドアプリケーションやオンラインコラボレーショツールの利用も増えているなど、環境の変化がもたらすエンドポイントへのリスクの増大に対し、企業には包括的な対策が求められているのである。

こうした新しいセキュリティニーズの高まりを受け、いち早くソリューションを提示したのが、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)である。同社は2021年7月1日、法人向けエンドポイントセキュリティのラインアップを刷新し、包括的な対策を実現する「ESET PROTECTソリューション(以下、EPソリューション)」の提供を開始した。EPソリューションは、どのような考え方を以って、どのような対策を実現するのか、キヤノンMJで同製品のプロダクトマーケティングを担当する植松 智和 氏に解説いただいた。

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    キヤノンマーケティングジャパン株式会社
    セキュリティソリューション商品企画部 課長代理
    植松 智和 氏

働く環境の変化が、従来型のセキュリティ対策を無効化しつつある

──新たに販売を開始したEPソリューションとは、どのようなニーズや課題を受け、リリースされた製品なのでしょうか?

植松氏:まず、カテゴリーとしてはエンドポイントセキュリティに属する製品となります。ここは、ESETが最も得意とする領域であり、30年以上にわたり蓄積した知見やノウハウがEPソリューションにも活かされています。

EPソリューションが生まれた背景としてはやはり、コロナ禍を受けての環境の変化──とりわけ働く環境の変化です。エンドポイントの社外利用(在宅、サテライトオフィスなどでの勤務)が進むことで、エンドポイントを取り巻くリスクは増大・深刻化しています。これは主要となるセキュリティの対象が、境界からエンドポイントへと移り変わっているとも言えます。

──「境界からエンドポイントへ」というのは、どういった意味になるのでしょうか?

植松氏:まず着目したいのは管理のあり方の課題です。これまでは、同じオフィスで隣り合わせに座り、上司も従業員を見渡せる環境であったため、ある意味ガバナンスが効いていましたが、テレワークではそうしたガバナンスが失われ管理が行き届かなくなります。こうしたセキュリティ上のガバナンスの低下というのは、働く人々の意識の変化とも大きく関係してきます。

たとえば、オフィスであれば周囲に同僚がいて、ある種の緊張感をもって仕事をしていたのが、家では緩んでしまう傾向にあるといったことがあげられます。そのため、迷惑メールやフィッシングメール、さらには標的型攻撃のメールなども、周囲に同僚がいれば「怪しいメール来てない?」などとコミュニケーションすることで防ぐことができたのが、家の中ではつい……、なんて事態も生じてしまうわけです。

また、エンドポイントセキュリティのベースとなるのが定義ファイルですが、オフィス内であれば常に最新の状態に保てるので、新たな攻撃も防ぐことができます。しかし、テレワークになると、最新の定義ファイルに更新しないまま仕事を続けてしまうケースも増えてきます。そうすると、何らかのファイルを開いてマルウェアに感染してしまうリスクも高まることになります。

このように、働く環境の多様化によって管理が行き届かなくなるといった課題に加えて、同じく働く環境の変化がもたらすネットワークの接続形態の変化もまた、セキュリティ上の大きな課題となってきています。

従来のオフィス中心の働き方であれば、複数の防御方法による境界型防御がメインとなり、最後の砦がエンドポイントという位置づけでした。それが、在宅ワークをはじめとするテレワークになると、境界での多層防御では守りきれなくなってしまうのです。場合によっては、管理者が不透明なカフェのネットワークやFree Wi-Fiなどから会社のシステムへとアクセスするようなケースも生じてきますので、そこがサイバー攻撃の温床になっていたりもします。つまり、境界での多層防御の有効性が一気に失われてしまったため、エンドポイントの端末だけで守らないといけないようになってきているのです。

そしてもうひとつ、テレワークにともない、オフィスと自宅、さらにはカフェなど、端末の持ち出しが増えることで、紛失や盗難などによる物理的な情報漏えいが生じるリスクも急激に高まっています。

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つまり、管理が行き届かなくなるとともに、境界での多層防御が難しくなり、また紛失盗難のリスクも増大しているというのが、現在のエンドポイントを取り巻く現実的な課題であると言えるでしょう。そしてこれらの課題を解決するためには、エンドポイントを多重で防御し、統合管理するとともにクラウド利用へのニーズにも対応することが肝要となってきます。このような多様な対策を包括的に提供することができるのが、EPソリューションなのです。

いまエンドポイントに求められる最新の対策をオールインワンで提供

──では、EPソリューションが提供する具体的な機能を教えてくだい。また、既存のESET製品において、どのようにラインアップされているのかも教えてください。

植松氏:一言で言えば、現在のセキュリティ課題を受けて求められる各種対策をパッケージ化した、包括的なエンドポイントセキュリティソリューションがEPソリューションです。

これは、2021年2月にラインアップされたセキュリティ管理ツール「ESET PROTECT」を中核に据えた新たなソリューション群となっており、現在の働き方、個々の端末が置かれる環境に合わせ、より管理に重きを置いたソリューションであるという意味を込め、「ESET PROTECT」という名称を用いています。どのような働き方であっても、ガバナンスを効かせながら最新の防御ができる状況にすること。それこそがEPソリューションのメインコンセプトになっています。

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具体的には、従来からのエンドポイント保護に加えて、クラウドサンドボックスやフルディスク暗号化、そしてクラウドアプリケーションセキュリティといった各種対策をワンパッケージにして提供します。新たに開発したクラウドアプリケーションセキュリティ以外は、従来からあるESET製品を組み合わせたものとなりますが、これがキヤノンMJとして、エンドポイントを取り巻くさまざまな脅威に対処するうえでのベストプラクティスであり、それを改めてパッケージングして提供することにしました。つまり、多方面の脅威に対して包括的に対応できるというのが、EPソリューションの大きな強みとなっています。

EPソリューションが提供する各種機能


  • ・セキュリティ管理ツール
  • ・エンドポイント保護
  • ・クラウドサンドボックス
  • ・フルディスク暗号化
  • ・クラウドアプリケーションセキュリティ
  • ──包括的なソリューション提供によるメリットは?

