少子高齢化による労働人口の減少をはじめとした社会の変化にともない、多くの企業が取り組みを進めてきた「働き方改革」。また、新型コロナウイルス感染症の流行により、急遽取り組みを開始した企業や、従来の取り組みを加速させた企業も多いはずだ。6月10日に開催されたWebセミナー「マイナビニュース フォーラム 働き方改革 Day 2020 Jun.」では、昨今の社会情勢に合わせた働き方改革の現状と課題、その解決方法について数々のセッションで解説。

本稿では、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ デジタルビジネスソリューション事業部 部長 遠藤 由則氏によるセッション「DX時代の働き方『デジタルワークスペース』」の内容をレポートする。

テレワーク環境の課題を解決するためのカギは「デジタルワークスペース」の構築にあり

「日本の労働者はいま、働き方におけるさまざまな課題に直面しています」 こう語り始めた遠藤氏は、労働人口の減少による人材不足などが長時間労働を招き、労働生産性の低下を引き起こしていると警鐘を鳴らす。労働者(従業員)のモチベーションを高めて生産性を上げるにはワークライフバランスの実現が必要となるが、効果的な対応ができている企業はほとんどないのが現状と語る。さらにこうした取り組みにゴールはなく、常に継続していくことが必要と話す。

  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
    デジタルビジネスソリューション事業部
    部長 遠藤 由則氏

こうした働き方の課題を解決するため、2019年4月から「働き方改革関連法」が施行。2020年4月からは中小企業への適用が開始され、本格的な対応が求められるようになったが、提示された8つのテーマすべてに対応している企業はまだ少ない。「働き方改革関連法」の施行より前から働き方改革に取り組んでいる企業は多いが、導入してから効果が出るまでに時間がかかることもあり、期待した成果が得られていないケースも多いという。遠藤氏は、働き方改革を進めるうえで重要なポイントをこう語る。

「重要なのは取り組みを続けること。さらに、企業と従業員の両方がメリットを得られることを前提に進めていくことも重要です」

こうした取り組みに大きな影響を与えたのが、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言だ。遠藤氏が提示した「東京都テレワーク導入率緊急調査結果」によると、緊急事態宣言を受け、各業種においてテレワークの導入は1カ月で2倍以上増加。2020年3月・4月の1カ月間で、事務・営業中心の業種で42%から76%に、現場作業・対人サービス業務が中心の業種においても15%から55%と急増し、現在ではテレワーク導入済みの企業が多数派となっている。短い準備期間でテレワークを緊急導入したことで多くの課題が顕在化したと遠藤氏は語る。

「テレワークの緊急導入によって、さまざまな課題が見えてきました。自宅で仕事ができる場所がなかったり、ネットワーク環境が整備されていなかったりといった『環境整備不足』や、会話不足による精神的ストレスや、在宅時間が長いことで生じる家族間の問題など『コミュニケーション』による課題。さらに、暫定的に提供したIT環境に潜む『セキュリティリスク』も顕在化してきました」

特にセキュリティリスクを放置すると、企業の存続にかかわる甚大な損害を引き起こす可能性が高く、迅速かつ適切な対応が不可欠だ。もちろん環境改善やコミュニケーションの活性化も疎かにはできない。「顕在化したテレワークに関する課題への対処は『Withコロナ』の現在だけでなく、『Afterコロナ』の時代も継続していく必要があります」と遠藤氏は言う。こうした課題解決を実現するためのキーワードとして「デジタルワークスペース」を挙げた。

「ゼロトラスト」の概念が、働き方改革のセキュリティリスクを軽減

テクノロジーの有効活用がビジネスの展開に不可欠となった現在、あらゆる業種・規模の企業にデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せている。オンプレミスのシステムはマルチクラウドへと移行し、クライアントサーバーアプリやパッケージアプリはSaaSアプリ・モバイルアプリに、会社支給のPCは、BYODの端末やスマホ・タブレットへと切り替わってきていると遠藤氏は語り、デジタルワークスペースを「ワークスペースにおけるDX」と解説する。

「近年では、多くの企業でDXへの取り組みが行われています。プライベートにおいてもユーザーが利用するデバイスは増加し、人とマシンのインタフェースが多様化しているのです。利便性の高いSaaSアプリが使われるようになり、5Gなど通信の高度化も進んでおり、DXが実現してきています。企業のDXでは、こうした先進技術をビジネスに活用できているかがカギとなります。デジタルワークスペースとは、利用するデバイスや働く場所を問わないフレキシブルなワークスペースをデジタル技術によって実現する、まさにワークスペースにおけるDXといえるプラットフォームです」

