データセンターに入居して始まる、企業とデータセンターのお付き合い。 第2回目は、普段あまり表に出ない「データセンターのバックステージ」について、アット東京を例にとり「ファシリティをささえる人たち」を紹介する。
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ずらりと並ぶUPS(無停電装置)。データセンターで最も重要な設備のひとつである。
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変圧器、いわゆるトランスも巨大。
1.まずはそこから始まる・設備をつくる
――どのような業務を担当していますか?
池水:主にお客さま案件の初期構築や、設備増強の増改築などを担当しています。みているのは、主に電気設備ですね。
――電気設備の仕事は長いのですか?

アット東京 技術・サービス本部 設備構築部 課長 池水 清久氏
池水:前職では電気設備が専門でした。アット東京に入社し、現在の部門では、電気だけではなく建築設備から空調設備、通信などを担当しており、目標も「ひととおりわかるデータセンター屋になる」に変わりました。
――何か苦労はありますか?
池水:あまりないですが、あえて言うなら、自分をバージョンアップしていかないといけないというか、日々進化していかないといけないことに大変さを感じている、ということでしょうか。
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「マルチなデータセンター屋」を目指している、という池水氏
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日々自分自身をバージョンアップすることを心がけているという
――アット東京で仕事をしていて、嬉しかったり、やりがいを感じるのはどのようなときですか?

表立って名前が出ない黒子。でも社会的影響大な案件の一端をささえている自負がある
池水:自分としては当たり前のことをやって、お客さまからは「よくこの期間でやってくれたね」と言われるときですね。自分のためだけに仕事をするのではなく、人のために仕事をして「自分のやったことが役に立った」と思える。それだけで、とても嬉しいです。 幸いなことに、関わらせていただいているお客さまは一歩先を行く世界の先端の企業や、日本を代表する企業が多く、その皆さまが納得するものを提供できているなんて、なんだかいいじゃないか! と思います。そもそも私たちは黒子ですから、表立って名前が出ないんです。でも実は世間一般のニュースになるようなことの一端を担当していた、そんなところにやりがいを感じます。
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何もないサーバールームをお客さま用に仕立てていく
――現場は楽しいですか?
池水:今の仕事はお客さまの思想といったところまで考える設計要素があり、非常に面白いです。オフィスワークだけでもなく、現場だけでもなく、その両方ですし、お客さまとも距離が近い仕事なので、お客さまの希望や考えも直接聞くことができ、お互い納得したものができる。そのあたりもやりがいがあります。
――営業や運用の皆さんとも密に連携していますか?
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お客さまと話し合いながら、お互い納得したものをつくることはやりがいがある
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何があってもマルチにすぐ反応するのが自社の良いところ、と思っている
池水:手前味噌になりますが、当社の営業はとても素晴らしいです。「こんな感じ」というだけでくみ取ってくれて、お客さまに伝えてくれます。もちろん英語対応も。運用チームもまた素晴らしくて24時間365日スタンバイしすぐに動けるし、ここもバイリンガル対応が出来て何人も外国人がいます。どんなことがあっても、マルチにすぐ反応するのが当社の良いところだと思います。
――アット東京の押し、アピールポイントとは?

アット東京は「人」が強み、いろいろな人がいて偏りがなく楽しい会社、と笑顔を見せる
池水:やはり「人」ですかね。中途採用も多く、それぞれの社員がさまざまな色を持っていて、いろいろな知恵が出てきます。
皆それぞれ違う畑からきているがゆえに、同じところにいたら手に入らない情報が入ってきますね。アット東京はいろいろな人がいる。偏りがない、とても楽しい会社です。
2.構築した設備を運用、そして省エネを実現
――担当業務をお教えください。
長野:電気設備や空調熱源設備の維持・管理です。
三井:それから、エネルギーを今どれくらい使っているのかを管理する業務を担当しています。
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アット東京 設備運用部 設備運用グループ 主任 長野(ちょうの) 真樹 氏
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アット東京 設備運用部 統合監視グループ グループマネージャー 三井 紀生 氏
――普段の仕事で、部門のミッションとして一番大切なことは何ですか?
長野:安定した電気や空調を提供して、サーバーの安定稼働につとめることですね。
――そのために気をつけていることは?

日々の安定稼働のために設備を運用する仕事をしているという長野氏。
長野:日々の点検で「何か違う」ということをいち早く検知して、それが事故につながる前に手を打つことを大切にしています。 普段の点検では外観を見て古くなっているものがないか、変な音がしていないかを確認します。定期的に行う精密点検ではメーカーさんにも来ていただき、機器を止めて内部を見たりします。
――外観の点検で「何かおかしい」と感じたことはありますか?そんなときは何をしますか?

日々の点検で設備をまわっていると「何かある」と感じることがあり、それで未然にトラブルを防いだこともある長野氏はいう。
長野:妙だなと感じたら、まずデータを調べます。この値は異常ではないかと思ったら、まずは現地で設備が実際に大丈夫かどうかを確認し、やはりおかしければ上長に報告します。

「何かを察知したときはまず情報を共有し、担当営業と連携する」と語る三井氏。
三井:お客さまに関係するのであれば営業に連絡して、今後の対応を決めます。これ以上運転をしても大丈夫か、これ以上継続させられないと判断したのなら、別の手段でどうやって空調や電気を供給するかを皆で考えます。
――ところで、エネルギーの節約が必須である昨今ですが、最初アット東京のエネルギー消費量をご覧になったときはどうでしたか?

