社会全体でデジタル化が加速するなか、企業はデータを活用したビジネスの変革がもはや不可欠であるといえる。一方で、データ活用に関して課題を抱えている企業は多い。

7月14日-16日にオンライン開催された「TECH+ EXPO 2021 Summer for データ活用」で、NECソリューションイノベータ ストレージソリューションセンター シニアプロフェッショナル ビジネスコーディネータ 小早川誠氏は、ビジネス戦略を加速させる“次の一手”となる企業のデータ活用に向けたITソリューションについて、具体的な事例をもとに紹介した。

  • NECソリューションイノベータ ストレージソリューションセンター シニアプロフェッショナル ビジネスコーディネータ 小早川誠氏

“野良ファイルサーバ”の対応から経営面の課題解決まで

小早川氏の肩書である「ビジネスコーディネータ」は、顧客とともに経営のあり方を考え、課題解決のためのシナリオを創出する役割を担う。同職種の取り組みについて小早川氏は「経営への戦略的データ活用、お客様のその先のお客様の目線から見たデータ活用の具体化、特定ベンダーのIT製品に縛られないあるべきシステム構想、複数の製品を単に組み合せるだけに留まらない実効性を考えたソリューション考察」とその具体例を説明する。“野良ファイルサーバ”の探索・解消から経営面における課題解決まで、ストレージ、サーバ、ネットワークなどインフラの観点を中心にサポートしているという。

ビジネスコーディネーターは、東京、北海道、宮城、石川、愛知、大阪、福岡の各ストレージ・ソリューションセンターに配置されており、それぞれの強みを活かしつつ最適なシステムを提供できるような体制が整えられている。

「NECのストレージが中心だと思われがちだが、NetAppなど各社製のストレージサービスやハイブリッドクラウドソリューションなど、クラウド、データ基盤、マネージドサービス等の観点から、システム企画〜運用サポートの全フェーズをサポートしている」(小早川氏)

「データ価値共創プラットフォーム」とは

NECソリューションイノベータでは、こうした取り組みを支える基盤として「データ価値共創プラットフォーム」を提供している。企業・団体や個人がデータ活用を通じて社会課題を解決することがその目的であり、同プラットフォームについて小早川氏は、「データの分類・整理、ストレージ保管からスタートしたが、現在ではカタログ化、データ活用、データ流通、社会的活用までを一元的にサポートすることが可能なもの」と説明する。

そのうえで、廃棄ロスや食料自給率、農業の健全化など、食料をテーマにした社会課題に対してインフラの観点からサポートした事例として、農業経営体/メーカー/ベンダー/流通・小売業者/消費者/行政等の密な連携により、データ提供者からのデータを同プラットフォーム上で加工し利用者が活用することで、日本農業の健全化および食の安全性、安定的供給につなげた取り組みを紹介した。

データ活用に成功した5つの事例

「DXやAI活用と言われても、具体的にどうすればよいかわからない」「データのマネジメントが大変」「データ駆動と今までの分析とは何が違うのか」「データのガバナンス、セキュリティも担保したい」「働き方改革、テレワークをどう実現するか」など、データ活用と一口にいっても、企業は各社それぞれの悩みを抱えている。そこで小早川氏は、データ活用に成功した5つの事例を紹介した。

事例1: 大容量データを社外/社内でスピーディーに共有

1つめは、国内/海外共通のデータ基盤を整備した事例。新しい働き方に順応したいというニーズをもとに、国内の各事業所や海外のデザイン会社、サプライヤ、製造メーカーなどとのメール添付でのデータのやり取りを基盤上に集約。資料の受領確認機能の実装、データ転送時のトラブル防止・データ分割技術を提供することで、安心・確実・高速な情報共有の仕組みを実現した。

「コミュニケーションロスを削減し、円滑にすることが可能。この仕組みは海外拠点のない会社でも応用できる」(小早川氏)

事例2: AIをフル活用し重要データをクラウド上で保護

2つめは、重要データをクラウド上で保管・保護する基盤を構築した事例。AIモデルにより未知のウイルスに対抗できる強力なエンジンをクラウド上に搭載。99%以上のウイルスを検知できるほか、AIモデルは各ユーザーのクライアントに定期配信されるため、運用負荷を大幅に軽減することが可能。さらにPC1台から導入できるため、業務処理への影響を最小限に、スモールスタートや段階的導入を実現できるという。

事例3:現場の今をリアルに把握するデータ管理基盤

3つめは、建設現場でのデータ管理基盤を構築した事例。本社で各現場ごとのリアルタイムの工事状況を把握し、リソース・資材の最適配分を実現した。「余っている資材の把握や要員調整を本社で一元管理することで現場管理が効率化。原価管理を抑えるという課題も解決でき、次の一手を打つためのスピードアップを実現」と小早川氏。現場横断のマネジメントが可能なだけでなく、従業員のエンゲージメント向上にもつながったとする。建設現場だけでなく、営業所などでも同様の事例があるという。

事例4:重要情報を管理する機密システム基盤

4つめは、全国各地に事業所を有する行政機関のデータ一元管理環境を構築した事例。従来はメール上で報告書や設計データなどをやり取りしていたが、膨大なデータから必要なものだけを検索することが困難だったという。そこで、機密データの一元管理を実現することで、資料の全文検索が可能となり、業務が効率化。意思決定のスピードアップに結びついただけでなく、厳格なアクセス制御を採用することにより、セキュリティレベルも向上した。

事例5:店舗データのスマート化による基幹業務の加速

5つめは、メガネ販売店の事例。現場の接客情報と売上実績データを密に連携させることで、レポートの自動作成機能による社内報告業務の削減およびペーパーレス化を実現。メイン業務への対応時間を確保できるようになり、顧客対応力の増強、顧客満足度の向上につなげた。小早川氏によると、営業現場での事例もあるという。

これら5つの事例はNECとNetAppとの連携ソリューションとなる。小早川氏は「ネットアップとは従前から連携しており、オンプレミスから複数のクラウド環境まで幅広いエンドポイントにわたって一貫した機能を提供する『データファブリック』が注目ポイント」と話す。

データ活用、次の一手を!

データ活用、データドリブン、データガバナンスといったフレーズが取り上げられる機会が増えている昨今、小早川氏のもとには「違いがいまいちよくわからない」「具体的にどうしたら良いのか」という相談が増えているという。

こうした状況を踏まえて小早川氏は「『ストレージソリューションセンター』という名称ではあるが、データファブリックやデータガバナンス、データ駆動、データマネジメントなどに対しては力になれると考えている。実効性のある次の一手を提供したい」と呼びかけた。

ストレージソリューションセンターでは、業種・業界問わず多様な事例を用意しているという。データに関する課題を抱えている企業は気軽に資料請求や問い合わせをしてみてほしい。

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