デジタルワークスペースは「柔軟な働き方」を実現し、従業員の働きやすさや満足度を向上させ「利便性の高いサービス」を利用できることで、テレワークの課題でもあるコミュニケーションの活性化を実現。さらに最新のセキュリティ機能を備えており、テレワークにおける情報漏えいリスクを回避できる。セキュリティを担保しながら従業員の満足度・生産性を高め、新しい価値を生み出す、テレワークに不可欠なプラットフォームといえる。

「企業のDXが進むと、社内システムだけでなくSaaSなどのクラウドサービスを利用することが当たり前となり、あらゆる場所、デバイスを選択することが可能になります。企業にとってのセキュリティを第一に考えながら、従業員のエンゲージメントを高めて生産性向上を実現するには、社内外両方の環境に対応するデジタルワークスペースの整備が不可欠です」(遠藤 氏)

デジタルワークスペースの整備において「セキュリティリスクの低減」がもっとも重要になると遠藤氏は続ける。社内ネットワークを保護するために構築された従来のセキュリティ対策では、モバイルやクラウド、インターネットに社外からアクセスするテレワーク環境のセキュリティを担保することは困難。そこで、近年注目を集めているのが「ゼロトラストネットワーク」という次世代の概念だという。

「ネットワーク、デバイス、ロケーションなどを一切信頼せず常に検証するという『ゼロトラスト』のセキュリティは、テレワーク環境に適合する概念です。これからは、社内ネットワーク内が安全という従来の考え方変え『信頼しないこと』を前提とし、社内外問わず、すべてのアクセス、デバイス、ユーザーを監視・制御する考え方へとシフトしていく必要があります。エヌ・ティ・ティ・データが考える理想のデジタルワークスペースは、こうしたゼロトラストのアーキテクチャを導入し、セキュリティを担保しながらユーザーの生産性・満足度を高めるものとなります」(遠藤 氏)

ゼロトラストのアーキテクチャを実装した「BizXaaS Office」が目指す先とは

同社では、デジタルワークスペースを実現するためのソリューション「BizXaaS Office(BXO)」を提供している。仮想デスクトップを中心とした「BVDI(BXO Virtual Desktop Infrastructure)」と、ゼロトラストを実現するためのクラウドサービス群となる「BMWS(BXO Managed Workspace Security)」で構成され、「Any WHERE」「Any APPS」「Any DEVICE」をテーマに、そのときに必要なアプリケーションをセキュアに利用できるデジタルワークスペースを実現する。

「BMWSには、クラウドサービス利用を監視しシャドーITを排除できる『CASB』と、シングルサインオンや多要素認証に対応する『IDaaS』、BYODも含めエンドポイント(デバイス)を一括管理する『UEM』、未知の脅威に対応するエンドポイントセキュリティ『EDR』、あらゆるデータをバックアップ・管理する『DMaaS』、外部からの社内アクセスを安全に行う『SDP』の6つのファンクションが用意されています。これらを活用することでゼロトラストネットワークを実現し、クラウド利用に関する利用者や情報システム部門双方の課題を解決します」(遠藤 氏)

  • BizXaas Officeのラインナップ

2008年から働き方改革に取り組んできた同社では、実際にBXOを活用してデジタルワークスペースを構築しているという。現在は日本国内約6万人の従業員にシンクライアント端末の整備を完了し、どこからでもアクセスできる環境を構築。さらにスマートフォンで行える業務を増やし、先進的なSaaSアプリでコミュニケーション基盤も活用していると遠藤氏。「セキュリティとコンプライアンスを守りながら、最新テクノロジーを安全に活用し、従業員の生産性とエンゲージメントを向上させることに成功。現在も継続して、企業と従業員が一丸となって働き方の課題解決に取り組んでいます」と、BXOを活用した働き方改革の成果を語る。

同社では、こうした自社におけるノウハウや、多数の顧客のデジタルワークスペース構築を支援してきた実績を活かした「BPCS(BXO Professional Consulting & Support)」も提供しており、コンサルティングから導入後のサポートまでに対応している。「BXOは現在もデジタルワークスペースに資するソリューションを追加するなど、改善を続けています」と遠藤氏。「従業員目線」と「企業目線」を取り入れ、万全のクラウド/エンドポイントセキュリティを実現したデジタルワークスペースを提供したいとBXOの目指す先を語り、DX時代の働き方改革の在り方を確認した本セッションを締め括った。エヌ・ティ・ティ・データが提供する、デジタルワークスペースの進化には、今後も注視していく必要があるだろう。

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