何かあった時はとにかく報告、共有。技術方と営業のチームワークも大切、と語る2人。
長野:桁が全然違って驚きました。まあ、これだけの設備ですからね……。館内照明のLED化をすすめたり、空調機にインバーターをつけて絞れるところは極力絞るなどしています。
三井:お客さまが使われる電気以外のところが省エネルギーの対象ですから、やはり工夫のするところは、私たちの事務所や共有部分がメインです。とはいえ、もちろん各サーバールームも工夫して、空調部分を過剰に冷やさないようにします。当然、温度が上がりすぎると意味がないので、そこの見極めが難しい。あとはどうしたら空調のための冷凍機を一番効率よく運転できるかを考えて、それに合わせた運転方法を調整したりします。
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冷凍機。アット東京には空調に使う水を冷やす冷凍機と呼ばれる設備が多数あり、省エネを考えながら運用している。
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屋上にあるクーリングタワー。ここでは、蒸発を利用して水を冷やす。
――一番の削り代はどのようなところですか?
三井:コンピューター室の電気以外だと、冷凍機や空調が一番大きい部分を占めています。そこを削ると一気に省エネにつながります。
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アット東京の第3センター。緑化にもつとめている。
――お二人が思う、アット東京の魅力はどのようなところですか?
長野:お客さまの要望を聞いた設備作りをしているところだと思います。設備作りも運用も個別対応は大変ですが、やりがいもあります。
三井:作るのも運用するも面倒をみるのも社員でやっているところです。何かあっても社内でとことん調べてフォローする。それは、自分たちで構築や運用をしているからで、そこがこの会社のいいところだと思います。
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データセンターの運用は24時間365日、休むことがない。
――この仕事をやっていてよかったなと思うのはどのようなところですか?

三井氏は「作るのも運用するも面倒見るのも社員でやっている」とアット東京のサービスに太鼓判をおす。
長野:いろいろなデータを見て総合判断するなど、根拠を持ったうえで環境を整えサービスを提供していることが実感できるところです。
三井:やはり、お客さまからの「ありがとう」の一言が本当に嬉しいですね。苦労はすべて忘れられます。それから、日々の地道な省エネルギーの結果が「トップレベル事業所」の認定につながったというのもあります。
――読者の方にメッセージを。

「IT、ネットワーク、そしてすべてのサービスを支える設備を運用するのは責任重大だがやりがいがある」という長野氏・三井氏。
長野:こういう記事を通して「データセンターというものがある」ことを知っていただいて、興味を持ってくださると嬉しいです。
三井:データセンターというとITやネットワーク系のもの、と思っている方が多いかもしれませんが、「ファシリティ」という、熱源や空調設備や電源も「ミッションクリティカル」のためには大切、ということを知っていただければと思います。
3.お客さまの効率的なIT運用をささえる
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サーバーラック運用の効率化はどの企業にとっても課題である
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サーバーの運用は24時間365日、休むことなく続く
――担当業務をお教えください。

アット東京 ソリューション本部 システムサービス部 渡邉 宗成氏
渡邉:アット東京のソリューション本部 システムサービス部で、お客さまに@EYE (アットアイ)というWEBサービスを提供しています。
――@EYEとはどんなサービスですか?
渡邉:お客さまに設備の稼働情報を提供するWEBサービスです。たとえば、温度や電流、電圧などをセンサーやメーターから取得し提供することで、お客さまはそのデータを利用して設備の稼働管理や効率的な運用ができるようになります。具体的なデータの提供方法としては、データをグラフィカルに提供したり、CSVデータでダウンロードできるようにしたりしています。データに設けた閾値(しきいち)を超えたときにメールで通知するような設定もできます。
――@EYEを使うお客さまのメリットは?
渡邉:お客さまと私どもで、WEBで管理画面を共有することや、オフィスからでもお客さまは設備の状況を確認できます。また、データから非効率なところを見つけられれば改善につなげることができるとか、異常が起きたらすぐに察知できる、といったことですね。
――@EYEを提供するうえで、これは大変だったということはありますか?

周りの助言を得ながらお客さまの要望をかなえることができたのが嬉しいと語る
渡邉:あるお客さまから「閾値監視しているデータを閾値の段階別に通知先を変えてほしい」という要望がありました。当時はそのような機能が備わっておらず、これは難しいなと思いましたが、@EYEの機能を熟知している先輩に相談したり試行錯誤したりして個別に設定を施し、何とかお客さまの要望に応えられました。本当によかったです。
――特にやりがいを感じるのはどのようなときですか?
渡邉:先日お客さまに説明に伺ったとき、「WEB画面で設備情報を見ることができるのはとても助かる」と言っていただけて、非常に嬉しく感動しました。お客さまの役に立っていることがやりがいにつながりますね。
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アット東京は、堅牢な設備だけでなくお客様へのサポートも強みと感じている
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アット東京の提供するサービスで、お客様のデータセンター運用コスト・負担の削減に役に立つのが嬉しい、と語る
――アット東京の強みは?

「データセンターの運用コストの削減を
@EYEでサポートしていきたい」
という渡邉氏
渡邉:設備の堅牢さだけでなく、お客さまサポートも強みだと考えています。お客さまの設備のエネルギー使用量によってコストが上下するというところがありますが、そこを私たちの@EYEのサービスでサポートできます。また、データセンターの機器の運用を代行するサービスのリモートハンズもお使いいただけますし、これらのサービスで、お客さまのデータセンター運用における負担を軽減できると思います。
――読者の方々に何かメッセージをお願いします。
渡邉:もしもアット東京のデータセンターをご利用になる際には、ぜひ@EYEも合わせてご利用いただきたいです。