    植松氏:これまでのセキュリティ対策というのは、ともすればマルチベンダーであることを良しとする傾向も見られました。“エンドポイントならばここの製品”、“ゲートウェイはここの製品”といった感じですね。しかし、そうした時代はもう終わりを迎えつつあるのではないでしょうか。EPソリューションでは、先述したような複数の対策をひとつのソリューションとしてオールインワンで包括してパッケージングすることで、統合管理を実現していますので、より管理を充実させ、管理に掛かる負荷を軽減することにも貢献します。

    ──コスト面に関してはいかがでしょうか?

    植松氏:もともとESET製品は、コストパフォーマンスにおいても高い評価を得ています。実際、顧客満足度調査*などでも、その高い検出力やサポート力とともに、コストパフォーマンスへの評価も非常に高くなっているのです。

    そして今回リリースしたEPソリューションにおいても、これまでお話したようにさまざまな機能を包括してパッケージングすることによって、単体の製品を組み合わせるよりも割安に提供することができています。

    たとえば、「ESET PROTECT Advanced クラウド」の機能を単体製品の組み合わせで補おうとした場合、100ライセンスの契約でエンドポイント1台当たりの年額費用6,940円に加え、セキュリティ管理ツール用のサーバー費用も加味しなければなりません。対して、「ESET PROTECT Advanced クラウド」では、この管理ツールのクラウド提供も含め、1台あたりの年額費用を4,200円にまで抑制することができます。

    充実したラインアップ!企業規模ごとに最適化されたベストプラクティスを実現

    ──EPソリューションのラインアップについて紹介していただけますか。

    植松氏:標的型攻撃や情報漏えいなどへの包括的な対策、テレワークを含む社内外の端末管理など、ニーズに合わせて8種のソリューションをラインアップしています。大きなカテゴリーとしては、クラウドでのセキュリティ管理なのか、もしくはオンプレミスでのセキュリティ管理であるかのいずれかに、中堅・大企業向け(100名以上)か中小企業向け(99名以下)かという要素をかけ合わせた分類となります。こうした豊富なラインアップにより、お客さまに最も適したベストプラクティスな導入を可能としているのです。

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    このうち中堅・大企業向けのラインアップでは、エンドポイント保護とクラウドサンドボックスを中核とする4つのソリューションを用意しています。いまやクラウドサンドボックスは中堅・大企業においては必須の機能だと言えるでしょう。そしてEPソリューションのクラウドサンドボックスは、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対し、クラウドテクノロジーにより自動解析・自動防御を実現しています。 そしてもうひとつ、クラウド版のEPソリューションにあるセキュリティ管理ツール「ESET PROTECT Cloud」では、ESET社がSaaSとして管理コンソールを提供します。これにより、どこからでも、どこにいても、エンドポイントを一元管理することが可能となるのです。加えてESET社で常に最新の環境を保ち続けてくれることはもちろん、そもそもこの管理コンソール自体も機能追加やUI改善も含めて常に新しく進化し続けます。

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    バージョンアップは、およそ9週間ごとに新しい機能が追加されています。たとえば、EPソリューションを発表した一週間後にはiOSも管理対象となるバージョンアップが行われています。また間もなく、最新バージョンのエンドポイント保護機能のリリースも計画しており、エンドポイント保護機能にも自動バージョンアップの機能が加わる予定となっています。これにより、管理機能も保護機能も常に最新の状態に保てるようになります。

    Withコロナ時代のセキュリティのあり方を提案し続ける

    ──最後に、Withコロナ時代のセキュリティ対策のあり方について、悩みを抱える企業の担当者に向けたメッセージをお願いします。

    植松氏:EPソリューションの基本コンセプトのひとつでもある「ベストプラクティス」というのが、これからのセキュリティ対策の根本的な考え方となるのではないでしょうか。もちろん、これまでのセキュリティ対策のあり方もそうだったわけですが、そこにテレワークの普及などがより拍車をかけたわけです。より多くの脅威に対して、セキュリティベンダー側もいろいろな製品を提供してきたわけですが、結果として何をどう使えばいいのかわからないといったユーザー企業側の悩みも増やしてしまうことにもなりました。

    今回のEPソリューションでは、ベストプラクティスとしてひとつのパッケージでソリューションを提供することで、そうした悩みも解消しているのです。

    多くの企業では、テレワークでの仕事をスムーズに行える環境をようやく整え終わり「では、次にやるべきことは?」ということで、セキュリティ対策の見直しに取り組もうとしているのではないでしょうか。とくにWithコロナ時代とも言われる現代において、従来のセキュリティ対策の延長線上ではダメだという事実をみなさん理解するようになっています。当社としてもEPソリューションをはじめ、各種ソリューションを提案し続けることで、より最適な“解”を導いていきたいと考えています。

    *キヤノンマーケティングジャパンが「日経コンピュータ 2021年9月2日号 顧客満足度調査 2021-2022 セキュリティー対策製品部門1位」を獲得。

    記事内で紹介したESET PROTECT Advanced クラウドの詳細。また、バージョンアップの詳細など、ESET PROTECTソリューションの最新情報は、キヤノンマーケティングジャパンのHPにてご覧いただけます。

    ESET PROTECT Advanced クラウド

    ESET「法人向けソリューションラインアップ」

    セキュリティ最前線


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